アウトソーサーと企業が共に歩む時代
こんにちは、これからの働き方研究所です。
今回は2017年版中小企業白書をもとに、アウトソーシングについて触れていきます。人口減少傾向にある現代で、人手不足を補うための戦略的手段として再認識され始めているようです。
人口減少の現状
アウトソーシングに触れる前に、まず要因となっている人口減少の状況について整理しておきましょう。
総人口 1億2,770万7,259人 (△19万9,827人)
日本人 1億2,520万9,603人 (△37万4,055人)
生産年齢人口 7,484万3,915人 (△0.37%)→総人口の59.77%
出典:総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント
(平成30年1月1日現在)
今後の予想
2040年の総人口 1億 1,092万人
2040年の生産年齢人口 7,000万人を割る予想
出典:国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口
(平成 29 年推計)
人口減少と生産年齢人口の減少は、多くの社会問題を引き起こします。
例えば企業の目線で見た一例が「採用難と人手不足」問題です。この問題はすでに顕在化し、2019年卒業予定の新卒求人倍率が中小企業で9.91倍と過去最高を記録しました。(出典:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査 最新の調査結果(2019卒)」)
そもそも採用するための人手が足りないといった矛盾に陥っている企業は少なくありません。
出典:リクルートワークス研究所 第35回ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)
出典:中小企業庁調査室 2017年版中小企業白書
パートナーとしてのアウトソーサー
慢性的に人手不足の企業では、限られた経営資源を有効活用するために社内業務の効率化・人手不足への補完戦略が不可欠となってきます。そのため、コアな人材をコアな業務に従事させ、標準化・システム化できる業務をアウトソーシングに依頼する企業が増えているのです。
アウトソーシングとは業務上必須となるビジネスプロセスを外部の業者や個人に委託することを指し、業務の完遂や成果物の納品を基に費用が発生するシステムです。
そして大別してBPO・ITアウトソーシングで構成され、日本での市場規模は以下の通りです。特にエンジニアなどの技術者不足の度合いが増すITアウトソーシング分野が今後顕著に伸びると予想されます。
・BPO 7,346億円(前年比4.7%増) → 2020年8,769億円
・ITアウトソーシング4兆5,862億円(前年比106.7%) → 2020年8兆9,615億円
(出典:ITLEADERS「2017年のITアウトソーシング市場は前年度比106.7%の4兆5862億円、ミック経済研究所調べ」)
アウトソーシングの実施割合は中小企業、大企業いずれも増加傾向。また実施されている業務領域については、従来はバックオフィス業務が中心でしたが、最近では自社の製品・サービスの付加価値向上のために「デザイン・商品企画」「調査・マーケティング」といった専門業務領域でも広まっています。
出典:中小企業庁調査室 2017年版中小企業白書
出典:中小企業庁調査室 2017年版中小企業白書
海外の戦略的活用術
国内のアウトソーシングは普及し始めているといっても、その水準は世界と比較すると低い値を示しています。世界のアウトソーシング市場の推移は、2014年時点から2017年にかけて全体が5.1%の成長率を見込まれていたものの、日本はわずか3.0%と横ばい。
出典:商務情報政策局 平成26年3月「ビジネス支援サービスの活用」
世界的に見て日本のアウトソーシングの成長率が伸び悩んでいる要因は、アウトソーシングの戦略的活用に対する意識の差にありました。
みずほ情報総研株式会社が実施した調査の結果から、戦略的な活用目的となる「コア業務への経営資源の集中投入」「業務拡大への柔軟な対応」といった項目で日本はアメリカより下回っていることがわかりました。
BPOに期待した効果(日米比較、2014)
戦略的な活用目的
・「コア業務への経営資源の集中投入」アメリカ31.5% 日本19.7%
・「業務拡大への柔軟な対応」アメリカ26.2% 日本10.4%
出典:みずほ情報総研株式会社 「平成25年度我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (米国におけるサービス産業等のIT活用実態調査) 調査報告書」
日本での戦略的なアウトソーシングの活用は、待った無しの状況です。
生産労働人口が減り、適任者や未経験者の採用・教育が完了するまでにより多くの時間が掛かるようになりました。採用・教育の完了を待っていては企業は競合との競争に置いてかれてしまいます。だからこそアウトソーシングを実施する企業が増えているのではないでしょうか。
パートナーとしてアウトソーサーと共存を考えてみるのも、企業にとってこれからの働き方を考えるひとつの手段なのかもしれません。
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