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外国人材が握る、日本の未来の行く末

こんにちは、これからの働き方研究所です。
最近「人手不足倒産」という言葉を見かけるようになりました。実際に人手不足が原因で倒産した企業が2018年上半期に70件発生し、負債額が106億7,700万円になるという調査結果が出ています。(出典:帝国データバンク「『人手不足倒産』の動向調査(2018年上半期)」)
このように人手不足問題が実際に経営に影響を与えるほど、深刻な問題となったいま、外国人材に注目が集まり始めています。

日本の人手不足問題は逼迫している

前回の研究所でもお伝えしましたが、日本の人口は2018年1月時点で1億2,770万7,259人、生産年齢人口7,484万3,915人です。それが22年後の2040年には、人口1億1,092万人・生産年齢人口が7,000万人を割る見通しがされています。(詳細は前回記事「アウトソーサーが企業と共に歩む時代」をご参照ください)

人口・生産年齢人口減少の影響は、各業界への就業者数からも見てとれます。
下の図は各業界における日本人・外国人就業者数の推移を毎年集計し、集計した年の前年と比較したものです。
この図から「宿泊・飲食業界」において日本人就業者が前年比で横ばいなのに対し、外国人就労者が増えていることが読み取れます。また他の業界では、日本人就業者が既にマイナスに転じている様子もうかがえます。

(出典:BUSINESS INSIDER「労働者「50人に1人」が外国人の時代ーもはや宿泊・飲食業はなしでは成り立たない」)

外国人材の実態

前述のような人手不足が深刻な産業では、近年まで「就労を目的としない」在留資格者である留学生・技能実習生の人々に支えられてきました。就労を目的としない在留資格とは「短期滞在(観光など)」「留学」「家族滞在」など。また「技能実習」も実習先以外の就労は目的から逸れることから、認められていません。

近年ではこうした就労目的ではない外国人材が就労目的の在留資格者より多く、留学生・技能実習生だけで58万5,738人が在留し、外国人全体(256万1,848人)の約23%を占めています。(出典:法務省「平成29年末における在留外国人数について(確定値)」)

先述した宿泊・飲食産業界でも彼らが占める割合も高くなっています。
同業界で働いている外国人のうち9万1,407人(構成比35.2%)が留学生バイトで、建設業界では3万6,589人(構成比14.2%)が技能実習生だという調査結果もあるほどです。(出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況表一覧(平成29年10月末現在)」)

(出典:法務省入国管理局「在留審査について」)

(出典:法務省入国管理局「在留審査について」)

ですが人口減少の度合いが高まり、これまで彼らに支えられてきた日本の産業は、就労制限のある外国人材だけでは人手不足は補えなくなってきているのです。

単純労働の門扉を開く

政府はこうした事態を受け、人手不足が深刻な5分野の産業で外国人材の受け入れを認める在留資格「特定技能」の新設を検討しており、今秋の臨時国会での審議を経て、2019年4月の導入を目指しています。

新しい在留資格では、今まで専門的・技術的分野以外での外国人の就労が原則認められてこなかった「単純労働」で50万人の外国人材の受け入れを認める方針で、対象となる産業は、建設・宿泊・農業・介護・造船の5分野です。(出典:「経済財政運営と改革の基本方針2018」)

先述の飲食業界やコンビニ業界が当該資格の対象となるように交渉を行なっていると報道されていました。現在全国のコンビニで働く外国人は大手3社だけでも5万2,000人で、そのうち大半が留学生バイト。同業界も人手不足が深刻のようです。(出典:Sankei Biz「「コンビニ・外食「対象業種に」 外国人労働者の新在留資格で要望検討」)

いま我々にできること

日本はかつての高度経済成長期に、人材を国内で賄えて来た経緯から、欧米諸国と異なり、外国人材についてあまり考える機会がありませんでした。(出典:一橋大学、依光哲「日本における外国人労働者問題の歴史的推移と今後の課題」)
しかし日本社会にとって外国人材が不可欠となった今、我々受け入れ国側はどのように彼らを向かい合い、心地よく働き活躍してもらえるのか、考える時期に来ているのでは無いでしょうか。

読者の皆さんがもし、言葉が通じず仕事の仕方が異なる外国へ働きに出るとなった場合、どういう事に苦労しそうでしょうか。または、どういうサポートが欲しいと思うでしょうか。それは日本に既に在留する外国人材もこれからやってくる外国人も求めていることかもしれません。
ぜひこの機会に一緒に考えてみませんか。

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