ノート3:燃やし尽くせなかった情熱のその後
「その他大勢」のわたしがなりたかったもの
歌手になりたかった。
キンキラキンに輝くステージに立って、大勢のファンに見守られ、自分の代表曲を歌いながら涙する・・・それがわたしのゴールだった。何度も何度もイメージした。歌ってるわたしを見るみんな(ファン)、眩いほどのスポットライト、マイクを持つ手、白いオーバーオール、横でキーボードを弾くTK・・・・・・。いやそれ完全に安室ちゃん。安室ちゃんが東京ドームでSWEET 19 BLUES歌ったときのやつ。
わたし、安室ちゃんになりたかった!(泣)
そう、今思えば、わたしは『歌手』になりたかったんじゃなくて、『安室ちゃん』になりたかったんだと思う。だから「歌うことがなによりも好き!」とか「歌で気持ちを届けたい!」とかは全くなかった。歌を本格的に習うことやオーディションを受けることもなければ、自分で曲を作ることもなかった。ただテレビに出たりインタビューを受けたりしたかった。みんなに好かれる人気者になりたかった。世の中の女たちから憧れられたかった。
今ならわかる。そりゃ夢のままで終わるわ!思春期あるあるだろうよ。平凡な日常に生きている自分を受け入れたくなくて、「その他大勢」から抜け出して、「特別な人」になりたいだけだった。
しかしこの思春期あるあるは、今でこそ「そりゃそうだ」と思えるけど、受け入れるまでにけっこうな時間がかかった。ユラユラ揺れ動く自尊心をもつティーンエイジャーには、いつか歌手になるという夢が、心の支えになっている部分があったから。
教室に行けば、知らない話題で盛り上がってるクラスメイト。かわいいあの子を気にしている男の子たち。鳴らないわたしの携帯電話。「その他大勢」の特別じゃない自分を思い知る。悲しい。悔しい。いつか夢を叶えて見返すから、みんなが気になって仕方がない、そんな存在になるから、それまでのしんぼうだよ・・・
他人の目をめちゃくちゃ気にする性格も相まって、当時はずっとしんどくて、いつも焦燥感を抱えていた。早く叶えなくちゃ、一歩先に行かなきゃ、何かしなくちゃ、何かしなくちゃ、夢を叶えるための行動を。そのためならなんでも犠牲にできるのに!と。
切り拓いた道=Social Path
その当時の感情が、見事にフラッシュバック!
Stray Kidsの曲って、ほんとに「彷徨ってる」人たちに「その気持ちわかるよ、ぼくも同じだよ」ってメッセージをなげる曲が多い。この曲もそう。だから、聞いたとき思わず16才の自分が人格として出てきそうになったもんね(え?)そのくらいストレートな曲だ。かっこいい。
わたしも燃えカスになるまで精一杯燃やしたかったな。情熱を。
とりあえずまだ生きてる
正直に言うと、夢を叶えられなかった自分を、どう好きになればいいのじゃ?と本気で悩んだことがある。何のためにわしは存在しているのじゃ?何のために生きるのじゃ?こんなわしに何ができるというのじゃ?もういいかげん消えたいのじゃが???と自分を責め立ててダメダメダメダメとばってんを貼る日々が、あった。というか、今もわりとそんな毎日である。
だけど、少しずつ変わってきてはいる。考え方を再インストールしているところ。それはまわりの人たちだったり、新たに出会った人たちだったり、仕事だったり、本だったり、病気だったり、と、いろいろな経験を通して自分と向き合えたからなのかなと思う。わたし、ダメじゃないかも…って思い始めてる。へへへ(笑うな)
「夢を叶えられなかった」という経験をしたから、知ることができた感情があるよ。それは、価値があるよね。夢を見た意味もある。その分やさしくなれる(はずだ)から。
さて、今後、新しい情熱の火は灯るのか。
大きさや形は変わっても、灯す勇気はまだ失ってないと信じたい。
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