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強制執行〚ノンフィクション〛

強制執行とは·········································裁判にて勝訴判決を得たり,相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず,相手方がお金を支払ってくれなかったり,建物等の明渡しをしてくれなかったりする場合に,判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて,相手方(債務者)に対する請求権を,裁判所が強制的に実現する手続き    ◆住宅ローン◆

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働いているトラック運送会社で上司(部長)が、新しい仕事を取ってきた。

〇〇〇商会と言う会社の代表の方
(見た目が高齢のおじいさん)からの紹介で裁判所の強制執行に関わる仕事だった。

仕事内容は強制執行の対象になった家(戸建、マンション、アパート)から荷物(家具、家電、食品、生活用品、衣類など室内に有る物をすべて)を出し、室内を全て空にして出てきた荷物をレンタルボックス(又は貸倉庫)まで当日中に運び入れる事だった。


強制執行の当日の朝に事前に聞いていた住所先に上司と私は2人で会社の2tトラックに梱包用の大きめのダンボールを100枚程積み込み、開始時刻午前9時なので遅くても30分前までには到着出来るように午前7時過ぎには会社から出発した。
(現地まで車で1時間の距離)
8時15分頃には現場に着いた。

到着したら、現場近くに本日作業する人員がだいたい集まっていて、うちのトラック以外にも4tトラックが更にもう1台あった。

執行官(裁判所の方)と○〇〇商会の代表の方と〇〇〇商会の方で用意した作業員のおじさん方(6人程)更に

執行官の方が連れて来た鍵屋さんの方も1人いた。

〚元の持ち主が入れなくする為に必ず鍵屋も来て執行作業中に家の鍵を新しく交換するらしい〛


仕事を上司に紹介してくださった
○〇〇商会の代表がいる所に挨拶しに向かい

『今日は1日よろしくお願いします』

と挨拶したら、代表も

『9時になったら、始めるから、執行官の方が住まわれている人にこれから行う事を今 説明してるから』


これからの作業についての説明をしてくれた

『作業始まって家にあがる時は靴を脱がなくて良い。作業効率が悪くなるから』
『これから行う事は家の中に有る物を全て外に出してレンタルボックスまで運び、家の中を空っぽにする』
『必ず今日中に終わらせる 』

のが今日の仕事だと説明を受けた。

午前9時執行時間近くになり、家の前まで出向いたら家の敷地内をうろうろする男性がいた。

『あの人がこの家の主人らしいよ』

という声が周りから薄ら聞こえた。

落ち着かない様子でうろうろしていた
そりゃ当然だ
強制執行の為に知らない男達が自宅前に集まっていて、その知らない男達にこれから我が家に入られて家に有る物すべてを外に出されようとしているのだから

強制執行を行う1戸建のお家は比較的新しいお家だった。

事前の打ち合わせで2階建ての住宅だったので1階と2階で二手に別れて作業する事になった 。

私と作業員4人の計5人で1階の荷物出し、3人が2階の荷物出しを。

あとの1人、上司が荷物のトラックへの積み込み作業をする事に

執行官は作業の監視役

○〇〇商会の代表は作業の指示役に

そして午前9時になり、時計で時刻を確認した執行官の合図により強制執行が開始 された。
 
皆で靴を履いたまま玄関から家の室内に入って行った
(やはり最初は土足で室内にあがる抵抗感があった)

執行官が先に玄関から1階のリビングに入って行き、続けて他の作業員の方達と共に梱包用段ボールを抱えながら玄関からリビングに入ってみたら······
何とそこでは···········

リビングの奥にキッチンと食卓が有り、子供達(お姉ちゃん5才位と弟らしき男の子3才位)が朝食を食べていてキッチンでは奥さんらしき女性が、洗い物をしていた、私は呆気にとられてしまったが、

執行官が
『今から、始めてください、室内に有る物をすべてダンボールに積めてください』

と私達1階の作業員に作業開始の声掛けしましたが

【本当に良いの?子供達がまだ朝ご飯を食べてるのに?】

と内心思いながらからも執行官の指示に従い私達は作業を開始しました。

梱包用のダンボールを室内に持ち込みダンボールを組んでリビング内に置いて有る物をダンボール内に積めていった。

そうしたらキッチンの方から女性の泣き声が聞こえてきました。
先程、キッチンで見かけた女性(奥さん)がキッチンに床に座りこんで泣いていた。

【知らない男達が家に土足で上がって来て自分達の自宅の私物を勝手にダンボールに目の前で詰められ、自分が住んでいた家なのに、これから住めなくなる】

心情を察する事は出来た

住宅ローンをきちんと払っていればこんな事にはならなかっただろうに、しかし払えなくなってしまった事情もあるんだろうしと、いたたまれない気持ちになった。

執行官の方が女性に優しく声かけしていた
『そうだよね、辛いよね、でも今起きている事実は、変わらないし、 今さら変える事も出来ない 』

女性が
『私達は何処へ行けば良いのでしょうか?行く場所も行ける場所もないです』

と泣きながら訴えていたが

執行官が冷静な優しい口調で

『この件に関しては、何ヵ月の前から、お話させていただいていた件なので、今日が執行日だという事も事前にお伝えしていましたよね。以前お伝えしていた相談窓口には電話してましたか?してないなら今直ぐに電話してください』

となだめるように伝え、さらに執行官の方が

『誰か、旦那さん、呼んで来て』

と大きな声で言っていた。
旦那の行動をたまたま見てた作業員の方がいて

『旦那さん、9時になって執行開始時刻になった時に家から出て外に歩いて出て行っちゃたみたいですよ』

それを聞いた執行官の方は『はぁ』とため息をつきたそうな表情をしていた。

その時に一緒にいたお姉ちゃんは明らかに不安気な表情を見せていたが、男の子が作業してる私に可愛い声で

『これからお引っ越しするの?』

と笑顔で聞いてきた。

私も

『そうだね、お引っ越しみたいなものかな』

と作り笑顔で答える事しか出来なかった。

【実際はこれから家に有る荷物(家具や家電はそのまま運び出し)それ以外の物はすべてダンボール箱に詰めて、レンタルボックスまで運び、約1ヶ月保管して、取りに来なかった荷物は1ヶ月の保管期間がきれたら処分予定だった】

執行官の方が奥さんを慰めながら子供達も連れて 家から一度出ていった。

私達は作業を黙々と続けた。
部屋に有る物をダンボールに積めて行く作業を。
引っ越し作業より明らかに大変だと思った。
室内に有る何も手付かずの状態な物をひたすら箱積めして外に運びだし、当日中にレンタルボックス迄運び入れなくてはいけないので。
1箱1箱に物を積めていき、箱に封をして何が入っーているか箱に記入した。
執行官の方から箱積めして、そこまでして欲しいとは言われてなかったが
(もしも自分が逆の立場を考えたら)
皆、そうしていた。
1箱梱包終わったら玄関まで運び、上司が玄関からトラックへと積み込んでいった。皆で黙々と箱積め作業をこなしていった。
リビング内の物だけで梱包したダンボールは数十箱になっていた。
リビングの小物が終わったら次にリビング内のソファーや棚、テレビなどの大物の家具や家電を数人で運び出した。

その頃には鍵屋さんも玄関の鍵の交換も終えていた。

リビング内はほぼ片付き、次はキッチンの荷物出しへ。

キッチンはリビング程広くなかったので2名で作業し、残りの3人で1階のもう一部屋やトイレ、お風呂の荷物出しへ。
2階も作業が終わったらしく(部屋数が少なく荷物も1階程まではなかったらしい)
2階で作業して作業員が1階の片付けを手伝いだした。

ちょうどお昼位に差し掛かり一度
昼休憩を全員でこの家の中で取る事になった。
○〇〇商会の代表が全員分の弁当をコンビニで調達してくれていた。

昼食を皆で食べて1時間程休憩して再び、午後1時から作業を始めた。
午前中に大分片付けられたので
あとは1階の残りの1部屋の片付けとと大きな家具や家電のトラックへの積み込みを手分けして作業し、午後2時頃には一戸建て住宅は空っぽになった。その代わりに2台のトラックは荷物で満杯(ダンボール箱90箱位、家電、家具)になった。
 
その後は移動時間30分程離れた場所にあるレンタルボックスへとトラック2台と乗用車2台で向かった。

レンタルボックスに到着してから荷卸してレンタルボックスに積めて いく作業はとても早かった。

大物家電、家具を数人でレンタルボックスの奥に運び入れ、ダンボール箱はトラックからレンタルボックスまで9人が一列に繋がり手渡しでレンタルボックス内に段ボール箱を流れ良く詰めていき作業を終える事ができました。

最初に見た手付かずの状態から、片付けられるのか?と思いましたが男手9人で一斉作業したら片付くものなんだなと感心しました 

【リミットが有るので皆で必死に作業した結果が】

その日はそれで解散しました。


それから1ヶ月経ち・・・・・

 ○〇〇商会の代表から保管期間が過ぎたので

『レンタルボックスに入っている荷物の処分をお願いします』

と上司に連絡が入った。
レンタルボックスに保管してる保管期間が切れたら荷物の処分も○〇○商会の代表から当社に頼まれていたので。

連絡を受けて数日後に、当社の大型トラックでレンタルボックスに向かった。
私と上司でにレンタルボックスに入っている荷物をトラックに積み込みゴミ処分場(焼却場)まで運ぶ為に。

レンタルボックスに到着して倉庫のカギを開けてボックス内に入ったら
手前のダンボール箱が数箱開いていた。
あの時に住宅にいた方が取りに来たんだなと分かった。

少し、ほっとした。
(あの時に家にいた方達がどうなったのか?心配だったので)

しかし、奥にあるダンボールはほとんど手付かずの状態だったが一部開いている奥のダンボールもあったので本当に必要な物だけ持っていったのかと思えた。
そして私と上司でレンタルボックスに有る残されたダンボール箱と家具家電を全て大型トラックへと積み込みゴミ処分場へと運搬して仕事が終了した。

ダンボール箱の中には子供のオモチャや写真、あの家族の思い出の品もたくさんあっただろう。


【どうしてこうなってしまったのか?】


金がないから住宅ローンが払えない

仕事が無くなり収入がなくなったから無理だ

と諦め投げやりにならずに

収入が減って住宅ローンを支払えずとも、何かしらの手を打っていたらと。

銀行に相談(収入が減って困っているや住宅ローンの減額など)や
家の下取り 
家具、家電の買い取りや衣類、貴金属の買い取りなど
(今は様々な買い取り業者がいるので)
家にあった荷物(一部は持って行ったようだが)ほとんどがゴミ扱いとして最終的に処分となったので。

しかし最初に見たあの光景は
忘れられません

『食卓で子供達がご飯を食べて奥さんがキッチンで洗い物してる』

ごく普通の家庭生活をしてるいる所へ私達が土足で入り込み、泣き崩れた奥さんや不安気な顔のお姉ちゃん、笑顔で『お引っ越しするの?』と聞いてきた男の子達がその後にどうなったのか?
全くわかりませんが


私自身も住宅ローンを組んでいる身なので
自分自身にとっても、とても戒めとなる体験でした。 
         
           


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