起承転、これにて結

 お久しぶりです。
 音楽以外の近況報告をさせていただくと、卒論の口述試験でまあまあ詰められました。あと4月から北海道に行くことになりました。人生って何があるか分かんないですね。

 そんなことはさておき、卒業式を除いた最後のイベント、卒コンが終わってしまいました。ようやく終わりましたと言ってもいいかもしれない。わざわざ朝早くから見に来てくれた皆さんは周知の事実かと思われますが、今回の卒コンでもまた新たな試みとして「完全シークレット」「30分尺でギターボーカル」「全曲オリジナル(うち4曲書き下ろし)」という3つを引っ提げて、「オムニバブ」とかいう間抜けなネーミングでやらせてもらいました。本番の話とかはまああとで言うとして、これをやるにあたった経緯だったり、それに込めた思いだったりを書ければいいかなぁと思ってます。
 だってまあ、せっかく考えて形に残したものが伝わり切らないのは、勿体無いでしょう。僕は別に世界に向けて発信しているわけでも無ければ自分1人で完結できるような感情を込めてるわけでもないのよね。やっぱ出したいじゃない、全部。答え合わせと行こうじゃないの。

やっぱ、言葉よな

 話は学祭まで遡りまして、僕は学祭のバンマスにてオリジナル曲を書いたわけですが、まあ正直出来すぎた。自分が持ち合わせている、同期に対する愛情とか、感謝とかそういうものを伝えるのに最適というか、自分の中での模範解答みたいなのが出来た感覚だった。それなりに反応とかもあったし。別に「オリジナル曲を書くことが至高であって他のやり方じゃダメだ!」ってわけでもなんでもなくて、僕が持ってる最大の感情を最高出力で届けられる方法がこれだったってわけです。もっと言えば、「一緒に音楽が出来る喜び」は自分バンマスじゃなくて誘われた方が性に合ってるし、「好きな、尊敬するアーティストの曲を最高の形で届ける」みたいなのも、正直学祭でやり切ってしまった。今考えるとちょうど1年前くらいに音楽のモチベーションがなくなってしまったのってこれが原因だったのかもしれないね、自分には音楽くらいしかないのにその音楽もできることやり切っちゃって途方に暮れてたのかも。知らんけど。
 とはいえオリジナルに関してはまだやりようあるなって思ったし、なんなら消化不良というか、まだやりたいことがあった。ここでこの間の𝕏の投稿ですが。

'21 9定「ギターやってみた」
'22 6定「ベースボーカルやってみた」
'22 7定「ギターとベース両方やってみた」
'22 なつが「ギターボーカルやってみた」「キーボード復帰」
'22学祭「曲作ってみた」「曲作って歌ってみた」
'23 OB「ピンボやってみた」
'23 卒コン「全オリジナルでギタボやってみた」

老いバブ(2024)より

こんな感じで、ドラム以外はそれなりに新しいことに手出してきたつもりだし、その自由さみたいなのが自分のウリでありキャラ付けなんだろうなと思ってたので、今回もまた新しいことをしなきゃと。あとは学祭の時のオリジナルも本当は全曲オリジナルでやることも視野に入れてたから今回はこれを実現させたいななんて。現状維持じゃつまらない、何かまた新しいことをしないと飽きられると思って今回はオリジナル、少なくとも5曲で行こうと考えて実行に移すことになりました。
 とはいえ、本当に出演枠ギリギリだったり、一緒にやろうと思ってたメンバーが出れなくなったりと、本当にやろうとしてダメになったらどうしようみたいなネガティブな感情ばっかり出てきて迷う時もあったけどもうやるしかないと。奇しくも同じタイミングで全曲オリジナルで出そうとしたNくん(あえて別名義の頭文字)からの宣戦布告(お互いに酔っ払ってたのであんまり覚えてないし、覚えてないと思うけど)を受けて完全にやる気になりました。ということで、コンセプトみたいなのを考えつつ卒論を書いてたのが秋頃でした。

人生という物語

 やっぱ最後だし大学4年間の総括みたいなもんにするのがいいよな〜と思ったので1年間に1曲を対応させる感じで作ることにしました。4曲だと流石に少ない気がして、せっかくなら僕が作ったけど僕が歌ってない曲でもやるかと。個人的にあの時のボーカルには恨みみたいなもんもあるので(これ本人に届かないように祈っとくか)、全部まとめて自分のものにしてしまおうと。詞曲は俺が書いたし。ってことで、こいつをプレリュード兼過去編にしたところで決まった大枠がこちら。カッコの中は参考にした(着想を得た)曲たちです。

・1曲目(高校編) SKY-HIGH
・2曲目(大1) 4つ打ち、歌詞はオラオラ系でだけど少し寂しく[青春狂騒曲(サンボマスター)、23:25(UNISON SQUARE GARDEN)など]
・3曲目(大2) 「無双!」って感じ、イキりにイキりを重ねてツービートとドロップD[僕の心を取り戻すために(Blankey Jet City)、ロッキンポ殺し(マキシマムザホルモン)など]
・4曲目(大3) センチメンタルなスピード感のあるロック 寂しさを全面に押し出す[101回目のプロローグ(UNISON SQUARE GARDEN)、さくらのうた(KANA-BOON)など]
・5曲目(大4) スローだけどだけど最後にドカンと1発[Image(Mr.Children)、イメージ(ヒトリエ)など]

他にも色々あるとは言えアイデアの出どころまで全部言っちゃうのヤバいよね、まあでもネタバラシまで含めてのショーですから。無からサウンドなんて生まれないのよ。興醒めかもしれないけどこれはまあ僕的に書いておきたかったので。ごめんね、もしかしたらこれ俺が40とか50まで生きて見返した時に「ああこの辺よく聞いてたわ〜」ってなる可能性あるし。

 曲調とかは実際にこう言う曲作ってみたいな〜っていう好奇心が半分、実際に大学4年間の状況にあってるな〜ってのが半分。実際大学1年の時はちょっと張り切って友達作ろうとしてたし、2年は嫌な目立ち方してたし、3年はかなりスピード感の割に最後センチメンタルだし4年はもうず〜〜〜っと暗いけど最後の方爆発みたいな。割とマッチしてたからこのまま歌詞書こうかと。なんならその時にタイトルも決めました。せっかくだからちょっとそこもこだわってみようということで皆さんに1つ目の答え合わせ。

金属バット
少年、衝動
天才にはなれない
傑作

タイトルの頭文字が起承転結になってるんですね。こだわりが細け〜、でもここから曲の発想は始まってるから結構必要なこだわりだったり。決まったしもうテーマはこれで行こうと。1曲目は前日譚みたいなもんで、憧れとか夢に届かずに自分なりのやり方で暴れようと決意する話。2曲目は朝を迎えてバットを持ったちょいワル少年が街を闊歩する感じ。3曲目はその少年が完全に怒り狂って人前で暴れ回る。4曲目は暴れ回った少年がふと冷静になって人の温かさに気づく。そして5曲目で何もかも終わってしまうことに嘆く。こんなストーリー構成で行こうじゃないの。
 んで歌詞を書くわけですがまあ〜〜〜4曲目だけ発想が浮かばないもんです。なんせ3年生なんて1番濃かったし書きたかったテーマも「天才になれなかった苦悩」ですからまあ簡単には生まれませんよね。こういうところで言葉が出てこないあたりも凡才らしいですがこの辺の細かい話は単曲の解説にてお話しします。

退廃にて、無力

 このプロジェクトは秘密裏に進めていました。「愛する」の時も一応大っぴらには言わなかったんですけど準備の段階の違和感だったり結構進捗を人に吐き出さないとやってられないタチだったりでサプライズ感が薄れてたので、今回はマジでメンバーの2人(と全く関係ないバイト先の同僚)以外には誰にも言わないという完璧な情報統制を敷きました。なんでかって言うと単純にその方が面白そうだったから。突然僕が全曲オリジナルやったらビックリするかなって。1番の理想は「なんだこれは!よく分からんけど良すぎる!えっ、あの老いバブが作ったものだったんですか!?すげ〜!」的な。書いてて恥ずかしいけど最後にあと一回くらいチヤホヤされたかったしオリジナルやること言うとハードル上がるから今回は秘密に進めさせてもらいました。
 とはいえかなりカロリーの高いものが出来上がったのでいい順番、なんなら学祭の時みたいに全部の印象上書きしてトリで終わろうと思ってたんです。取れなきゃ後半のあったまってきたところで渾身の一撃叩き込もうと思ってました。

クジで「19」を引くまでは。

こりゃもう無理だ。正直マジで折れそうになった。残ってたのはN君の直後かトップバッターか。直後にやると二番煎じすぎるしほぼ一択で2日目の1バンド目に決定。何が悲しくて朝一番にやらなきゃいけないんだ、こんなの朝の弱い大学生が見に来れる時間じゃない。届けたい人にすら届かなくなってしまうじゃないか。
 見に来る来ないじゃなくて、「起きる」がチャートに入りうる順番でやるのが分かり切ってる状態で日々を過ごすのが本当に辛かった。追い討ちをかけるように4月から環境が激変することが決定。こうもついてないと何もかもやる気がなくなってしまう。とは言えそこで投げ出してしまっては大人じゃないのでもう腹括って全部破壊するつもりで与えられた時間で全うすることにした。正直今でも「19じゃなければ」って思ってます。言い出すとキリがなくなるのでやめますが。
 もちろんこんなもんは僕の自己満でしかないですから、「来た人に向けて歌う」のがやるべきことでしたので本番は全力でやらせてもらいました。早々に喉をぶっ潰して、大事なところの歌詞なんかほぼほぼ飛ばしてましたが、熱量は伝わったのか、「愛する」では見れなかった量の涙が見れたのでまあ満足です。マジで全員泣かせるつもりで挑んだからね、僕も泣いちゃったけど〜

めでたかねーけど、めでたし

 まあ終わってみれば全力でエゴをぶちまけた割にはしっかり卒コンの一部に綺麗にはまった感じで、やっぱりみんな同じくらい死ぬ気だったんだな〜とみんなの熱量に圧倒されつつ、やっぱ良いもんだったよなぁ〜と日々自画自賛を続けています。1番にしてはまあようやったでしょ、と。なんだかんだ自分の歌詞も見直してみたら今の人生そっくりで、やっぱり人間って根っこの部分は何があっても変わらんのだなぁと思いました。
 しばらくはこんな感じで定期的なバンドやるのが無理って分かりきってたからかもしれないけど、不思議と「まだやっていたかった」っていう感触はなくて、「もうしばらく良いや」っていう感じです。短期間に色々詰め込みすぎた反動でしょうね。
 今回の5曲は全部1人のおもしろ少年(21)のお話しでしたが、「みんなありがとう」みたいな気持ちはそれなりに詰めてるつもりです。「一緒にいようよ」とか、「幸せが掴みきれずに〜」とかね、確実に僕の生活の半分くらいはこの環境だったから。とはいえやっぱりMCでどうこうってよりは回りくどく歌ってここで全部を話す方が性に合ってるわ。全部曝け出して見てもらうのってなんだかんだ楽しいんだよね、僕の人生とか考えてることってなんだかんだ面白いと思わない?思わないなら君がここまで読んでる理由がわかんねえよ。

 と言うことで、17,8年ほどコンスタントに続けてきた「音楽」もここらで一区切り。細々と、やりたい時だけ北国で産んで放出したいと思います。
 次回、曲の解説編でお会いしましょう。

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