セルフライナーノーツ「天才にはなれない」編

 またしてもこんにちは、老いバブです。今回は「天才にはなれない」編ですが、今回のオムニバブにおいてこの曲が僕(とベースのN君)が思う1番良い曲です。そんな良い曲、早速洗いざらい紐解いていきましょう。

天才にはなれない 〜諦めと苦悩〜

日影に咲く花を 愛する自分がいる
整えられた花束の方がずっと綺麗なのに
雨粒の音に 落ち着く自分がいる
晴れたストリートの方が楽しいはずなのに

 Aメロ兼イントロです。僕は割と華やかなフロントマンってよりも普段やってることとか生き様は脇役というか、どっかの誰かが名脇役でどうのこうのがモットーですとか言ってたけどまあそんな感じ。名バイプレイヤーになるのが良い過ごし方だとは思うけどやっぱり目立ちたがりなんだよな、人目につくところで、完全な形で生きたいはずなんだよね、でも結局「そう」はなれない、多分日影で強く咲く花もそういう気持ちなんじゃない?知らんけど。
 あとはインドア派で雨の音は好きなのでこんな感じの歌詞になってます。「ストリート」っていいですよね、「街」とか「人混み」よりもなんとなく情景が浮かんで耳残りもいいので。

この歌も10時間も経ったら また思い出になるだろう
変だよな、未来のことなんか分かるはずもないのに
この日々は10年も経っても 忘れられなくなるだろう
なんでこれだけは分かるんだろうね 神様じゃあるまいし

 Aメロ2。「10時間」に関しては出番順が確定した時に数字を書き換えました(本当は1時間とか数時間にしたかったんですけどね)。後ろの10年は、時間の10倍くらいにしとこうと思ったんですけど100年経ったら流石に死ぬか、「俺以外はね」ってことで10年のままにしてます。
 まあ実はこの辺は大袈裟なことは言ってなくて、未来のことはわかんないけどこの日々が思い出になることは間違い無いよな〜ってことを言うために曲の「10時間」を引き合いに出してます。流石にこの曲が10時間も経ってみんなの記憶にあるかは怪しいしね!(見てない人もいるし!!)あとは「神様じゃあるまいし」でAメロを締めることによってこの吐いて捨てた感が出るでしょ。

誰もが羨む才能は無いけど
それ以外は持ってるつもりさ
アイツらどうせ見ちゃいないんだよ
僕は死なねえ 127まで生きる

 Bメロ。まあこの曲のテーマは「才能なんてなかったんじゃ!!」っていう感じなので、才能はないけど結局我慢して生きなきゃいけないんだよなぁ〜感を頑張って出してます。「それ以外」に関してはまあ友達とか、無いなりの努力で得たものとか色々ですね、「これだけは自信もって『あるぞ!』って人にアピールできるもの」だと思ってくださいな。
 「アイツら」ってのは神様のことが半分、普通にこの演奏を見てない人のことが半分って感じ。神様に関しては僕は天才でもなんでも無いから27で死ぬわけないし、神様が僕に目をつけるわけじゃないからね。とはいえただ死なないだけなら凡人ですから、せめてもの抵抗として127まで生きてやろうじゃないのと、単純に100足しただけです。後者に関してはまあ順番最初になったしどうせ見にこない奴もいるだろという尖り。

僕はまだ走るよ 天才なんかなれやしないから
君の心には行けそうにない 悪いな僕は「諦め」を知ってる
ほらだんだん声が掠れていく 響いてよなんてガラじゃないけど
ロックンロールはどこまで行っても他人のまま 一部にはなれない

 サビです。この曲はやっぱり人に寄り添いたい、寄り添われたいという弱気な曲なので明るさと疾走感とは裏腹にネガティブになってます。とはいえ嘘でもなんでもなく天才ではないから、まだまだ走り続けなければいけないわけで、人の心に響くような音楽が作れているかもわかりませんから。
 「だんだん声が掠れていく」は僕の喉も4曲目にもなってくれば流石にしんどいだろうなと思ったので書きましたが、本当にこの辺で限界でしたね、少年、衝動で使い果たしたのもありますが。この歌声も「観客の心まで響け!」なんて言えるほど高尚な人間ではないですし、僕自身がロックンロールを体現できるほど高尚なことをやってるかといえば「う〜ん」なのでこんな感じでサビを締めてます。まあロックンロールなんでしょうけど、やっぱり烏滸がましさというか、「俺なんかが」みたいな思想がずっと根底にある曲です。自己肯定感、帰ってこないかなぁ…。

嬉しいことがある これはみんなの話
とても照れ臭くて今は言えないけど
悲しいこともある これは僕の話
ごめんやっぱり言えないな 秘密が性に合ってる

 2A。素直になれよ俺。何かと心を閉ざしがちなので感情を素直に言えない4年間でした。だからこんなまどろっこしく曲を書いてるわけなんですけど。ざっくり言えば「みんなに会えて嬉しいけど、それを得てもなお満たされないのは完全な僕のエゴだから出すのも申し訳ないね、隠しておこうか」って感じ。「秘密が性に合ってる」は学祭で「愛する」を秘匿にしたことと照らし合わせてます。いろんなものを隠して生きてきた人生でしたね、隠し事なんか得意じゃないのに。今見るとここの情報量ほぼ0よね、「何も言えません」だから。不器用だな〜〜俺。

まだ帰りたくないから 
少しだけ高い列車に乗るよ
あの門を出て右に曲がるのも
今日はいいや、一緒にいようよ

2B。今回のまどろっこしく工夫凝らしましたゾーン。僕は普段地下鉄を使って大学に行ってますが、別にルートはそれだけじゃなくてJRと私鉄を乗り継ぐと終電が30分以上遅くなるんです。とはいえ定期もないし乗り換えもするから高くつくから普段はあんまり使わないんですけど。JRの駅は門を出て左に曲がれば着きますが僕は地下鉄なので普段から右に曲がりますよね。まああとは読めばわかるか?わかれよ。書くのも恥ずかしいだろうが。まあ卒コンの日の帰りは結局みんなと違うルートで帰ってるけどね、ガハハ。

本当はね知ってるんだよ 天才なんかじゃないってこと
棄てるつもりの仮説はいらないけど 意味はあること信じさせて
ほらだんだん息が切れていく まだ隠し球はいくらでもあるぜ
僕ってさ多分大人じゃないだろ? 子供のまま、死ぬにはまだ早いさ

 2サビ。仮説がどうのはせっかくなので心理学科っぽく、帰無仮説が棄却で有意がどうのこうのを入れましたが、本当は「考えなくてもいい余計なことを考えてしまってる」のを回りくどく言っただけです。よくない考えに囚われてることを示唆しております。息が切れていくはまあこのあたりでだんだんしんどくなるでしょっていう1番と同じ理由であり、走り続けたら息も切れるよねってやつ。隠し球はペットボトル野球からもそうだし、次の曲はまだ面白いのが残ってるよっていう表明でもあり。
 金属バットと少年、衝動はガキの話ですが結局ガキのままでしたね僕は。大人になれないまま僕はこうして死んでいくんでしょうけどまあせめて大人になってから死にたいっすわ。ということでこんな感じの2サビでした。

僕はまだ走るよ 天才にはなれなかったな
これは僕だけの歌じゃなくて どこかで泣いてる誰かの歌
ほらもうずっと辛いけどさ みんなはどう受け止めてくれるの?
ロックンロールはもうやめにしよう 疲れちゃったな、旅にでも出ようか

 ラスト。「僕だけの歌じゃなくて、どこかで泣いてる誰かの歌」、いいですねぇ〜これは良いパンチラインでしょ。僕と同じく何かを諦め、それでもなお進み続ける人へのエールです。その後のどう受け止めるかってのはもう疲れたし好きに色々楽しんでくれやと、僕の曲の楽しみ方は任せるぜってことですね。あとは引退したしロックやめよう、なんならこれを歌ってる卒コンともリンクさせて音楽一旦やめてどこか(絶対に北海道)に出かけようっていう開けた感じで終わらせました。

サウンドについて

 前のノートの通り、「疾走感の中の儚さ」みたいなものをテーマにしたので、スピードは上げつつ、本来メジャーで使うものをマイナーにしたり、途中からマイナーにしたりって感じで仄暗さを演出したつもりになってます。1番のBメロはこういうリズム使うとちょっと明るくなりそうなんだけど歌詞の後ろ向きさと多用してるマイナーセブンスと最後に挟まるE7のおかげでいい感じに元気のなさが出てると思いませんか?川沿いをトボトボ歩く感じよ。知らねーよってか、まあまあ見てなって。
 サビと2番の繋ぎは後で出てくる変拍子っぽいやつにしてフックにしつつ短めにすんなり移行できるようにしておきました。2Bは愛するとほぼ一緒ですね、この曲は言ってみれば「愛する(裏)」みたいな立ち位置なので同じような曲構成にしつつ暗さを出すのでほぼ一緒、ってかこういう曲作ったらアクセント出すためにもそりゃそんな感じになるでしょって話なんだけどね。
 変拍子のところはまあノリでギター弾いてたらできたフレーズそのまま使いました。一回やってみたかったんだよねこういうの。基本的に行ったり来たりのフレーズだから弾くのも簡単。いいねぇ。
 リフというか、間奏らしい間奏はアウトロにしか出てこないんだけど、ここでサビのフレーズを少し変えたようなギターを出すの、アウトロの本来の仕事をしてくれてて個人的にすごい気に入ってます。名クローザー。


おわりに

 まあガタガタ書いたんですけど、仮に1バンド目から見てたとして歌詞と記憶しかないし、見てない人にとっちゃなんのこっちゃわからん(まあそういう人はどうせ見ちゃいないだろ)って話なんで、デモ音源あげちゃいます。本番の映像は歌詞ぶっ飛ばしまくってるし声も出てないので勘弁してな。あと次回「傑作」に関してはちゃんと書くけど一旦音源だけ出すわ。よろしく〜

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