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広東料理頼み方

広東料理を頼むのはとても難しいというか奥が深い。メニューの種類が多いというのもあるが、結局各料理店は、厳しい競争の中で、自分の店の売りを戦略的に設定しつつ、さらに日夜新しいメニューを開発しているので、その辺も踏まえてこの店はなにがうまいのかを見極めて、季節の旬も見極めて、かつ高すぎるものを頼まないで、ボリュームも調整しつつ、素材と料理方法にバラエティを持たせて、うまく満足できるメニュー構成に仕上げるのに技術が必要ということ。

基本的には、前菜にいくつか小品を頼み、スープ、魚介類、肉、豆腐、野菜、ご飯または麺から各々選んで頼むのが、ある程度の人数がいる場合のオーソドックスな頼み方。肉は鶏、がちょう、鴨、鳩、豚、羊、牛等々あるので2-3品を違う料理方法で頼んでも楽しめる。

スープ
広東料理では、スープを最初に飲みます。お腹をおちつかせてかつ食欲を出すのだそうです。広東料理で一般的なのは、老火湯(ろうほうとん)と呼ばれる3時間ほど豚肉の赤身と香草プラス魚や肉の内臓などを煮込んだスープです。注意深く見渡すと香港人のお客さんはほぼ100%例湯(らいとん)と呼ばれる日替わりスープを頼んでいますが、これが老火湯です。例湯(らいとん)はたいてい広東料理店では高級店でもあり、(ホテルはない場合もある)とてもお値打ちです。たいていポット(土鍋のようなもの)で出てきて、それをテーブルで分けるような感じです。4-5人で楽しめて100ドル以下といった感じで非常にお得で、かつおいしいので、早く売り切れます。遅い時間に行くとないことが多いので、遅い時間(8時以降)に行く場合は、席を予約する時に例湯も一緒に予約しておくといいです。

あとはもちろんふかひれスープもありますし、当然おいしいです。個人的にはやっぱり福臨門のふかひれスープがおいしいですが高すぎます。ただふかひれスープが美味しいというのはふかひれが美味しいわけではなく、ベースのスープストックがおいしいので、そういう店では上湯(しょんとん)とか高湯(がおとん)と呼ばれるスープストックを使ってある他のメニューを探し出して頼むのが賢いと思います。たとえば福臨門で言えば上湯炒飯(炒飯に上湯をかけたもの)とか上湯麺(単に上湯に麺が入っている)。

前菜として焼臘 
肉の焼き物(総称して焼味しうめいとか、焼臘しうらっぷ)を前菜で頼みましょう。焼臘は、レストランの厨房内に専門のセクションがある独立した料理カテゴリー。道端にも焼臘専門店があり、そういうところでは、ご飯の上に焼臘を載せて気軽に食べられる。レストランではそれを前菜で楽しみます。

焼肉(しうーよっく) 肉の三枚肉を外側カリカリッとロースとさせたもの(とんかつっぽい)
叉焼(ちゃーしゅー) 豚肉を醤油と砂糖のきいたたれで外側カリ、内側ジューシーにロースト
焼鵝(しうーうんがっぷ) がちょう(グース)のロースト
焼乳鴿(しうゆいじゅっ)はとのロースト
鼓油鶏(しーやおがーい) 鶏肉を醤油でローストしたもの

魚介類 
日本人的にはたぶん、シンプルな調理方法のものを海鮮については、好むのが一般的かなと思います。ゆでえび、白身魚の蒸し物が代表メニューでしょうか。

白灼蝦(ばっちょっはー):ゆでえび。生抽醤油(ライトソイソース)につけて食べる。とてもシンプルだけどなぜか香港で食べると他の町で食べるより全然おいしい気がする。

清蒸魚(ちんじぇんゆい):石班魚(せっばんゆい)とか東星班魚(とんせっばんゆい)、蘇眉(ソーメイ)などのはたの一種(英語ではガルッパとか呼ばれる)の白身魚を生簀からだしてきて、蒸して仕上げに生抽醤油(ライトソイソース)と油をかける。使う魚によって清蒸石斑魚とか清蒸東星魚になる。必ず白飯を頼んで、その上に魚とソースを一緒に乗っけて楽しみましょう。価格が時価の場合が多いので、頼むときは魚を持ってこさせて値段を確認してから頼むといいです。

菜(ちょーい) 野菜のこと
一通りオーダーすると、「で、野菜はどうする?」ときかれるので、相談しながらなにがあるかを聞いて=その季節にあった野菜の種類を選んで、調理方法を選ぶ。ポピュラーな野菜は、菜心(ちょいさむ)、芥蘭(がいらん)、豆苗(とんみゃお)、通菜(とんちょい:空心菜のこと)。調理方法は、にんにくでいためる(清炒)か、スープで軽く煮る(上湯)。通菜だけは腐乳と呼ばれる豆腐の発酵したものと一緒に炒める料理がとてもポピュラー。

肉は店によってお勧めの品を頼む。前述の通り肉素材の種類も多いし、ロースト、揚げ、炒め、土鍋料理等々調理方法もいろいろある。


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