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【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #22


GAME1
山口74-95岡山

B3リーグも残り10試合となり、いよいよ佳境に突入。
アウェイが続いた山口にとっては久しぶりのホームゲームとなる。

対戦相手は岡山。岡山は11月に対戦しており、その時は1勝1敗。両チームともにプレーオフ進出は難しい状況だが、1シーズン戦ってきた集大成を残り10試合で見せたいところだ。

山口は前節負傷した77.川上が欠場。また、ケンドリックに続き、14.ジャクソンも家族の事情でチームを離れることとなった。

-1Q(17-18)-

立ち上がりの山口は15.濱田と7.ジュールズのローポストアタックからオフェンスを作っていた。

15.濱田のキックアウトパスから1.エイブラムが3Pシュートを狙うシーンなどを作るが、思ったように得点を挙げることはできず、7.ジュールズや9.重冨のオフェンスリバウンドによる6得点に止まった。

ディフェンス面では岡山のドライブを警戒しているような意識が見られた。ボールマンに強いプレスはかけず3Pラインの内側に立ち、ペイント内へのコースを塞ぐように守っていた。

しかし、4.パーマーを中心とした岡山のツーメンゲームによってペイント内への進入は許しており、うまく守れている雰囲気は感じ取れなかった。

中盤は山口が岡山のファウルトラブルに漬け込みながら、1.エイブラムの3Pシュートが決まり、逆転に成功。

ただ、岡山の方もディフェンスの強度を上げ、山口のペイントアタックを厳しいチェックで防ぐ。
最後は7.フィリップスの3Pシュートが決まり、17-18とリードを奪い返してみせた。

-2Q(20-26)-

2Qは4.パーマーから5.ラドへのハイロープレーと3.浦野の2本のドライブアタックから得点を挙げて、岡山が先手を取る。

ただ、山口の方も2.上松の2本のアシストから31.富田の3Pシュートと1.エイブラムのゴール下の得点を生み出す。

一進一退の攻防が続き、29-28と山口1点リードでオフィシャルタイムアウトを迎える。

タイムアウト明けの山口はペイント内のスペースを岡山に塞がれている中で、連続で特攻し失敗。

その間に12.サミュエルのポストアタックと3.浦野、12.サミュエルのツーメンゲームから4.パーマーに3Pシュートを許した。

タイムアウトを取り、25.田中の3Pシュートで岡山のランを止める山口だったが、オフェンスファウルやペイント内への特攻で再びオフェンスを失敗し、岡山にトランジションから得点を許して点差を8まで広げられた。

その後、9.重冨と7.ジュールズのツーメンゲームから7.ジュールズのダイブでバスケットカウントを獲得するも、次のポゼッションではそのプレーを守られてターンオーバーとなってしまう。

ペイント内へのアタックの収支がマイナスに出てしまった山口。逆に言えば、岡山がうまくペイント内へ誘導し、山口を抑え込んだ展開となった。

37-44と岡山がリードを広げる2Qとなった。

-3Q(16-27)-

3Qは序盤から岡山がペースを掴む。
インサイドでの強さで山口を圧倒する12.サミュエルを中心にオフェンスを組み立てて、得点を量産する。

ディフェンスでも前半より山口のボールマンへの距離感を近づけて、タフショットやターンオーバーを強いた。

途中、1.エイブラムのブロックショットに遭い、返しのトランジションで8.下山に3Pシュート決められるなど、流れを離しかける場面もあったが、
3.浦野の強烈なドライブアタックやオフェンスリバウンドによって完全にペースを掴み、さらにリードを広げていった。

山口は12.サミュエルを止めることができなかったことと、オープンを作った3Pシュートを決めることができず、踏ん張り切れなかった。

3Q終わって、53-71と岡山が大きなリードを奪った。

-4Q(21-24)-

4Qはややオープンな展開となった。
山口は25.田中のスピードを生かしたアタックなどで得点を挙げるが、オープンになっている3Pシュートが全く決まらずに点差を詰めることができない。

岡山も大きなリードを奪う中で、ややテンポを上げすぎているようにも思えるが、要所で3Pシュートが決まり、点差を保って時間を進めることに成功する。

オフィシャルタイムアウト明けに、ようやく1.エイブラム、11.山口と連続で3Pシュートが生まれるものの、この局面では既に勝負は決まってしまっていた。

岡山は全クウォーターで山口を上回る完勝。74-95で先勝を飾った。

-試合後の感想-

山口はオフェンスが悪循環に陥る中で、ディフェンスで踏ん張り切れず大敗となった。

アウトサイドシュートが決まらない→ペイント内へアタックするでは、岡山も守りやすく、複数人でペイント内を封鎖されている状況で、特攻してもうまくいく可能性は低い。

2Qはペイント内への特攻を見せるが、まんまと誘い込まれる形となっており、収支がマイナスに。岡山にペースを掴まれてしまった。

また、この試合のようにシュートが思うように決まらない試合では、ディフェンスで踏ん張ることが重要であるが、岡山を慌てさせるようなプレッシャーにはなっておらず、その面でも岡山に劣る形になっていた。

もちろん、岡山のオフェンスも良く、12.サミュエルのインサイドでの強さや、3.浦野のペースチェンジを生かしたドライブからのシュートは印象に残った。

連敗は許されない山口。
GAME2ではディフェンス面の修正から勝機を見いだしたいところだ。

GAME2
山口88-78岡山

-1Q(17-14)-

立ち上がりの2ポゼッションは、山口がスターター起用の11.山口で攻めるのに対して、岡山が12.サミュエルのハイポストからデザインする構図になった。

この2ポゼッションも含めて、しばらくは互いに得点を挙げたり、守り切ったりと膠着状態が続く。

印象的だったのは岡山の31.高畠のプレー。
前日は日本人ガードで言えば、3.浦野のドライブが鮮烈だったが、この試合の1Qはひたすらに31.高畠だった。味方のピックを活かしながらドライブで切れ込み、フローターショットをよく沈め、チームを引っ張っていた。

山口はディフェンスがいつもより機能しているように見えた。相手のツーメンゲームに対して、スイッチの姿勢を見せながら、マークマンがそれぞれ粘り強く対応。ヘルプを行う周りの守備者の距離感も近く、フリーを作らせない守備になっていた。

ただ、オープンを作った上での3Pシュートをことごとく外し、1Qは1/8の成功にとどまり流れに乗り切れなかった。

膠着状態が続いた1Qは17-14と山口の3点リードとなった。

-2Q(13-23)-

2Qの序盤は岡山がペースを掴む。
最初のプレーでは、山口のスイッチディフェンスでマークが甘くなったところを突き、4.パーマーがフリーの3Pシュートを沈める。

その後は31.高畠と12.サミュエルのピックアンドロールやディフェンスリバウンドからのファストブレイクで加点し、2Q開始から0-9のランを作ることに成功する。

山口はオープンでのアウトサイドシュート、そしてペイント内へ切れ込んだ際のゴール下のシュートが決まらずに、岡山のランを許していた。

その後も31.高畠のドリブルからの見事なアシストで突き放しにかかる岡山だったが、32.吉川のねじ込みドライブと2.上松の3Pシュートで粘りを見せ、22-27でオフィシャルタイムアウトに突入する。

タイムアウト明けはまた岡山が前に出る。
31.高畠のスペースをよく見た上でのねじ込みドライブと山口のスイッチディフェンスのミスコミュニケーションを突いた24.ハッサンの得点、そしてリバウンドからのトランジションの得点で0-6のランを作る。

山口は素早いテンポで攻めようとして、ペースをコントロールできずターンオーバーを3つしてしまい、岡山にリードを広げられた。

しかし、この試合だはディフェンスでの踏ん張りが効く山口。
9.重冨、11.山口、15.濱田を中心とした相手コートからの強いプレスで自由を奪うと、8秒バイオレーションやバックコートバイオレーションなど、4つのターンオーバーを誘発。

良い守備からブレイクに繋げ、フリースローなどもあって、最大の11点差からその差を縮めることに成功した。

岡山が逆転を果たした2Q。
30-37と7点のリードとなった。

-3Q(28-22)-

後半立ち上がりは得点を取り合う展開。
山口は9.重冨と7.ジュールズのツーメンゲームを中心に、11.山口のスティール等もあり、開始から3分弱は全てのポゼッションで得点を挙げる。

一方の岡山は31.高畠と12.サミュエルのピックアンドロールで後半最初の得点を挙げると、ルーズボールなどのセカンドチャンスからの得点と、31.高畠の3Pシュートやアシストで加点をしていった。

このまま一進一退の攻防が続くかと思われたが、前半同様ディフェンスが機能する山口が徐々にペースを掴んでいく。

ボールマンに対して近い距離感で常にマークし、スイッチ・ローテーションというシステムも非常に良く機能していた。チームとしての狙いもあるだろうが、11.山口の復帰も非常に大きいのではないかと感じる。

彼のファーストディフェンスでチーム基準が生まれており、それが全体に伝播して強度の高いディフェンスが展開しているように見えた。

シュートが決め切れない場面も少なからずあったが、ディフェンスからリズムを作った山口が1.エイブラムの2本の3Pシュートなどで追い上げを見せ、58-59と1点差に詰め寄ることに成功した。

-4Q(30-19)-

4Qもディフェンスの集中と強度が落ちない山口。良い守備から良い攻撃へ移行することができており、31.富田や32.吉川の3Pシュートで逆転に成功する。

ただ、良い攻撃を繰り出そうとする中で、もったいないターンオーバーやフリーのシュートを決め切ることができない場面があり、内容ほど点差を広げることはできず68-63と5点リードでオフィシャルタイムアウトに入った。

連勝を飾りたい岡山は4.パーマーのミドルショットや3.浦野と5.ラドのピックアンドロールからの得点で粘りを見せる。

しかし、ここで32.吉川が自身の3Pシュート、11.山口の3Pシュートのアシスト、そして3.浦野のオフェンスファウルを誘発し、ファウルアウトに追い込むという怒涛の活躍を見せる。

残り2分ほどで、78-67と一気に優勢まで持ち込むことに成功した山口はターンオーバーを出しながらも、2.上松の3Pシュートなどで何とかリードをキープ。
最終盤のフリースローも高確率で決め切って88-78で前日のリベンジを果たした。

-試合後の感想-

このゲームは山口のディフェンスの勝利である。

失点数だけを見れば78と少なく抑えたとは言えないかもしれないが、内容を見れば40分通して岡山に自由を与えず、ディフェンスからリズムを作って逆転に持ち込んだゲームだった。

何度も言及しているが、この試合では、ボールマンに対して距離を空けず、相手のピックに対してもスイッチを使いながら、素早いローテーションでズレを生まないディフェンスを徹底していた。

これは、シーズン最初の天皇杯、ONELYS wakayama戦で私自身が感じた今年のチームが目指すディフェンスシステムが体現された試合と言っていいのではないだろうか。

なぜこの試合で突然体現できたのかは気になるところであるが、残りの試合もこのゲームを基準に40分間徹底したディフェンスが展開されることを期待したい。

前日のGAME1の感想で書き残した"シュートが思うように決まらない試合では、ディフェンスで踏ん張ることが重要である"を見事に成し遂げたグッドゲームだった。


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