見出し画像

山口ペイトリオッツ 挑戦の軌跡 #1

B3加入初年度の開幕戦、山口県にとっても歴史的な出来事と言えるであろう。GAME1はyab山口朝日放送でも生中継された。開幕の相手は豊田合成スコーピオンズ、2週間前の天皇杯でも対戦しており、77-105と大敗を喫している。厳しい戦いが予想される中、ホームで歴史的な勝利を掴むことができるか、非常に注目度の高い試合となった。


GAME1 
山口83-92豊田合成
 (18-26,24-21,27-13,14-32)


-天皇杯からの修正を感じられた前半の入り

スターティング5は互いに天皇杯の時と同様だった。山口は0.山田・1.山下・11.山口・12.サンプソン・7.エヴァンスの5人、豊田合成は33.竹村・1.髙田・26.井林・21.ビルップス・34チャンセラーの5人だった。

ドライブインから1.山下がレイアップを沈めて最初にスコアを奪った山口だったが、その後は豊田合成が常に先手を奪う展開となった。ガード陣の積極的なドライブから得点を立て続けに挙げると、34.チャンセラーもそれに呼応するように9得点を挙げチームを引っ張る。山口は5分を過ぎた辺りで12.サンプソンが3つ目のファウルを犯してしまう厳しい展開に。しかし、豊田合成のターンオーバーも生かしながら11.山口と1.山下のスリーポイントシュートで追いすがり、18-25で1Qを乗り切った。

2Qは0.山田・1.山下・11.山口・8.土居・7.エヴァンスでスタートした山口に対し、豊田合成は33.竹村・10.柳内・3.藤田・0.ヘイモンド・21.ビルップスの5人でスタート。最初に流れを掴んだのは山口だった。最初の2つのプレーで豊田合成にポイントを挙げられ一時は18-31となったが、そこから11-0のランで2点差まで迫ると、29-33から6-0のランで試合をひっくり返した。要因は相手の外国籍選手と対峙した8.土居の頑張りと、チーム全体でスイッチも使いながらリバウンド含めてインサイドで奮闘したディフェンスだった。この時間帯は相手のTOを誘発し走る展開に持ち込むことができ、やりたいバスケを表現できていた時間だったのではないだろうか。しかし、豊田合成もインサイドの優位性を生かしきれない中で0.ヘイモンドがチームを引っ張る活躍を見せた。ドライブからファウルを受けてフリースローを沈めるなどチームの起点なって攻撃面を牽引、最終的には42-47とリードを奪って豊田合成が前半を折り返すこととなった。


-山口の勢いと豊田合成の底力

後半の入りは互いにスターティング5と同じメンバーでのスタートなった。3Qは早々に12.サンプソンが4つ目のファウルを犯してしまう入りとなった山口だったが、豊田合成のリングへアタックを続ける展開へ持ち込み流れを掴んだ。良いディフェンスからディフェンスリバンドを一発で掴みアーリーオフェンスを繰り出すことができていた。7.エヴァンスのミドルショットのシュートタッチもよく序盤早々にリードを奪うと、64.井手がチームを加速させるドライブインからのアシストやレイアップを見せていた。終盤は11.山口の連続得点や0.山田の活躍もあり、良い流れでバスケットを展開できていた。9-0のランで入った山口が着実にリードを広げ、69-60と9点リードで最終第4Qへ突入することとなった。

4Qは0.山田・64.井手・8.土居・6.松尾・7.エヴァンスというメンバーで入った山口に対し、0.ヘイモンドと34.チャンセラーを中心に豊田合成が反撃を見せる展開となった。34.チャンセラーとのハイロープレーで0.ヘイモンドが決め71-66まで持っていくと、そこからは34.チャンセラータイムに突入、ファウルトラブルで高さが足りない山口に対するミスマッチを生かして11得点を連続で挙げ試合をひっくり返してしまう。山口は34.チャンセラータイムの中で大黒柱の7.エヴァンスがファウルアウトとなってしまい、ディフェンス面で相手を抑えることができなくなってしまった。すると、今度は0.ヘイモンドタイムへ突入。追いすがる山口に対して75-80から12得点を1人で奪ってしまい勝負を決定づけた。最終スコアは83-92で豊田合成の勝利となった。


-歴史的な開幕戦を終えてGAME2へ

山口はビックマンがファウルトラブルになる中、日本人選手を中心に相手のインサイドアタックをかなり抑えることができていたと思う。天皇杯では相手のハイロープレーを含めた高さにやられてしまう印象があったが、そこを8.土居・6.松尾・94.延原の奮闘とガード陣のヘルプもあり、何とか抑えることができていた。

しかし、そのような状況になっても止まらないのが豊田合成の強さと言えるのではないだろうか。インサイドへの強行突破が難しい中で輝いたのが0.ヘイモンドだった。外からのドライブで山口の選手を動かしファウルをもらったりアシストを送ったりして局面を打開していた。34.チャンセラーと並ぶチームトップの26得点3アシスト7リバウンドの活躍で勝利に大きく貢献した。

山口は持てる力を全て出したが、ファウルトラブルの影響もあり最後は力尽きてしまったという印象だった。ただ、良いディフェンスからの速い展開などチームとして表現したいバスケットは十分に披露できていたと思う。今後の長いシーズン、非常に期待が持てる開幕戦となった。



GAME2
山口95-85豊田合成
 (20-19,27-23,26-13,22-30)


-前日からの修正とセットオフェンスの威力

豊田合成はGAME1と同じスタメン、山口は23.モーガンを山田に代えて起用した。1Qは一進一退の攻防となった。山口はリングへ向けてのドライブだけではなく外国籍選手を中心としたハイポストからローポストに待つ選手を使ったプレーでポイントを挙げていた。豊田合成はGAME1で活用しきれなかったペイントエリアでのプレーを34.チャンセラーのローポストアタック中心に繰り出していた。1Qの中盤で山口のタフショットが増えていった中で豊田合成がリードを4点まで広げるものの、セカンドユニットとして投入された64.井手や8.土居の得点によって、20-19の1点をリードで終えることとなった。

2Qの入りは山口が8-0のランを見せ、リードを9点まで広げる展開となった。印象的だったのは1Qの終わり辺りから見られた、7.エヴァンスがスリーポイントライン付近でボールを受けて、2人のガードがクロスをしてゴール下に飛び込んでいくというセットオフェンスだった。このプレーに豊田合成がなかなか対応できず山口がリードを広げていった。しかし、豊田合成もタイムアウトで流れを切り、山口のターンオーバーや戻りの遅さを突いてファストブレイクを連続で繰り出し、点差を縮めていく。その後は互いに点を取り合う展開となったが、43-42からの連続ポイントで山口が47-42で前半を折り返した。
2Qのハイライトは最後の得点シーン、DRを拾った11.山口が足を止めずにボールをプッシュし、サイドで待つ23.モーガンにパスを送ると、そのまま走り込んできた7.エヴァンスへのアリウープダンクで得点を挙げた。このシーンはチームとしてやりたいプレーが出せて、かつ魅力的なフィニッシュだったのではないかと感じたシーンだった。


-勝負を決めた3Qの延原のプレー

3Qは山口のクウォーターとなった。チームとして激しいディフェンスで豊田合成を13点に抑えることに成功した。特筆すべき個人を挙げるとすると、GAME2では3Qの途中から初めて出場した94.延原だ。投入直後、豊田合成のビックマン21.ビルックスとのマッチアップとなったが、2ポゼッション連続で彼のポストアタックを守り切り8-0のランに大きく貢献、21.ビルックスを交代に追いやり、その後投入された0.ヘイモンドに対しても激しいディフェンスで自由にプレーはさせていなかった。そして、攻撃面でもオフェンスリバウンドを2つ確保し、いずれもセカンドチャンスポイントにつなげ、3Qを締めくくるポイントを奪う活躍を見せた。この試合の出場時間自体は7:09、2得点2リバウンドというスタッツではあるが、数字に表れない部分で大きな貢献を見せてくれたように思う。そして、山口が26-13というビッククウォーターを作った。

73-55と山口の18点リードで迎えた4Qは豊田合成の意地の粘りを見たクウォーターとなった。激しいディフェンスで山口のペイント内の進入を防ぎ、外からのシュートを強いることでディフェンスリバウンドを拾いアーリーオフェンスを何度も繰り出していた。セカンドユニットの17.隅廣、71.東、0.ヘイモンドの連続得点で10点差まで追い上げると21.ビルックス、33.竹村のアーリーフェンスからリングへのアタックで一時は6点差までに迫った。山口は開始4分ほど得点が止まってしまい厳しい入りとなったが11.山口や12.サンプソンのスリーポイントが欲しいところで決まるなど、ギリギリで突き放すことに成功、それが最終的な逃げ切りの要因になったかと思う。最後は豊田合成がファウルゲームを仕掛けるが、追いつくまでには至らず95-85で山口が歴史的な1勝を挙げる試合となった。


-可能性を大いに感じたホームでの2試合

B3加入初年度の開幕節は1勝1敗で終えることとなった。天皇杯で大敗した豊田合成相手に、確かな修正を見せて2試合とも競った試合に持ち込むことができたのは非常に大きなことではないだろうか。特にGAME2は良いディフェンスからの速攻や7.エヴァンスのローポストアタックだけではなくセットオフェンスからのボールムーブや合わせのプレーでの得点も増えており、その点は好材料であると言える。また、セカンドユニットとして出場した選手たちの奮闘も目立ち、特にガード陣は誰が出ても同じような水準でプレーができるように感じた。もちろんインサイド陣も外国籍選手相手に粘り強いディフェンスで簡単に得点されるようなことはなく、その点は強みにできるのではないだろうか。

豊田合成は得点面の大黒柱である34.チャンセラーと33.竹村や17.隅廣といった俊敏性の高いガードのプレーが脅威だったと感じた。21.ビルックスや0.ヘイモンドを含めた新加入選手たちとの連携がスムーズになっていくともっともっと戦いづらくなるチームになるのであろう。今度のアウェイでの対戦が非常に楽しみとなった。

次節はアウェイで八王子ビートレンズとの試合となる。初勝利の勢いを持って敵地でも見応えのある試合を期待したいと思う。



*文中敬称略


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?