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【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #21


GAME1
徳島87-72山口

前節、厳しいロスターの中、アウェイで1勝をもぎ取った山口。アウェイでの連戦となる今節の対戦相手は徳島となる。

前回のホームでの対戦では1勝1敗の五分だった。

徳島はここまで24勝16敗で6位につけ、B3初参戦ながら、プレーオフ進出が目の前に迫っている。

山口は7.ケンドリックの退団と、しながわから7.ジュールズの加入を発表。7.ケンドリックは家族の事情による退団となり、残念ではあるものの、7.ジュールズのプレーにも期待したいところだ。


-1Q(21-22)-

ゲームの入りが良かったのは徳島。
14.ジャクソンのポストアタックを止め、ファストブレイクを繰り出し、1.コームズがバスケットカウントを獲得し、3点を先制。

セットオフェンスでは、至る所でピックを使い、山口ディフェンスのズレを生み出し、9.内藤の3Pシュートや2.塚本のドライブアタックを作った。

一方の山口は、1.エイブラムの1on1による個人技からの5得点で試合の土俵に上がることに成功。

その後は、77.川上のドライブアタックやこの試合スターターで起用された32.吉川のアシストから8.下山の4点プレーが生まれるなど、ガード陣も得点で続いた。

中盤以降も互角の攻防が続き、徳島がベンチから出てきた15.若狭の3Pシュートと33.コールマンのドライブアタックで得点を挙げると、山口も7.ジュールズのインサイドでの強さを活かしたゴール下の得点と31.富田の3Pシュートなどで得点を挙げた。

山口は次第にディフェンスでアジャストができるようになり、相手のピックに対してうまく手を出してスティールを何度も成功させていた。

スティールからのオフェンスで流れを押し戻し、21-22と1点をリードする1Qとなった。

-2Q(26-14)-

2Qはダブルチームやゾーンディフェンスと、守備から仕掛けを見せた徳島が流れを掴んだ。

ゾーンディフェンスで山口の足を止めて、シュートを打たせない守りに成功すると、
オフェンスでは、1.コームズの2つのオフェンスリバウンドから3得点、そして15.若狭の3Pシュートと2.塚本のドライブなどで9-0のランを作った。

タイムアウトが遅れた山口は、タイムアウト明けも良いオフェンスの形が作れずに、連続のターンオーバーから4失点を喫し、点差が12まで広がってしまう。

その後、7.ジュールズでゴール下を破り、何とか繋いだ山口。9点差で迎えたオフィシャルタイムアウト明けは一進一退の攻防が続いた。

徳島は高さの優位を生かし、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントを中心に得点を重ねる。

山口はガード陣のドリブルから1.エイブラム、14.ジャクソンをフィニッシャーに据えて得点を挙げていった。

山口は徳島の最初のオフェンスは素早いローテーションでうまく守ることができているシーンも多いが、ローテーション後のマークマンの確認の遅れと徳島の高さによってリバウンド時のポジション取りに苦労しているように見えた。

立ち上がりの13-0のランが明暗を分け、徳島が47-36と11点のリードを奪う前半となった。


-3Q(22-16)-

3Qは出だしから山口が32.吉川を頂点とした1-3-1のゾーンディフェンスを敢行。
連続でターンオーバーを誘発する入りを見せる。

先に4点を取った山口だったが、その後の徳島のゾーンディフェンスに対して、こちらもターンオーバーでお付き合いをしてしまう。
徳島にトランジションオフェンスを許し、9.内藤の4得点と1.コームズ、4.ドーソンのゴール下の得点を許し、逆に点差を広げられてしまった。

流れを掴んだ徳島は山口のタイムアウト明けも4.ドーソンの3Pシュートとトランジションから1.コームズのバスケットカウントでこの試合最大の19点のリードを奪う。

ただ、良い流れはつづかず、アシストを狙ったパスによるターンオーバーやフリースローの失敗により、山口に反撃の隙を与えてしまう。

チャンスをもらっている状況の山口だが、3Pシュートの失敗やパスミスによるターンオーバーにより、その機会を生かすことができなかった。

時間の経過とともに互いにプレーの精度を欠いていき、譲り合いの展開になった3Qは序盤の優勢を生かした徳島が69-52とリードを広げることに成功した。


-4Q(18-20)-

3Qの出だしと同様、ゾーンディフェンスで徳島のオフェンスを止める山口。
7.ジュールズのインサイドでの強さによって作った3Pシュートを2.上松と1.エイブラムが沈め、反撃に出る。

ただ、全体的な高さの不利がある中で、チーム全員でリバウンドの確保が行えず、セカンドチャンスポイントで繋がれてしまう。

7.ジュールズの高さを生かして得点を挙げるものの、オフィシャルタイムアウト時点で10点差までしか追い上げることができなかった。

オフィシャルタイムアウト明けは、ついにゾーンディフェンスが攻略され、ペイント内から徳島に簡単なシュートを許してしまう。

一方のオフェンスもうまくいかなかった。
特にビハインドの状況での、残り3分を切ってからのオフェンスでは、ボールマンに対する周りのアクションが遅れや、アウトサイドでスペースが空いてボールを受けた選手がシュート打ちきれず、周りを探してしまうシーンが多く、ただただ時間だけが経過していく形となってしまった。

結局、2Q序盤のビックランから徳島が常に10点以上のリードをキープして進み、危なげなく逃げ切りに成功。
山口は勝負のポイントを作ることができず87-72と敗戦を喫した。

-試合後の感想-

山口からすれば反省点の多い試合となった。

勝負としては2Qの13-0のランで決まってしまった形になり、ここでの対応が遅れてしまったことが悔やまれる。

タイムアウト、メンバー変更のタイミングがいずれも遅れてしまったように見え、結果的にはこの判断が勝敗を分けてしまった。

もちろん、この後も反撃のチャンスがないわけではなかった。この試合の徳島も決してプレーレベルが高かったわけでなく、付け入る隙は十分にあった。

しかし、自分たちもお付き合いするようにミスを出してしまい、そのミスが影響してか、終盤は3Pシュートも打ち切れず、徳島のプレーを咎めることができなかった。

また、個人的には、あの八王子戦で見せた勝負への姿勢が継続できていなかったように見えたのが残念だった。

ビックマンが1人の時はチーム全員で、ゴール下での体のぶつけ合いも厭わずに戦っていたように見えたのだが、ビックマンが2人が戻ってきて、人員が揃って戦えるようになったら、今度はそれが薄れてしまっているのではないかと感じた。

単純な高さで徳島が上回っている面はもちろんあるが、そもそもペイント内のポジションを先に取られてしまい、競り合いに持ち込むことすらできていないように見えた。

インサイドの選手に任せるのではなく、全員でポジションを取る意識をもっと突き詰められるのではないか、そう感じた試合だった。

GAME2
徳島105-68山口

連敗を免れたい山口は7.ジュールズと31.富田をスターターとして起用。前日のゲームで負傷した77.川上は欠場となった。
一方の徳島は前日と同じスターターで臨んだ。

-1Q(26-18)-

山口はその7.ジュールズのポストを起点にオフェンスを作る狙いを見せる。
7.ジュールズと31.富田のツーメンゲームから31.富田のジャンプショットが1本決まるものの、徳島のスイッチディフェンスの前に動きを止められて良いシュートが打てていなかった。

良いディフェンスを見せる徳島は山口のゾーンディフェンスに対してポケットを取るセットオフェンスの形と、トランジションからの素早いシュートの両狙いを見せる。

昨日よりも高確率で3Pシュートが決まっており、4.ドーソンが2本、2.塚本・9.内藤が1本ずつ、計4本のシュートを沈めてみせた。

ゾーンディフェンス、そして徳島のスイッチディフェンスに対する攻撃、いずれもうまくいかない山口は、7.ジュールズのオフェンスリバウンドやミドルショットで何とか食らいつくという展開になっていた。

7.ジュールズの活躍が無ければ、1Qで試合が決まっていてもおかしくない内容にも思えたが、26-18と1桁のビハインドで抑える結果となった。

-2Q(28-16)-

2Qに入り、変則的なマッチアップゾーンを見せる山口。しかし、相手を惑わせるどころか、自分たちのディフェンスに迷いが出てしまった。

一番空けてはいけない15.若狭を2連続でフリーにしてしまい、3Pシュートで一気に6失点を喫してしまう。

1Qに既にタイムアウトを取っていたこともあり、ベンチの動きも遅れてしまうと、マンツーマンに戻す選択もうまくいかず、ゴール下を簡単に割られ、10-0のランを作られてしまった。

結局このタイミングで最後のタイムアウトを取るも、時すでに遅しとなってしまった。
一度失った流れは取り戻すことができず、パスミスやオフェンスファウルにより、ターンオーバーを連発し、そのまま17-0までビックランを作られてしまう。

その後、1.エイブラムの個人技による2本3Pシュートからオフェンスの流れは取り戻したが、ディフェンスは厳しい状態が続いた。

徳島のシュートが止まらないこともあるが、ゾーンもマンツーマンもうまくいかない時間が続く中で、迷いが出て、足を動かしたくても動かせないように見えた。

それでも最終盤は徳島のシュートが落ちるようになり、リバウンドからファストブレイクが繰り出せるようになり、少し押し返すことができた。

終わり方が少し悔やまれる徳島だったが、58-34と大きなリードを奪うことに成功した。

-3Q(31-17)-

反撃に出たい山口は、マンツーマンディフェンスで後半の戦いに臨んだ。

しかし、最初のポゼッションで2.上松と8.下山のマークの受け渡しミスにより、15.若狭を再びフリーにしてしまい、3Pシュートを決められてしまう。

そして、徳島のスイッチ+ローテーションディフェンスの練度の高さの前に、良いオフェンスを展開できず、ファストブレイクから連続失点を喫し、7-0のランを作られる入りとなった。

連続でタイムアウトを取り、最後の抵抗に出る山口であったが、この試合の徳島はGAME1とは異なり、隙を見せることがなかった。

ディフェンスは継続して、スイッチディフェンスと素早いローテーションで山口のオフェンスに常に制限をかけ、24秒バイオレーションを数度獲得。

オフェンスはドライブやトランジションからスペースを作り、3Pシュートの雨を浴びせた。
15.若狭が3本沈めるなど、チームとして7本決めて大量得点を挙げた。

2Q同様、終盤に少しミスが出て、もつれた徳島だったが、それが問題ないほど優勢に進めることができていた。85-51とさらに点差を広げることに成功した。

-4Q(20-17)-

4Qは開き直ってギャンブル気味に戦う山口が、少し盛り返す展開になった。

ただし、徳島の方も冷静に試合を進め、33.コールマンが4本の3Pシュートを叩き込むなど、反撃の機会は与えなかった。

最後までペースを落とさなかった徳島は4Qもスコアで山口を上回り、105-68で連勝となった。

-試合後の感想-

前日はプレーの精度が上がらなかった徳島だったが、GAME2はきっちり修正し、100点ゲームで大勝を飾った。

山口と比較して相対的に上回っていたのはディフェンスの練度の高さだった。全体的に高さが優位であることを生かした、スイッチディフェンスとローテーションの素早さで山口に対してスペースを与えず、足を止めて攻撃をシャットアウトしてみせた。

ここからプレーオフに進出し、勝ち上がるためにはこの試合でも時より見られた、ターンオーバーが連発することによって生まれる隙をどれだけ少なくできるかにかかっているように感じた。

一方の山口は前日同様、2Qの序盤に突き放されて、そのまま見どころを作ることができずに敗戦となった。

この2試合は、やることを全てやって負けた感が小さく、少しの迷いや躊躇が試合を決めてしまったように感じられ、悔いが残る連戦となった。

具体的なポイントを一つ挙げれば、2Q序盤に15.若狭に連続で3Pシュートを決められた場面。

おそらく自分たちからディフェンスで仕掛けて流れを掴みたい意図があったのだと思うが、ミスコミュニケーションやディフェンスシステムへの迷いがあったのか、アウトサイドシュートを一番警戒しなくてはならない選手をあまりにも簡単にフリーしてしまった。

タイムアウトが二つ残っていれば、間違いなくタイムアウトを取る局面だったと思うが、1Qで一つ取っていたことで、タイムアウトを取ることができず、結果的にはここから17-0のランになり、勝負が決まってしまうことになった。

コート上の選手だけで解決が図れれば良かったかもしれないが、コート上では混乱が見られ、マンツーマンに戻しても、足が動かずに簡単にズレを作ってしまい、どうしようもない状況となった。

このように少しの迷いや躊躇により、状況を打開できず、なす術なく連敗となってしまったことはもったいないという思いが強い。

来週は岡山との連戦となるが、その後はプレーオフ圏内のチームとの対戦が続くことになる。

この試合を糧にして、上位相手にパンチを入れられる試合が見られることを期待したい。

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