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【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #16


GAME1
山口78-81立川
(25-18,20-23,21-19,12-21)

今節の対戦相手は8位につける立川。立川とは11月にアウェイで対戦しており、その時は1勝1敗だった。21.フィッツジェラルドという強力な得点源がいる中で、どのようなディフェンスで対抗するかが注目ポイントだ。
プレーオフ出場を目指す山口としては、2連勝が必須となる。

-1Q-

最初にペースを掴んだのは山口。スターターとして9.重冨、25.田中のツーガード、1.エイブラム、14.ジャクソンのインサイド陣の起用を選択。機動力を強調したメンバーで立川のオフェンスに圧力をかけることに成功した。

21.フィッツジェラルドにも自由を与えず、ガード陣のヘルプのポジションや1.エイブラムのマークも素晴らしく彼の得点をシャットアウトした。

オフェンス面では1.エイブラムの3Pシュートからゾーンプレスからのファストブレイクを作り、12-0のランで先制パンチを浴びせた。

しかし、流れに乗って攻めかかろうとした山口は速いテンポのショットがことごとく外れてしまう。結果的に単調なオフェンスが続き、立川の反撃を許した。

オフェンスの終わり方が悪くなり、ディフェンスがうまく機能せず、21.フィッツジェラルドにインサイドを支配され、15得点を献上した。

最初に山口が流れを掴み、立川が押し返すという展開の1Qは25-18で山口のリードとなった。

-2Q-

2Qは互いに同じようなショットで得点を取り合うスタートとなったが、先に流れを掴んだのは山口だった。

32.吉川のドライブと77.川上の3Pシュートで5得点を挙げると、メンバーが変わっても1Qの入りと同様のディフェンス強度を継続する。2.上松、8.下山が連続でスティールを奪い、ファストブレイクで立て続けに得点を挙げた。

立川はオフィシャルタイムアウトを含んだ連続のタイムアウトで何とか流れを引き戻そうと試みる。ここでは98.ファルゾンが大きな役割を果たし、3Pシュートを含む5得点で0-7のランを作り、3点差まで迫った。

しかし、山口もタイムアウトで流れを切ると、14.ジャクソンのインサイドアタックと、11.山口のスティールによって作ったファストブレイクから8.下山が3Pシュートを決めて、再び点差を広げた。

最終盤は14.ジャクソンが3つ目ファウルを犯し、23.石橋とのマッチアップになったことで、21.フィッツジェラルドがインサイドで無双。
立川が点差を詰めて、45-41で折り返すこととなった。

-3Q-

3Qの序盤は立川のペース。21.フィッツジェラルドがインサイドを支配し、6得点を挙げて点差を縮めると、32.秋山が3Pシュートを決めてこの試合初めてのリードを奪う。

山口はシュートをなかなか決め切ることができず、7.ケンドリックのフリースローで何とかついていく展開の中、逆転された後にディフェンスで踏ん張りを見せた。

21.フィッツジェラルドに対して、ファウルを取られてしまうシーンはあるものの、少しでも厳しい体勢からのシュートを強いるように激しいマークができていた。

また、この試合ではディフェンスリバウンドの確保率も高く、連続攻撃をさせないようにチーム全員でのボックスアウトを見せていた。

すると、1.エイブラムのミドルショットから11.山口が3Pシュートを沈めて再び山口がリードを奪う。

最終盤には11.山口にこのクウォーター2本目の3Pシュート、そしてファストブレイクから1.エイブラムのダンクも生まれ、点差を広げた。

ペースを奪い返した山口が66-60でリードとなった。

-4Q-

4Qは14.ジャクソンのインサイドを生かして得点を挙げていく山口に対し、53.森と21.フィッツジェラルドのツーメンゲームから21.フィッツジェラルドが得点を量産するという構図に。

山口は14.ジャクソンの強さによって得点を奪いながら、21.フィッツジェラルドと98.ファルゾンをファウル4つに追い込むことに成功するが、立川も彼らをベンチに下げることはなく、反撃の姿勢は崩さなかった。
72-68のスコアでオフィシャルタイムアウトに突入する。

ファウル4つのインサイド陣をコートに立たせ続ける立川は、その決断が功を奏し、21.フィッツジェラルド、53.森、そして98.ファルゾンの3Pシュートで74-75と再逆転に成功する。

流れを掴んだ立川に対し、相手のファウルトラブルはあれど、あくまでも普通に攻撃することを選択した山口。ただ、連続のターンオーバーで思うように得点を挙げることができない。

残り3分を切ったところで14.ジャクソンを投入し、ようやく彼のインサイドから打開ができるようになり、彼の4得点で同点に追いついた。

32.秋山の3Pシュートが外れて残り1分を切ると、山口は時間を使いながら得点を狙うポゼッションとなった。

残り数秒から動き出し、32.吉川と11.山口の2人で突破を図るが、マークを剥がせずにタフショットとなり、立川のポゼッションへ。

立川のラストポゼッションは21.フィッツジェラルドがインサイドアタックを試みると、山口ディフェンスがインサイドへ集結し、アウトサイドで待つ98.ファルゾンへキックアウトのパスが通る。

フリーな状態でのオープンショットはリングを捉えて立川が78-81とリードを奪う。

残り3秒の山口のオフェンスは1.エイブラムの3Pシュートを選択するも、シュートは決まらず試合終了。

21.フィッツジェラルドの41得点を軸に、要所で98.ファルゾン、53.森、32.秋山などがチームを助けるシュートを決めた立川。3Qのラストポゼッションで3Pシュートを沈めた10.福田も大きな貢献を果たした。
厳しい展開を見事な逆転勝利で飾った。

-試合後の感想-

立ち上がりの12-0のランでペースを握った山口は概ねプラン通りに進められたのではないかと思う。

40分通してディフェンスの強度は高く保ち、リバウンドの意識も十分だった。勝利という結果を掴んでもおかしくない内容だったとも言える。

惜しむ点を挙げるのであれば、ところどころでオフェンスが単調に見えたところと、相手のファウルトラブルに対してのオフェンス選択だ。

前者は、速いテンポのバスケットとのトレードオフであり、それによって1.エイブラムの26得点というスタッツが生まれていることもあり、結果論の側面もあると感じる。

しかし、1Qの中盤などは、ポジションが取れていない状況でのシュートが外れることによって、ディフェンスも後手に回っているように見え、立ち上がりの良い流れを手放してしまったように思った。

そのようなシュートを放つのであれば、戻りを速くすることが重要であると感じる。

後者についても、難しい部分ではあるが、試合巧者のチームであれば、インサイドを徹底的に攻めて、相手を嫌がらせるだろうなと思って見ていた。

今日の試合の立川の得点源は21.フィッツジェラルドと98.ファルゾンの2人であったし、特に21.フィッツジェラルドはほぼ止めることは不可能で、おそらく最も効果的なディフェンス方法は彼をベンチに追いやることだったはずだ。

実際、14.ジャクソンのゴール下で簡単に得点を取ることもできていたため、これも結果論ではあるが、徹底する姿勢を見たかったところでもある。

明日もこの試合と同じディフェンス強度は必須となるであろう。その上で、どのように勝利への道筋を立てるのか、ホームでの意地を期待したい。

GAME2
山口80-87立川
(21-25,19-21,21-20,19-21)

山口はスターターに8.下山と31.富田を起用。
3Pシュートが打てる選手を2人ともコートに立たせる選択となったが、その狙いがどのように表れるのか、注目したい。

-1Q-

先にリードを奪ったのは立川。3.町井のドライブで先制点を挙げると、41.リックマンのインサイドで4点、その後に21.フィッツジェラルドのドライブアタックで4得点と、前日とは異なる多彩さを見せた。

一方の山口は8.下山の3Pシュートをちらつかせて他の選手のシュートチャンスを狙っていた。31.富田のレイアップや14.ジャクソンのインサイド、そして8.下山自身の3Pシュートが2本決まって立川に迫った。

中盤以降も21.フィッツジェラルドの得点の他、3.町井の2本のアウトサイドシュートや41.リックマンのインサイドで得点を奪った立川のペースで進んでいた。

山口は1.エイブラムの3Pシュートが不調なことと、要所で戻りが遅くファストブレイクで失点をしてしまい、立川にリードを許した。

それでも11.山口の3Pシュートによって21-25と4点のビハインドにとどめた1Qとなった。

-2Q-

2Qは21.フィッツジェラルドをベンチで休ませる立川だったが、前日とは異なり、彼がいない時間帯も得点ペースは落ちなかった。

41.リックマンがインサイドを支配して得点を挙げると、18.森本、53.森のドライブアタックに18.森本の3Pシュートと、別の得点源が生まれてリードを広げた。

山口は11.山口の3Pシュートや7.ケンドリックのアタック、14.ジャクソンのインサイド等、得点を挙げる形は作ることができていたが、ディフェンスが機能せず、点差を広げられる展開となった。

ディフェンスで苦労していたのは立川ガード陣ドライブアタックだった。

この試合の立川はピックを使ってからのドライブアタックの意識が強く、21.フィッツジェラルドや41.リックマンのインサイドを注意せざるを得ない中で、そのままドライブしてくるガード陣にマークがつききれず、簡単にレイアップを許していた。

2Qだけでも3.町井、18.森本、53.森と3人がそれぞれドライブから得点を生み出し、さらには18.森本と53.森が3Pシュートを1本ずつ決めて、チームを引っ張った。

ただ、終盤には山口も立川ビックマンのポストアタックをダブルチームも含めて何とか守り、立川のシュートが落ちることにも助けられながら、持ち直すことき成功した。

14.ジャクソンが試合をつなぐ8得点を挙げてチームを牽引し、40-46と6点ビハインドで前半を終えた。

-3Q-

3Q序盤からゾーンディフェンスを繰り出す山口だが、21.フィッツジェラルドから41.リックマンへのハイロープレーを止めることができない。

決して簡単にシュートを許しているわけではないが、41.リックマンが確率高くねじ込んでくるため、ディフェンスが成功するシーンは少なかった。

それでも、粘り強くペイント内への進入を防せごうとする姿勢を継続すると、立川のシュート確率が少しずつ下がっていくようになる。

すると、投入されてすぐに7.ケンドリックが2本のシュートを決めて点差を詰めると、この試合シュートタッチに苦しんでいた1.エイブラムに遂に火がつく。

3Pシュート3本を含む13得点で1点差まで追い上げる原動力となった。

終盤はターンオーバーや相手のフリースローで点差を再び広げられたものの、流れは引き寄せた状態で3Qを終えた。

61-66と立川が依然リードを保っている。

-4Q-

4Qは互いに2点ずつを取り合う展開の中、53.森や32.秋山の3Pシュートが外れ、山口が少しずつ点差を詰める流れとなった。

7.ケンドリックの高確率でのアタック、また2.上松の3Pシュート、そして21.フィッツジェラルドのアタックを連続をスティールするなど、山口に良いシーンが多く、72-74と2点差でオフィシャルタイムアウトに突入した。

勝負のオフィシャルタイムアウト明け、流れを掴んだのは立川だった。
キープレイヤーは41.リックマン。前日とは別人と思えるほどのインサイドの支配力を見せ、21.フィッツジェラルドのアシストから2得点、オフェンスリバウンドに絡み、3.町井のドライブアタックを作り出した。

残り1分強で6点差に広げた立川。最終盤は山口のプレスに連続でターンオーバーを出してしまったものの、ファウルゲームでのフリースローをきっちり決め、山口の拙攻にも助けられ逃げ切りに成功した。

-試合後の感想-

4Qの進め方がお見事だった立川だが、この試合のMVPは41.リックマンであろう。前半からインサイドを支配し、難しい体勢からのシュートも高い確率で決め続けた。

勝負所の時間帯でもチームを助けるリバウンドに絡むプレーがあり、22得点、15リバウンドのダブルダブルのスタッツを残した。

山口はプレーオフ進出ラインとなる8位の立川にホームで痛恨の連敗。ゲーム差が6となりいよいよプレーオフ進出が厳しい状況となった。

2試合ともに接戦の展開で、あのゴール下のシュートが決まっていたらなど特定のポゼッションにおいて悔やまれるシーンもいくつかあったが、細かい部分の差で立川に軍配が上がったと言える。

この試合に関しては、追い上げて勝ち越しまでを果たすためには、爆発力が足りなかった。
ディフェンスで仕掛けてスティールからのファストブレイクや3Pシュートなど、勢いがつくようなプレーが飛び出すことが必要だったと思う。

そのために、9.重冨、25.田中のツーガードでオールコートでプレスにいく形や、3Qに火をつけた1.エイブラムや飛び道具を持つ8.下山をどこかで起用する形も見たかったところではある。

もちろん、オフィシャルタイムアウトの直前にはディフェンスで仕掛けて21.フィッツジェラルドからスティールするシーンもあり、コートに立つ選手の奮闘も見えたので、一概には言えないが、振り返りの一つとして上記の点は書き残しておきたいと感じた。

いよいよシーズンも残り2ヶ月と少しの戦いとなった。プライドをかけて上位チーム相手に一泡も二泡も吹かせてほしい。

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