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「あほよ」のハナシ

50年前の友達のお話です。

中学に入った時に「あほよ」というアダ名の男子がいました。
ほとんどの生徒は同じ小学校からの繰り上がりでしたが、私を含め1割くらいは他の小学校卒業であり、「あほよ」とは初めまして。

彼の本名は、吉○君なんです。
「あほよ」とは、アホの吉○の略だったのです。
小学生なんて、悪気も無く残酷なものです。

小学校時代の同級生には、ただ色黒だというだけで「う○こ」って、アダ名の奴もいましたわ。
(お食事中の方、ゴメンナサイ)
電車の中でも、仲間同士で「お〜い、う○こ!! 帰りにカレー食って行こうぜ!!」なんてね・・・。 滝汗


で、この「あほよ君」、なぜアホ扱いなのか・・・。
その理由は、すぐに分かりました。

彼には、聴覚障害があったのです。
大きな声で会話すれば問題ないのですが、普通の声で話しかけられても、聞き取りづらいようでした。

本人も何度も聞き直すのが嫌だったのでしょう。
聞こえてなくても、ごまかすようなコトも多く。
さらに、何かの質問だったりすると当然答えられないわけで・・・。
返事に行き詰まって、おどけてみせたり奇声を発したり。


それが彼にとっては、精一杯の自己防衛なんですが、子供の目から見たら「アホ」になっちゃうんですよね。
コイツは生まれてからずっと、そうやって周りの友達と折り合いをつけてきたのかと思うと、何か凄くショックでしたねぇ。

だって彼は、私なんかよりもはるかに学校の成績も良いし、同じ陸上部で凄まじいパワーを持っているのも分かりましたから・・・。
音が聞こえづらいというだけで、どれほどのコトを我慢し、どれほどのコトを諦めてきたのか。

だからといって私が何か出来るわけでもなく、ただただ友達でいただけですけど。
まぁ半世紀も昔の話なんで、今では取り巻く環境もずいぶん変わったとは思いますけどね。


実は、その数年後に聴覚障害者と交通事故を起こしたコトがありまして・・・。
その時に、ふと「あほよ」の顔が浮かんだコトは内緒です。 笑


中学3年間だけの付き合いだったけど、天体写真の撮り方を、手取り足取り教えてくれた「あほよ」。
良いヤツだったなぁ、元気でいるかなぁ〜。



キャロル・キングの名曲ですが、ちょっと渋く
ロバータ・フラック & ダニー・ハサウェイで

You've Got A Friend (君の友だち)



では、では、また次回。 ありがとうございました!!