#一人芝居戯曲
じんのひろあき短編戯曲集 『鏡美人』
『鏡美人』
明転。
東の部屋。
あぐらをかいて、片手で持った一升瓶のラベルをじっと見ている東。
その背後には今、開けられたばかりだろう、宅急便の段ボールが転がっている。
東、ふうっと小さなため息をついた。
すぐにピンポーン、と、玄関のチャイムが鳴ったかと思うと、風呂敷で包んだ重箱を提げた龍之介が入ってくる。
龍之介「ごめん、ごめん、車、池袋のあたりでめっちゃ混んでて」
東「
連作一人芝居『我々もまた世界の中心』 『電気鰻』
飲み屋の椅子席でひとり残ったビールを空けている由紀夫。
と、トイレから和美が戻ってきた。
「和美ちゃん…長かったね…トイレ…大丈夫? 大丈夫だよね…参ったなあ…いきなり酔っ払ってるんだもの…俺、待ってたんだよ…一応…会社終わって…(この)待ち合わせの時間来るまで…自分で進んで残業しちゃった…でもまだ時間余ったから…時間かけて飯食ったりして…和美ちゃん、誰と飲んでたの? いやいや…違う