アメリカ旅5
次の日おっちゃんからもうすぐこのオライビでハーベストシーズン最後の儀式があるから是非参加してほしいって言われた。
聞くと、ホピでは夏至から冬至のハーベストシーズンと冬至から夏至のカチナ(精霊)シーズンで別れてて、カチナシーズンには聖山サンフランシスコ・ピークスからカチナ達がやってきてホピの人と一緒に半年過ごすらしい。
ハーベストシーズンの今はカチナは聖山の上からホピのことを見守ってくれてるらしくて、今回は季節の変わり目の儀式になるらしい。
ホピは伝統を守る保守派と文明を受け入れたい派で分裂しまくって今は12この村に別れてしまったけど、儀式をやる場所は昔から決まってるから儀式のときはみんなでやることになるらしくて、今回は12年ぶりにオライビでこの儀式をするからオライビは他のホピをもてなす側になる。
おっちゃんの家が今回の儀式の準備するらしいからこれから忙しくなるし、オライビの人ももてなす側としてこれから緊張感が高まってくるから、すごい雰囲気になるらしい。
ただ気をつけなあかんのがおっちゃんはおれを認めてるけど、他のホピはおっちゃんの言い分が分からん人もおるやろうから、ホピのルールを知らん間に破ったりしたらどうなるか分からんとか酒の乱闘に巻き込まれたら殺されるけど多分大丈夫とか、全然大丈夫じゃなさそうで不安になった。
しかもその儀式は2週間後。
なんかちょっと怖いから考えさせてって言ったけど、おっちゃんは注意したら大丈夫やから儀式の準備から参加して欲しいって言ってきた。
朝ごはんを食べた後、おっちゃんがおれは昼からヒッチでナバホ族の町に引っ越した娘の家に行って儀式の準備をして明後日戻ってくる。
出かけてる間は、兄の友達の韓国人の夫婦の家に泊まって、その後戻って来なさいって一枚の地図と手紙を手渡された。
地図には長いヒョロヒョロの線の横に、離れて2軒の家の絵が描かれてて、1軒目の家の横には木の絵が描かれてるだけ。
韓国人夫婦の家はちょっと遠いからまずはオライビの崖下のキコツモヴィ村におるおっちゃんの従兄弟の家(横に木がはえてる家)まで歩きで行って、車で韓国人夫婦の家まで送ってもらってってことやった。
この地図でほんまに分かるん?って聞いたらこの辺で家の横に木がはえてるのはこの家だけやからすぐ分かるって言われて信じるしかないかって思った。
おっちゃんがいうにはキコツモヴィ村に行くまでの道は、外人は道路の道を使わなあかんらしいけどめちゃくちゃ遠回りで何時間もかかるから、メサの崖を降りる道を使った方が近いから、特別にこの道を使っていいよ。
ただ本来はホピしか通ったらダメやから絶対に道を間違えずに、寄り道せずに道なりに真っ直ぐ行くんだよって言われた。
オライビから1時間半ぐらいかけてメサの崖を降りる。
途中向こうから歩いてくる人がこっちに気付いて立ち止まってどっかに隠れようとしてそうやったけど、多分ホピでも道以外のところを踏んだらダメなんか立ち止まってオロオロしてる間におれが距離を詰めて行った。
近くまできて軽く会釈してから挨拶しようと思ったけど、信じられへんみたいな顔されたから挨拶出来んくて、おれもあんぐり口を開けてこっちもびっくりみたいな顔してすれ違った。
いやこれ絶対おれ通ったらあかんやんって思ったけど、もう引き返せんし、それ以外の選択肢なかったしって頭の中言い訳でいっぱいになってるうちにキコツモヴィに着いた。
キコツモヴィは崖の上から見えてたけど、オライビと比べてだいぶ広い面積に家がいっぱいあって、崖沿いのニュータウンみたいなエリアと、メイン通りの周りに区画整理されたみたいに何筋かの通りと、通り沿いにいっぱい家が建ってる。
後から聞いた話によると、100年ぐらい前にオライビ村が伝統ガチガチ派のホテヴィラ村とゆるゆるオライビ村の2つにわかれて、オライビ村に残った人々の中でも特に近代化を願うクリスチャンが中心となって作ったのがこのキコツモヴィ村で、
キコツモヴィ村は白人文化を半分受け入れてて、学校とかスーパーマーケットとかホピ政府(ホピ部族議会)があるらしい。
崖上からキコツモヴィを一望してて嫌な予感がしてたけど、やっぱり嫌な予感が的中した。
家が多すぎておっちゃんの地図じゃ従兄弟の家がどれか全然分からん。
とりあえずメインの道を歩いてみたけど、家の横に木がある家は無いし、違う通り沿いの家をしらみつぶしに歩いてみたけど全然わからんくて、気がついたらだいぶ離れたニュータウンまで来てて、そこに建ってる家の横にはどこも木が植ってるし、2時間ぐらいさまよったけどやっぱり全然わからんかった。
仕方ないから道を聞こうと思ってもすれ違う人からはものすごい不審がられて無視されるし、家の前におる人らに道を聞いても、わっ外人がなんか言ってるー!って感じで相手にされんくて途方にくれた。
お腹空いたしスーパー行で買い食いしよだと思ってサンドイッチを買って店の前で食べながら、文明の便利さに複雑ながら感謝してたら、白髪の長髪を一本くくりにしたかっこいいインディアンのおっちゃんが目に入った。
白髪一本くくりのおっちゃんは通りかかる人みんなと楽しそうに話しをしてる。
多分村の偉い人なんやろうなーって思って見てたら、そのおっちゃんが話しかけてきた。
こんにちはー。日本人の人ですか?って。
!!??日本語?え?日本人?え?って混乱しながら、もしかして日本人ですか?
って聞き返したら笑顔で答えてくれた。
後ろから奥さんも登場。
奥さんは見た目的に韓国人?って思ったら、
こんにちはー日本人?珍しいねーって話しかけて来た。どっちも日本人やった。
ここに至るまでの説明をしたら、君が探してる韓国人の夫婦ってゆうのは多分僕達のことだよ。だってその地図の目的地は僕達の住んでるところだからね。とりあえずうちに来て、それからゆっくり話しを聞かせてっ言って来た。
インディアンやと思った人が日本人で、探してる韓国人夫婦が実はこの日本人夫婦。こんがらがる頭を整理しながら車に乗り込んだ。
スーパーから日本人の夫婦の家までは車で5分ぐらいで、わざわざ従兄弟に送ってもらわんでもええやんって思った。
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