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バチェラー『ジャパン』としての完成形がついに出た|#雑感レビュー

こんにちは、ヒヅメです。

Amazonプライムビデオの人気恋愛観察バラエティー『バチェラー・ジャパン シーズン5』が8月24日に最終回を迎えましたねー。

画像をタップでAmazonプライムビデオにリンクします。

僕は妻の影響で恋愛観察バラエティー(『あいのり』とか『テラスハウス』とか『脱出おひとり島』とか『ザ・ジレンマ』とかもろもろ)を結構観るようになりまして、バチェラー・ジャパンもシーズン1から観ているファンなのです。

今回のシーズン5を観て、ちょっとこれまでとは違った感動があったので、それを共有したいと思います。

以下、具体的な参加者の名前などは伏せていますが、気になる人にとってはがっつりネタバレです。未視聴の方でも楽しめるように書いていますが、おすすめは何も見ずに本編を視聴です。



1.イチから恋愛をする

『バチェラー』は、参加者目線から見ると、容姿端麗&頭脳明晰&お金持ちの三拍子が揃った男性であるバチェラーを20人程度の参加者が恋人になれる最後の一人を勝ち取る番組です。バチェラー視点では、参加者の中から本当に愛し愛される一人(真実の愛)と出会うためデートを重ねていく番組なわけですが…正直『バチェラー・ジャパン』ではそれが形骸化しているなと思っていました。

まず本家と違って、参加女性がそこまで「お金こそすべて」「イケメンこそすべて」に振り切れてないと思うんです。「そうは言っても人間的に合わなきゃ無理」という、ある種まっとうな安全機能が作動しているというか。

それに日本には日本の恋愛観察バラエティー文化もあるので、『バチェラー』の直輸入ではなく『バチェラー・ジャパン』ならではの試行錯誤が過去ありましたが(スキンシップの程度とか、参加者女性の煽り方とか)、当のバチェラーが結構アメリカナイズされている方なので、「この演出は嚙み合っているのかなあ」と思うこともありました。

その中で今回のバチェラーである長谷川惠一は「自分のことを知ってもらって、好きになってもらおう」という立ち位置からスタートします。みんなバチェラーのことは(イケメン金持ちだから)基本的に好きという建前さえ破壊しました。

彼は女性版バチェラーである『バチェロレッテ シーズン2』の参加者ですが、従来のバチェラー像にぴったりな方では無いなと僕は感じていました(もちろん事業も成功させ、実業団バスケ選手で、素敵な方ではあるんですが)。

そう『従来のバチェラー像』ではないんですが、すごく日本的な姿勢だと思いません?「知ってもらいたい、好きになってもらいたい」というのは僕らが凄く肌馴染みのある恋愛観察バラエティー感なんですよね。

僕は初回を観た時に「ついにバチェラージャパンもそっちを選んだんだ…」と思いました。ただこれは惠一(以下視聴時の呼び名で呼びます笑)と参加者の人間性が生み出した奇跡のような出来事なんです。

2.女性陣の人柄&友情が素晴らしい

僕は恋愛観察バラエティーを観ていて確信が1つあるんです。それは「参加者の友情が開花した作品は名作」なんですよね。

一人の相手を巡る参加者同士の友情であったり、長く特殊な環境にいる者同士の友情であったり。恋愛観察バラエティーは他人の恋愛を観察するバラエティーですが、友情は間違いなく恋愛観察バラエティーのスパイスになります。

本家バチェラーではどちらかというと『バチェラーを巡る女性同士の争い』が人気のようです。過去のバチェラージャパンでも、バチェラーが他の参加者と『お泊り』したことをバラさせるようなゲームをするといった『争わせる演出』がありました。

今回もそういった演出はありましたが早々に失敗します。惠一の不用意な発言によって一部の女性参加者が違和感を覚えたことをきっかけに、それが連鎖反応するように仕掛けましたが『違和感を覚えたメインの人が二人きりの時に直接恵一に指摘する』『惠一がそれをすぐに全参加者に謝罪する』という至極まっとうな方法で一気に解決します。

本来なら女性同士が集まってああでもないこうでもないと不満を爆発させるところですが、今回の参加者はみなさん実に素敵な、自立した、変に虚勢を張らない、気配りもできる余裕ある大人の女性たちでした。

初期の脱落者の挨拶でも涙を落とす人がちらほらいたことからも、お互いに協力し合いこの特殊な環境をサバイブしようという連帯感が僕からも感じられました。

特にあの『プール飛び込み』にたどり着くまでの一連の流れは本シーズンでも屈指の名シーン&本シーズンのターニングポイントですが、番組演出の在り方としてもターニングポイントになった気がします。

3.惠一のチームマネジメント力が凄い

番組内ではいろいろと大変なことがおきますが、惠一の問題解決を見る度に「この人の下では働きやすいだろうなあ」「女性陣の友情には惠一のマネジメントが確実に影響しているな」と感じていました。

上記でも書いた惠一の不用意な発言も、指摘してくれた女性との会話から最速のタイミングで謝罪します。また何かしらの理由によって傷つけてしまった女性へのフォローも常に最速で行います。そういう小さな事象を最速で解決する姿勢は、ある参加者の「なんなのあいつ!もう無理!嫌い」⇒「好き♡」となる流れも生み出します。めちゃくちゃ笑った。

極めつけの問題解決は2点。

1つ目。いつもは明るく気丈な参加者が、バチェラーに愛されているのか?自分が選ばれるのか?と急に不安になり、体調を崩してしまう場面。この時も惠一は「すごく心配した」「だって大切だから」と素直な思いを口にし、その参加者にとって一番の不安原因であったローズ(次のステージに進める印)をその場で渡します。

よくあるんですよ。「君は大切なんだからデートしなくても分かるよね?」vs「本当に好かれてるのかな?」って構図。今回もそれが一因ではあるんですが、それを最速で解決する方法を惠一はやっちゃいました。

普段のチームマネジメントに失敗していれば「ひいきにすんなよ」「私も体調不良になればよかった」となりそうですが、惠一とその参加者の人柄は「うんうん、よかったね」という笑顔と涙を生み出しました。

2つ目。とある参加者のデート途中でそのデートを中止しなくてはいけなくなった場面。こちらも参加者の「ちゃんと残念だった気持ちを伝えよう」という英断とバチェラーの誠意のこもった対応で、参加者を完全に恋に落とします。

よく「何か思いがあるならちゃんと言葉にしてよ」というセリフを巷で聞きますが、言葉にしてくれるかどうかは「この人ならちゃんと誠実に対応してくれる」という信頼とセットなのかもしれないなと、惠一と参加者を見て思いました。ほんとみんな素晴らしい。

4.良い意味で日本的な問題解決が良い

上記の『最速の謝罪』の件ですが、必ずしも謝らなければならなかった場面ではないとも思えます。

例えば過去にもあったように「それが自分の考えだから」と自分のスタンスを明確にすることや、疑心暗鬼になったメンバーに「気になるなら直接聞いてよ」と詰めることも選択肢としてはあります。

僕はこれらの対応を見る度に「なんというか…アメリカ的問題解決だなあ」と思っていました。ただ正論は人を不安にします。

問題解決にあたって、自分のスタンスを明示した上で、相手と違うことをクリアにするアメリカ的な手段は有効ではあるものの、相手の行き場をなくしてしまう危険性があります。

惠一がよく使用したのは、自分のスタンスはいったん置いておいて、一回相手に寄り添ってみた上で解決策を探るという手段です。こちらは相手が増長するリスクはあるものの、相手から行き場をなくすことはありません。

ちょっと横道にそれますけど、例えばいじめをしている相手に対して「悪いことするな!出ていけ!」と言うのではなく「楽しんでるのかもしれないけど、さすがにそういうことするのはやめようぜ」って肩を組むような…分かります?

それによって何が良いかというと「何かを発言しても突き放される危険が無いので、人が不満を軽い状態のうちに発言できるようになる」ことなんですよ。まさに今回がそうでした。

多分惠一は「自分の気持ちには鈍いが、他人の感情に”あたり”やすい」んだと思います。共感型というか。

シーズンの最後になると、バチェラーと参加者がスタジオに集まってお話をする回があります。ほぼ恒例なのがバチェラーへの不満爆発演出ですが、今回はこれも全く起きなかったことからも惠一と参加者の良好な関係が見られます(一部の参加者が分かった上で演出する”プロレス”はありましたけど)。

5.恋愛している時は今まで通り気持ち悪くていい

惠一が従来のバチェラーとは初期姿勢や対応方法が違うことをつらつらと書いてきましたが、一歩進んだ、本気の恋愛をする時はちゃんと「バチェラー」っぽくなります。

スタジオではそれを「オスみ」と呼んでいましたし、我が家では「気持ち悪さ」(愛しみを込めてですよ!)と呼んでいました。

多分なんですけど、一歩進んだ、本気の恋愛をしている時って、他人からしたら気持ち悪いんですよ。その雰囲気の中にある両想いの二人だけに通じる男性のしぐさ…それが「オスみ」なんだと思います。

これは過去のバチェラー全作でも見れますし、惠一も最後の3人に対してはしっかり「オスみ」を出していました。

惠一がここに至るまで、すごくまっとうな恋愛ステップを踏んでいたので、この「オスみ」が見れた時には感動しちゃいました。「あ、本当に惠一はこの人のことが好きなんだなあ」って。

恋愛している人が他人から見て気持ち悪くたっていいんです!

6.最後の二人が選べない

これまでのシーズンはだいたい「こっち選んでくれないかなー」というのがあったのですが、今回はラスト二人が本当に素敵過ぎて選べませんでした(いや”推し”を決めるって意味で)。

選ばれた彼女は、最後方から一気にヒロイン街道を進んでいきました。韓国ドラマのヒロインかよってくらい。あまり注目されませんでしたが、彼女はいつも参加者の注目を集め、地道に一人一人に声掛けして、チーム「参加者」を陰ながら牽引していました。加えて、恋に浮かれる楽しさと冷静さを併せ持ち、頭が良いのにそう思わせず、甘え上手で、感情豊か。あと「オタクしぐさ」的な感じも魅力に取り込んでますね。最後の2人になった時も「オス、オス」と会釈をして相手を笑わせています。

選ばれなかった彼女は、僕の中で「失敗しない女」でした。仮に恋愛ゲーム「ときめきメモリアル」みたいな選択肢が恋愛にあったとして、すべて大正解を引いてくるんですよ。しかも即答で。お別れかもしれない中で「最後じゃない。したくない」と伝えてバチェラーをドキっとさせるといった大一番から、細かい会話のツッコミまで。本当に頭の回転が早い上に、相手の感情や機微を感じ取り、リアクションするのが上手です。バチェラーという特殊な体験も含め『今』を楽しもうとする姿勢や相手を落ち着かせてくれる雰囲気も魅力的です。

そして何より惠一が、二人と同時に「付き合っている」レベルまで持って行ってるんですよね(正確には3人目の参加者まで含めた3人と同時)。

僕はかねてより「バチェラーは複数の女性と同時に付き合う企画」と思っていましたが、惠一は「複数の女性と恋愛をスタートさせ、成就までたどり着いた3人と好きなうちに別れ、一人を選ぶ」という大冒険をしでかしました。

そう、好きなうちに別れなきゃいけないんです!そりゃ決められませんよ。普通の恋愛だったら何かしらのことがあって別れに至るのに、恋愛の一番楽しい時期に別れを決断しなきゃいけないんですもん。

惠一と3人の参加者がその状態までたどり着いたからこその「選べない」なんです。これは5シーズン通して観てきたからこその感動でもありました。

7.過去最高シーズンとなったバチェラージャパン5をぜひご視聴ください

ちなみに僕は最終回を観終わるまで、本編以外の公式動画、メディアニュース、SNSなど一切観ません。だから参加者のバックボーンもいまだによく知らないし、上記の感想も本編のみを観た上での感想です。

ただし!観た後に誰かと話をするのはめちゃくちゃ楽しいんですよね。僕は妻だけでは飽き足らずこうしてnoteにまで書いちゃいました。過去5シーズン+バチェロレッテ2シーズン観て初めてのことです。

それくらい僕の中で『過去最高シーズン』であり『バチェラー・ジャパンの在り方』が現れた傑作シーズンになっていると思います。もし未視聴の方がいらっしゃったらぜひ観てみてください。

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