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抜歯レポ~親知らずVS俺~

10/28~10/31にかけて入院して、親知らず上下左右4本を全身麻酔で抜歯してきたので覚え書きです。遅くなっちゃったな。

そもそも「親知らずがある」ということが明らかになったのはツイッターを見る限り2017年のよう(なんでもツイッターに書くからわかるね)で、
2018年8月には「口の左側に痛みが始まった」とのツイートがあるのですが、多忙さを理由にほったらかしている間に痛みが日常化してしまい何がいたいということなのかわからなくなり……
2019年8月、ついに左側奥歯横に親知らずの頭が出没。ついに「抜歯」ということが現実化してしまいました。

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歯医者に紹介状を書いてもらった大学病院は平日の午前中という勤め人にはハードルが高すぎる時間しか診てくれないので、行くタイミングがねえなあ~とウダウダしていたのですが、もうしょうがねえ…と腹をくくり会社に相談して午後出勤にしてもらい病院へ。私の会社には半休制度はありませんのでこの後病院に行けば行くほど賃金が音を立てて崩れていくことになります。

先生「4本あって、右(私からして左)が口の神経にかかってて、左は骨にかかってすね。上2本はまだ伸びきるまでリミットはありますがどうします~?1本ずつ通院して何か月かかけて抜くかあ~、1週間弱入院して一気に抜くかですね~。」

入院~~~!?!?
親知らずって入院パターンあんのか…。ツイッターで見かける限りの親知らず抜歯人(ばっしんちゅ)は日帰りで抜いてるタイプばかりだったので、そういう選択肢があるとも思わず、そして入院ができるかどうかもよくわかんねえのでいったん持ち帰り。12月に神クズのイベントが控えてることもあり、面倒なことは一気に済ませておこうということで会社に相談して入院を決めました。
私の親知らずの病名は「両側下顎水平埋状智歯 左側上顎埋状智歯 右側智歯周囲炎」だそうです。


入院1週間前?に全身検査でレントゲンを撮ったり血液検査をしたり肺活量検査をしたりして、その後病院の都合で入院を延期され、結局10/28に病院へ。直前に風邪をひきかけたのですが「もうこれ以上入院を延期して『あれ…肘樹さん……なんでまだいるの?』と会社で気まずい空気になりたくねえ!!!」と思ってクソ高い葛根湯で無理やり治した。

1日目

や、やることね~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そりゃそうだ。これから歯を抜かれるということ以外健康すぎる女がこんな10時過ぎにパジャマ着て病室にいてもやることがないのである。6人病室。
院内の図書館で辻村 深月さんの「ハケンアニメ!」を借りてきて初読。1時間くらいで読めた。もう最近活字自体から離れがちではあったが、こういうサクッと読める娯楽小説系久々に読んだなあと思った。

12時には昼ご飯が運ばれてくる。食事はすべて配膳カーのようなものに乗せて廊下を運んでおり、その配膳カーは「メリーさんの羊」をBGMに流しながら近づいてくるのだ。ちょっとあえてそぐわない曲を流して恐怖を演出する処刑シーンみたいである。それにしてもお腹がすいてねえ!!!
ベッドの机、高さがハンパで食べ辛かった。

この件についてさまざまな識者から解決策を寄せられたが、とうとう私がベッドの机と和解することはなかった。

ご飯を秒速で食べ終わり、いよいよやることがなくなった。美しい麻酔科医があいさつに来たり、看護師チームがあいさつに来たり、先生と明日の手術についての面談があったりしたが
「緊張してるぅ?」「や別に…(ワラ)」~完~で3分くらいで終わってしまった。

ヒマなので病院のあちこちに診察待ちの人が読むように置いてあるマンガを巡っていたが、大学病院の漫画のラインナップは圧倒的に謎なセンスだ。アンジェリークやパッパラ隊、サザンアイズなどもあり。いったい誰の私物だったのだろう……。

看護師が来て、「明日の朝8時半から手術なので、24時からは何も食べないでくださいね。飲み物は朝6時からダメです」と言い置いて行った。むしろ24時まで食ってもいいのかよ。
若くて健康だから(そんなこと言ってくれるのは病院だけ)とはいえ、普段でも24時に食べものは食べない。

とはいえせっかくならギリまで攻めてみようかなと下の購買でチョコパンを買って、カフェオレも用意して、22時くらいに夕食後のデザートとして貪り食った。この時点で朝10時の入院以降、ただめちゃくちゃな生活を送りに来たオタクでしかない。
病院には微弱ながらwi-fiも通っている(6~21時のみ)のでアニメでも見ようかと「魔入りました!入間くん」をdアニメストアでipadにダウンロードした。
1話落とすのにもかなり試行錯誤してしまった。1話だけ見て、ダバンプのOPに面食らった。12時をすぎてバビバビバビバビるしつつもようやくしぶしぶ就寝。

2日目(手術日)

朝5時50分ごろ目が覚める。確かに喉が渇いていると言えばそうなのだが、私にはこの時点で「手術の時って尿道カテーテル入れられるのかどうか?」ということがサッパリ不明であった。というか、手術前から歯のことよりそれが一番の懸念事項であった。

T字帯(ふんどしのようなもの)を入院グッズとして準備せよという指示があった以上、尿道カテーテルは行われるのであろう…という覚悟はあった(入院抜歯レポでも入れられた方はチラホラ散見)が、
なぜか1日目に看護師がT字帯の回収に来た際「名前を書いていただいていいですか?あ…いや、使わないかもしれないんで…やっぱ外袋にでいいです」と突如T字帯の運命に新規ルートを開拓するようなコメントを残していっており、「これ尿道カテーテル回避ルートあるだろ!?」という光明が私の中に差し込んできていた。

とはいえ、カテーテルルートも生きてはいるのでそんなに水は飲まないでおこう…と思い二口くらい飲んだ。
朝8時、術衣に着替える。着圧ストッキングをはいていたところで看護師さんから「下着は下だけにしてくださいね~」と言われ尿道カテーテル回避ルート来たんじゃねえのか!?!?
だってパンツ履いてってふんどしで帰るの意味がなさすぎるもんなあ!?!?!?と歓喜していた。いやT字帯使用正規ルートを知らないのですが。とにかくやったぜ。(脳内BGM:GET THE WORLD/影山ヒロノブ)

歯を抜かれること以外は健康そのものなので、歩いて手術へ。先生たちとぞろぞろ向かう。道中、先生は「俺の地元は赤ちゃんが生まれたとき血液型教えてくれないんだよ~。○○くんはどう?知ってる?自分の血液型。」などとノンキにもほどがある会話をしていた。

手術フロアではいろんな手術が今日の中に詰まってるんだろうなあ…とぼんやりしてしまうくらいいろんなものや人が広い廊下を忙しなく行き交い、おもしろかった。
術前に、待機室みたいなところがあって、そこの真ん中にイスがあって、そこで一人座らされて名前を言わされる。実験台みたいでおもしろ~。

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満を持して手術室へ。自分で台に上がると、麻酔用に針を刺される。
「うわーまっすぐで刺しやすい!!すっごくいいですね~~~っ!!!」と血管のまっすぐさを絶賛される。そいつはよかったです。
それにしてもこんな明瞭な意識のまま「これから呼吸など止まりま~す」って宣言されてるのってすごいな。プチ死じゃん。蘇生確定の死、医療の力を感じる。とか思ってたらすぐに寝ちゃった。

ベッドで目覚めると11時半過ぎごろであった。時計を見ていないのでおそらくであるが。
私の顔の左右には保冷枕が置かれ、酸素マスクが付けられ、手からは管が伸びていて、胸には測定用のパッドが4枚ほど?はっつけてあった。息が苦しい。
手術前まで健康だったのに一瞬で大変な状態になってしまったな…と思った。

とても喋れそうにないのだができると言えばできる、しかしおっくうさがぼんやりと鎮座しており頷きなどで適当に答える。
「痛かったらナースコールを押してください」「2時間おきに血圧を測ります」など看護師さんが説明してくれるのをハイハイと聴いているのだが、手術に立ち会っていた母はそれを繰り返し私に説明してくれる。わ、わかってるよ聴いてたし……とは思ったが、ボンヤリして意識があるんだかないんだかもよくわかんねえ娘への優しさなのだろう…と聞き流した。

口の中には大きな違和感があり、口も切れ、鼻には鼻水が出てるのかと思ったら血がこびり付いていた。「痛いな…」という感覚だけがあり、時の流れが異様に遅く感じる。こ、これまだ昼なの!?おいおい!!!!!
12時?まったく覚えていないが、その瞬間は突然に来た。

痛いィ!!!!!!!!!!!!!!!!

急激に「ここからいっきまーす!!!!」とスイッチを切り替えたかのように「痛み」が「激痛」になった。私は異様に痛みに弱いのである。生理痛もまったくなく、運動もせずケガもせず痛みと無縁な生活をボンヤリ送っている人間がいきなりこんな痛み…耐えられないよぉ~~~!!

苦しみ出した私を母は心配していたが、「14時半にはお水飲んでいいらしいから、そしたら痛み止めも飲めるからね」と励ました。
14時!!!!!!!!!!!”今”痛いのだが!??!?!?!?!?!
あまりにゆっくり流れる時と今この瞬間叩きつけられためちゃくちゃな痛みが解消されないことに絶望してしまった(よわよわ)。
しかし、あまりのことに耐えられず14時前、13時半ごろにナースコールを押してもらう。
すると「わかりました!痛み止め入れますね!」と言い残し、看護師のお兄さんがサッと痛み止めの点滴パックを持ってきた。

あ゛…??あ゛…?点滴…?点滴……?

じゃあさっきまで耐えていた意味とは…????????**

カッチャマのデマ情報に踊らされていたことにさらに絶望したが、痛み止めが入るとかなり苦痛が和らいだ。よく考えたら今日は絶食で点滴を入れるんだからそっから痛み止めを入れるに決まっている。
ベッドの傍らには私から摘出された、血肉まみれの親知らずたちが収まったフィルムケースが置いてあった。
母に持ち帰って洗浄してくれと頼んだが嫌がられた。

この後も「この痛み止めが切れたら、“あれが”襲い掛かってくる…」という恐怖に取りつかれていたのですが、この後“あれ”級の痛みはありませんでした。ほどほどに痛いというところで痛み止めを入れてもらう。

左手には点滴用の管が繋がれ、指の先には酸素をはかるやつか?赤く発光するかっこいい何かがついている。体に管が刺さってるって動きづれえ~~。左半身をかばいながら寝苦しくない姿勢を探る。操作マスク苦しすぎて速攻のけてもらったが、酸素出てるのか!?19時にはスマホを持つことができ、ツイッターを見はることでようやく呼吸が可能となった。(ツイッターは呼吸だから)

深夜にいいかげんトイレに行きたくなり、血圧をちょうど図りに来てくれた看護師さんに依頼し同伴してもらう。
さあ病室に帰るか…と歩き出したところで、トイレに行ったことで急激に血圧が下がる。
一歩進むごとに目の前がどんどん暗くなるので「不思議のダンジョンシリーズみたいだな」と思った。病室まではたどり着いたがベッドに倒れこんでしまい、看護師さんたちに処置を受ける。手術後発熱し、この時は38度5分くらいになっていた。熱い・寒い・痛いの三重苦。どうなっちまったんだ俺の体はァ!
このあたりの意識はめちゃくちゃでよく覚えていないのだが、どうでもいいが術衣の下パンツしか着てないのめちゃめちゃ嫌だな、早く服が着てえ…と思った。

2時間おきに看護師が来てくれて、血圧を測ってくれる。6人部屋なので他の患者と看護師の会話が聞こえるのだが、めちゃめちゃ親切で真摯に患者さんの容態についてお話し合いをされていて、私歯ァ抜いたくらいで入院してしまってすみません……。

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入院したら寝れるな~とか思ってたら全然寝れてません。

3日目

今日からは飯が出るぜ!五分がゆに桃缶、煮込みなどとにかく柔らかいものが立ち並ぶが、もう全く食う気が起こらねえ。
口が3センチくらいしか開かないのである。粥に付属の塩をかけて食べるが、塩の存在が感じられない。多分付属の練り梅も用いるべきなのだろうが、私は梅が嫌いだ…。(この期に及んで好き嫌いですか!?)

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うねめり。

とりあえず食うだけ食った。しかし口の中が手術した箇所だというのにいきなりこんな…ものを食べていいんですか?洗浄は……うがいも怖いしなァ…と思いつつ恐る恐るブクブクする。
洗面室で見たところ、顔はだんだんと膨れてきているようであった。

先生が病室に来て、私のアゴをガッとつかんで「腫れてるねえ~!!でも明日の方がもっと腫れますよぉ~ッヘッヘ笑」と朗らかに去っていった。人にアゴ掴まれたの初めてだなと思った。

「親知らずを抜くと小顔になりますよ」とはよく聞くものの、こんなに腫れた顔を見た後ならどんな自分の顔でも小顔に見えるのではないか…と思った。

ずっと寝てるとよくないということで点滴と一緒に病院をうろうろ。大学病院って本当に街みたいだあ………

3日目の夜にはとうとう点滴も外れ、トイレも自分で行けるようになり、パジャマに戻ることができた。あ~よかった。とにかく普段厚着をするタイプなのでノーブラにパンツ一丁という状態が考えられずイヤすぎて気が狂いそうだったのだ。

しかしこうなるといよいよ顔が異常に腫れた暇なオタクでしかないな。ずっとズキズキとした痛みが続いていると言えばそうなのだが、マジで暇だ。ツイッターではオタクがハロウィンネタの漫画をたくさん上げていて、世間とのつながりを保つことができた。インターネット、だ~いすき。

一度おかゆに付いてくるのが練り梅ではなく鯛みそだった回があり、マジでうますぎて毎回鯛みそにしとくれやす~~~!!!!!!!と大喜びしてしまったが、その後二度と鯛みそは訪れなかった。しかし練り梅が来れば他のおかずと混ぜて味をつければいいだけのこと。この数日でおかゆの流し込み方がわかってきた気がする。それにしても缶のフルーツは甘すぎて劇物的だ。
あとおいしかったのは鯛のムニエルとかひき肉のシチューとか。

4日目

今日退院できるって先生が言ってたなあ!と身辺整理をしていたのだが、どうも10時になってもそんな気配がなく、看護師さんに申し出たところ「エッ、そんなこと言ってましたか…」と困惑された。報連相~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!
結局先生が隣の市に出掛けているので、戻ってきて診察してOKなら退院ですねということで話が決まる。急速にまた暇になってしまった。

数日間風呂も入ってないし、せっかく紹介された病院の施設も使ってみっかと思ってシャワーを借りる。自分の病室・ベッド番号が書かれたマグネットを貼って予約するシステムだが、午前っぱらから浴びる奴は少ないのでゆっくりできた。あーサッパリした(心の底から)

午後になり先生は無事帰還、「んっ、血も止まってますねえ~~笑このあとね、まだ腫れます。で、アザができますのでねぇ笑フッフフ…」ということで16時に出所を命じられる。特に何もなくサッサと帰宅することができた。70000円弱。幻のような入院生活であった。休んだ分、いったい私の今月の給与はどうなってしまうのだろう。


帰宅すると、血肉まみれの私の歯がそのまま放置されていた。
お湯につけて洗ったのだが、全然肉が取れない!!!!
直前に読んでいた猟奇殺人事件の本のことが頭によぎった。私が血肉の分離に苦戦していると、フォロワーから肉の分類について異様に詳しい情報が寄せられ、お前ら一体何なんだ!と思った。

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親知らず、デカいな。今まで「抜けた歯」ってせいぜい乳歯しか見たことがないからこんなに…こんなにデカいもの?という戦きがある。骨に邪魔されてスンナリと抜けなかった二本は無残にもダイヤモンドカッターで切り刻まれ、四魂の欠片となり果てていた。犬夜叉は来ません。

1週間後抜糸に行ったが、先生は「アザが出てないねェ~~あれぇ~~????????色が白いんでめっちゃデッカく行くかと思いましたがァ~~」とおっしゃっていた。色が白いなんて言ってくれたのは先生が初めてだよ。
研修生が抜糸をお手伝いしていたのだが、こういう時、少しでも見えづらくないようにと率先して顎の角度を直したり口をでっかくしたりしてしまうよな……。抜歯した跡、めちゃめちゃ食い物が詰まるぜぇ~~!!!!
予後も異様に経過がよく、今は右のアゴにやや痛覚が戻っていないものの、すっかり元気です。

それにしても、今回私の親知らず~抜歯に際して励ましてくださった方、ご自身の場合の体験談をお話しくださった方、ありがとうございました。

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100通くらい来たかもしれん。

抜糸が終わり、ものも普通に食べられるようになった今となって改めて思ったことは、「人間の健康って、コミュニケーションツールとしてはあまり抜群ではないなァ!!」ということです。今ちょうど生理中の人は生理ちゃんのバッヂを任意でつけて、コミュニケーションのきっかけとしては…ってやって炎上してるんですけど…

だって、マジで体調って人によって差がありすぎる!!!!!!!!!!!歯の生え方も違うのに、体質、生理痛、頭痛、腹痛、腰の痛み、それらが人間全員…おなじ病気だったとしても違いがありすぎることなんてマジで当然のことなんだよなあ!!!!!!!!!
もらった親知らず思い出拍手と自分の場合を比較しつつ、これは私もそう、いや全然そんなことねえな…と感じたりして楽しかった。

私も同じ病気になったけど、そんな辛くなかったよォ?じゃなくてほんと…

相手にできるだけ気づかいをして、その人が自分の体に対してしてあげたいことをできるよう支えるのが一番大切だよね……。

親知らず抜歯入院によって強制的に不健康状態を作り出したのちょっと謎の体験でした。おもしろかったです。

でももう二度と抜きたくはないねえ!!(もう親知らずないよ)

どうでもいいが、保険の適用のために5500円出して書いてもらった診断書には「紹介状を書かれてから1年経って来院。」って書いてあって、どうしてそんなこと正直に言うの?私のツイッターじゃないんだよ?いや行かないやつが悪いんだよな……。

さあ、親知らずも済んだし…これであとは中学高校の時に通い始めてから十数年以上完成していない矯正だけだな!(そもそも矯正を完成させようと思って歯科に出頭したら、親知らずの抜歯を進められたのが発端だったのだ)

もうぜんぜん終わる気がしない。ダメだもう…お前ら歯は大事にな。

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