見出し画像

孤島の鬼 感想乱文再録

「孤島の鬼」著作権解放!!!!!!!!全世界読め!!!!!!

孤島の鬼」(作:江戸川乱歩)は

「俺は箕浦金之助(みのうらきんのすけ)!髪が真っ白でマジイケてるきゃわたんボーイなんだけど、みんなにあんまりにもなんで髪が白いんですか~~?って聞かれるし、答えるのダルいし、あらましを纏めとくけんここで読んでくれよな!」という“手記”の形を取った怪奇小説です。手記ですよ。

魔性のノンケ迷惑性格最悪美少年箕浦くんと、箕浦くんを愛する哀れなスーパー情けないエリート攻め損ない様諸戸道雄を中心にしたエキセントリックで悲痛なストーリー展開を“激読”してくれ!!

~以下読破後感想~ 2016年に書いたものです。

蓑浦くんが魔性の男というのは噂に聞いていたんですが、いくらなんでもやりたい放題というようでありました。
学生時代に「あんなイケメンに気に入られて、僕もけっこうイケてるんだよな~…フフ」という子供染みてナメくさった自信を持つのはまだしも、25歳になってもその様子は揺らぐ様子がなし…………。
初代っちとの甘ったるいランデブー期でも諸戸と観劇デートに出かけ、初代っちのノロケを諸戸に散々かましたというだけでも鬼。

深山木に「恋人が殺されちゃった(;_;)」と泣き付きながらも「どう~~???傷ついた僕、そそるっしょ」とか考えてるのはお前大概にしろよと思った。ほんまに初代っち好きなんか!?お前!

乱歩作品を読むのは初めてでしたが、ちょっと読み始めただけでも蓑浦くんが己の可愛らしさを自覚して散々利用する小悪魔であることがすぐに伝わってきてその筆力に感嘆いたしました。しかし関わった男をすべからく破滅させてお前ファムファタールかよ。男だけど……。

まあ蓑浦くんのことは置いといて諸戸道雄。
諸戸道雄……………………。
諸戸道雄……………………………。
私は昔から「片方が相手に異様な執着を抱くCP」が大好きな質なのですが、諸戸道雄のそれは他の追随を許さなかったです。
学生時代から今までも尽くす尽くす、蓑浦くん絶対諸戸と出かける時一銭も払ってないんじゃないかと思いました。

例の押し倒しのシーン、押し倒して後悔して泣くっていう一連の流れがあまりにも悲しくて美しくて困りました。蓑浦くんも諸戸の姿に涙が込み上げた……とまで回想しておきながらすぐに心の反対側では「そんなに僕のこと好きな諸戸……僕のことが好きすぎて僕の恋路を邪魔するのか(クソでかため息)」と考えるのは冷静すぎる。冷たすぎる(その通りだったんだけども)

全体的に蓑浦くんのイケメンへの尻尾ふりと手のひら返しが急直下すぎて笑うしかない。なんなんだお前は!!!

どんなピンチに陥ってもすぐに蓑浦くんの身を案じてくれる諸戸道雄……。
どんなに罰金払わされてもヘコまない、逞しい筋肉と麗しい顔、聡明な頭脳を併せ持つ諸戸道雄……………。もうスーパー攻め様だ。なのに性悪蓑浦くんに弄ばれ続けている…………。全部無駄です、蓑浦くんを好きになったばかりに…
こんな萌えキャラあっていいのか?そもそも8年間も想われといて蓑浦くんもよくそんなノンケでいられるもんだ。女(精神上)にされておいて……。


諸戸道雄、全編通して哀れっていうか情けないっていうか……って感じなんですけど30にもなって探偵基地作ってたり、蓑浦くんの一挙一動にドギマギして、喜んで、強がりを言ったり、泣いたり、子供っぽいっていう印象が強かったです。
出た〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!出たよ〜〜〜!!!!出た!!!普段紳士然としてるのに好きな人の前では子供染みちゃうやつ出たよ〜〜〜〜〜!!!腐女子の好きなやつ出たよ〜〜!!
監禁されて一度は自分を捨てて逃げろと言ったにも関わらず、いざ蓑浦くんが自分を置いて逃げたと思うと寂しすぎて生きられなかった諸戸道雄……蓑浦くんが自分を見捨ててなかったとわかると途端に筆が踊る踊る諸戸道雄。(深呼吸からの………ヨッシャ!!!!!!!)
諸戸道雄の感情の揺れ動き、痛いくらい伝わってくる……。
諸戸道雄の人生は、蓑浦くんがいなければ死に体みたいなもんなんだなって思いました。
むしろ蓑浦くんと寮で出会わなかったら諸戸道雄の人生は淀んだばっかりだったのではないかと…。
寮でどう出会ったかよくわかんないけど、諸戸道雄も初めて会ったとき、周りの男と同じように蓑浦くんに魅了されたのかな。それが初めての恋だったんだろうな…。相手があんな小悪魔の蓑浦でなけりゃあ8年間も生殺しになってなかったかもしれないのに……。

洞窟の一幕は辛かった辛かった。どんなに辛かった諸戸。どんなに幸かった諸戸。
諸戸も内心参ってるのに愛しの蓑浦くんのために折れられないもんだから手をブルブルさせながら頑張ってくれて、かわいそうやら可愛いやらなんと言ったらいいのかわかりません。
蓑浦くんが「道雄さん!道雄さん!道雄さん!道雄さん!」と連呼した時は正直めちゃくちゃ萌えました。暗闇で、狭い所で、頼るものは世界に諸戸道雄しかいない蓑浦くんの必死な叫びはどんなに甘やかなものであったか……。

ここまで読んでると二人が手をつないだり、抱き合ったり、なんだりしていてももはや当たり前の光景みたいに感じられて来ます。
怖い!僕、怖い!とすがられる諸戸道雄の心、洞窟で弱るやら興奮やらもうワヤクソだっただろうな。
しかし諸戸道雄の決死の告白に対して「ウワ~~~~~~!!!!!!!」てドン引きして、ヒルやら蛇やら……なんてこと言うんだよ蓑浦!どんだけ気色悪がってんだ蓑浦!謝れ!!!
蓑浦くんは散々諸戸に縋っておきながらいざ手を出されると気色悪がるので読者としては「あ、あれ?!?!洞窟で散々抱きあってるからホモフォビアとか遠ざかってたのに……ここでいきなり?!」とびっくりします。諸戸道雄もびっくりだろ。あんなにここは地上じゃないんだ、習慣を忘れて、って言ったのに正気でフォビア出されちゃ……。

「君の頭は真白だよ」といって泣き笑いの顔をする諸戸道雄、悲しさ極まれり。蓑浦くんはわかってないだろうけど諸戸道雄はわかってるんだ…………。蓑浦くんが自分という異端を怖がるあまりに白髪になってしまったと…………。
結局諸戸道雄は異端という概念から逃れられなかったんだなって感じました。いくら人殺しという異端と血は繋がってなくても、結局異端(ゲイ)として蓑浦くんには拒まれるんだなって……。
そんな諸戸道雄に秀ちゃんの分離手術させる蓑浦くんはどこまで鬼、悪魔なのだろう。百万回言われてることだと思うけど孤島の鬼は丈五郎でも諸戸道雄でもあるがなにより蓑浦くんである。
鬼!悪魔!蓑浦!
大好きな蓑浦くんを奪う存在を生み出すために手術する諸戸道雄の心中いかばかりか………………。
道雄さん帰ってきたら院長になってもらお〜〜(*^_^*)ルン♪ってのがもう、最高にサイコ蓑浦くんです。
あんなホモの鬼ごっこして、諸戸道雄を泣かせておいてこの仕打ちができる蓑浦くんはやはり唯一無二。そんなとこ唯一無二じゃなくていい。
最後の一行を読んだ後はボーッとしてしまいました。諸戸道雄…………。諸戸道雄……………………。
蓑浦くんが一度だけ体を許すとか、ボーッとなったまま唇を許すとか、救済ありの同人誌が強く望まれます。頼む、蓑浦くん!お前は酔っても弱ってもなんでノンケの芯はしっかりとしているんだ!流されろ!流されろ蓑浦!!!頼む!!!頼むよ!!!!!!!腐女子は蓑浦くんにアナル明け渡せ運動を展開するしかない。
諸戸道雄…………。。・°°・(>_<)・°°・。

そして総括してこんな手記を人に読ませる蓑浦くんはどうかしている。

久々に小説を夢中になって読めました。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?