ゲームの介入度について〜じゃんけんをゲームにする方法〜

この記事は「Board Game Design Advent Calendar 2021」の24日目の記事として書きました。

例えば、じゃんけん。仮にじゃんけんにおけるゲームへの介入度を0とする。プレイヤーは、ゲームからグーチョキパーの三択を与えられてはいるが、それらは何を選んでも結果に影響を及ぼすことはない。これを0とする。
「相手がチョキを出したなら、グーを出すことは結果に影響を及ぼしていると言えるのではないか」という疑問があると思う。もちろんそれは正しい。グーを出したことで「勝つ」という結果を手にするし、パーを出すことで「負け」という結果を手にするということもあるだろう。
ただ、それは結果論であって、プレイヤーの思いを選択に反映させることはできない。勝ちたいと思うからグーを選ぶということはないし、負けたいと思うからパーを選ぶこともない。プレイヤーがゲームに介入できているとは言えない。ここでのプレイヤーの選択はただのランダマイザであって、3面ダイスで代用できる。

では、グーで勝てば1点、チョキで勝てば2点、パーで勝てば5点を得る。合計10点を得たら勝利するというじゃんけんならどうだろうか。
素のじゃんけんでは、「勝ちたいからグーを出すといったことはない」という話をした。今回はどうだろうか。今回も「(じゃんけんに)勝ちたいからグーを出す」ということはない。しかし、「(5点得ている状態で)ゲームに勝利したいからパーを出す」ということはあるだろう。
ここでは、じゃんけんという短期的な勝負と、10点を得るという長期的なゲームが重なって存在している。前者は介入度は0だ。後者は、意思を持って選択を行えるように思える。しかし、意思を持って選択を行っても、結果に影響を与えることができなければゲームに介入しているとは言えない。これは選択に意思を発生させたように見えるが実は意味がなく、意思だけが存在して、それを勝敗に反映させることはできない。素のじゃんけんでも「勝ちたい」という意思は発生しているはずだ。今回はそれが「パーで勝ちたい」と変わっただけだ。いくら願ってもそれは結果には影響しない。
つまり、このじゃんけんを1000回試行すれば勝率は50%になるということである。誰がプレイしてもそうだ。

じゃんけんの介入度を正の値にするにはどうしたらいいだろうか。
前述のゲームにおいて5点得ているプレイヤーの方が有利なのは事実である。さらに言えば、8点得ていたらもっと有利だ。

では、じゃんけんをするかどうかを選べるとしたらどうだろう。
このゲームに勝利したら、20点を得る。ただし、ゲームから降りることもできる。その場合、点を上回っている方だけが、その分の点を得る。
これを繰り返して、100点に到達したらこのマッチに勝利する。

ゲームに勝てる確率と得られるだろう点数の期待値を比べて、降りるか続けるかを判断することになる。これは人間がプレイする限りは、ゲームへの介入度は正の値を取る。

"人間がプレイする限り"という表現には、どの人間がプレイするかという視点が抜けている。例えば、マルバツゲームは、思考力が低い人にとっては、ゲームへの介入度があると言える。そうでなければ0だ。この話は、別の機会に。

じゃ、皆さんも個々のゲームの介入度について考えてみてね! ハゲタカの餌食はどうかな? ばいばーい!

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