母の日と育休の終わり、真剣白刃取り 男性育休記2-23(終)
■5/8(日)母の日
昨日行った大型激安スーパーが如何に安くて品揃えがあったか、妻から両親へのプレゼンが刺さりすぎてしまったようで、義父母、妻、3歳児の4名で朝イチ開店を目がけてそのスーパーに行ってしまった。私はもう、この育児休業セカンドシーズンも最終日、明日から新しい職場である。しばらく主夫業は土日しかできないから新しいスーパーに行っても仕方がないし、何より車の定員的にオーバーしている。大人しく、0歳児を抱っこしながら待つことにした。
ただ待っているのも暇なので、イオンまで歩いて、革靴のワックスを買った。
ああ、こんなんおのずと買うようになったのか。歳を取った。
スーツとか、シャツとか、革靴をキレイにしとこうというマナー講師に対して、20歳そこそこのときはクソだと思っていたのに。40歳にもなるとそのぐらい最低限しっかりやろうと思うし、先月、前職を辞める直前にいつもシャツがシワシワな30歳に苦言を呈したりもした。クソなこと言ってくるうるせージジイだなと思われているだろうが、それでもいい。
仕事をする時間は、清潔感があるに越したことはないと思う。そこは個性を出すところでは無い。能力と結果で個性を出せ、と思う。一方で、プライベートでは局部が隠れていれば何でも良いと今でも本気で思っている。ここは歳を取っても変わらなかった。キテレツ 大百科の勉三さんが無数にプリントされたTシャツをこのあいだ買った。
普通に、この夏着ようと思っている。
そうこうしていると妻と義父母と3歳児が帰ってきた。3歳児は見たことのない食玩を、義父は広大な酒コーナーで見つけた珍しい日本酒を、義母はロティサリーチキンやらなんか惣菜を色々、妻もなんだかいろいろ買ってきていた。
義両親は終始興奮しっぱなしだったらしい。良かったですね。
妻がエコバッグを広げながら絶叫している。
「あっ、また舞茸買っちゃった!」
妻だけは昨日も同じスーパーに行き、昨日も舞茸2連パックを買っている。だから、いま舞茸が4パックある。
もともとこういう人なのだが、本人が出産のせいにしている通り、確かに第二子が生まれてから物忘れが尋常でないような気がする。本人も気にしているので、私からそれについて何か言うことはない。
「舞茸、使うよ」
昼飯は3歳児の分も含めて蕎麦を茹でることにした。舞茸、豚ひき肉、みじん切りにした玉ねぎに味付けしてから麺つゆで煮て、つけ汁にする。これで、舞茸を1パック消費した。
「今日でおれがごはん作るのはいったん終わりだから、夕飯は君が好きな、すき焼きを作ろう。材料を買ってきて欲しい」
そう妻に頼んでおいたのだが、牛肉、白菜、しか買ってきていなかった。私が作るときは他に長ネギ、椎茸、木綿豆腐、しらたき、春菊が入っているのだが、もしかしたら妻は「牛肉と白菜があればすき焼き」という認識なのかもしれない。好物なはずなのに、随分とソリッドなすき焼きだ。
と思ったら、蕎麦を食べ終えた妻から
「具が全然ないから、また買いに行こう」
と、提案があった。やっぱり自覚があったというか、そこまでソリッドではなかったんだな。
3歳児も結構蕎麦を食べたが、舞茸は食わなそうだなと思ったので具なしの麺つゆである。肉とか野菜をもっと食べて欲しい。一方で0歳児は最近離乳食をめちゃくちゃ食う。
4人分のご飯で共通のものを作れるまで、あと何年かかるのだろうか。分けるの、超めんどくさいんですけど。そんなことを思いながら、3歳児のと0歳児のと換えのオムツをバッグに詰めて、出かける準備をする。
そういえば、私の妹が出産したばかりなので、お祝いを買いに行かなくてはいけないこともあり、電車に乗って百貨店まで移動する。
そこかしこでカーネーションを売っている。そう、今日は母の日である。
3歳児がベビーカーで寝たのでゆっくりと出産祝を選んでから、良いケーキ屋に寄って、妻と義母宛に、それぞれ良いケーキを買った。1個2,000円を超えていて内心引いたが、私のカードを使った。当たり前だが、2個なので4,000円を超えている。「鳥貴族に行っておつりが来ちゃう」なんて、ちょっとだけ思った。
妻は、もちろん私の母では無いのだが、私の2人の子どもの母であり、2人の子どもがいつもお世話になっているし、明日からは2児の母として育児の大部分をくらい担うことになるのだろう。義母もたぶん担う。
そんな母たちに私にできることは良いケーキを買うことくらいだ。トリキに行ったと思えば良い。
すき焼きの残り材料を買ってから家に帰り、3歳児と遊ぶ。「パパ、じゅうたいしよー!」ハマっている、プラレールを縦に並べまくって渋滞を生み出す謎遊戯に付き合う。縦列にプラレールを並べて動けなさを楽しむこの遊びはマジで何なんだ。3歳児はとっても楽しそうだ。
でも、そろそろ言わないといけないなと思って、切り出す。
「パパ、明日からは、お仕事なんだ」
「なんでー?」
「あたらしいプラレールを買うのも、アンパンマンジュースとかカプリコとかを買うのにも、お金がいるんだよ。お仕事してお金をもらってくるね」
「ヨッくんもおしごといきたーい!」
「えっ」
「ヨッくんがおしごといく。ママはようちえんいく。あかちゃんはがっこうにいく」
「どういうこと?パパは」
「パパはイオン」
「イオンかぁ」
そんなやりとりをしてから、すき焼きを作り始める。舞茸がまだ3株あるので、1つ無理矢理入れた。
すき焼きを食べながら、妻が
「もしかして、明日からは私が夕食作るの?」
と、本当にたった今それに気がついたような顔をして言っていた。おそらく、本当に、たった今、それに気がついたのだろう。
私は3歳児の好物のはずの、崎陽軒のシウマイを出した皿を指差しながら
「おれの分は別に作らなくて良いよ、明日は、それでいい、その残ったシウマイでいい。ていうかいつもそんなもんでいい。なくても良い。言ってくれればコンビニで買って帰るし」
チンしてから適温まで冷ましたシウマイに目もくれず、3歳児は「ふりかけごはんがいいの」「おみそしるのむの」とわがままを言ったので、私が速攻で作ったそれらを彼は食べていた。液体みそ、便利だ。3歳児はいつも囚人のような食生活だが、まあ、なんか食っていれば、それでいいだろう。栄養?は?じゃあお前やってみろよ。
心の中で誰かにキレながら、シウマイにラップをかけて冷蔵庫にしまう。0歳児があきゃあきゃ言ってるので、妻が抱きかかえる。
「いやじゃあ、シウマイと、じゃあ、あとなんか1品くらい作るよ」
「いや、だから、ほんとシウマイで十分だって」
もう一度、念押しした。
■育休の終わりに
ということで、これでシーズン2も終わりだ。これからはフルタイム勤務に戻るので土日しか育児ができない。
というようなことにならないように、リモート勤務ができる仕事を選んだ。通勤がないなら、3歳児の朝メシと弁当くらい作れるし、一緒に風呂も入って夕飯も食える。
いきなりフルリモートというのも制度的にはできるのだが、一応管理職として行くことになったので、しばらくは各方面に顔と名前を売らないと行けないので5月中は出社している。だって、「会ったこともない上司」なんて、モヤっとするだろう。
あっそうだ、出社といえば。炊いておいた、3歳児の弁当用の白米を小分けにラップして冷凍してから、ワックスで革靴を磨いた。
妻は0歳児を抱きながら、ケーキをうまいうまいと食べている。
■死亡遊戯「たかかい」
「パパー、たかかいしよー!」
最近、何のおもちゃが崩壊した一部なのか知らないが、プラスチックの棒切れをよく振り回している。たかかい。正しくは「戦い」だと思うのだが、子どもの言い間違いはなぜこうも愛おしいのだろうか。ほか、こどもちゃれんじの、しまじろうは「しじまろー」などある。かつて清水エスパルスにいたGK、シジマールに近づいている。
「たかかい、良いけど、棒は振り回したらダメだよ。危ないから」
「たかかいしよー!」
「パパとだけは、パパは特殊な訓練を受けているから、棒を使ってもいいよ。…ふぅ、さぁ、こい!」
「えいっ!」
「……ハッ!」
真剣白刃取りを使ったところ、唐突に父が発した覇気に驚いたのか3歳児は泣いてしまった。
「なんかごめんね」
真剣白刃取りもTPO。みだりに真剣を、白羽取らない方が良いのか。そういうものか。
■後日談と今後
仕事は順調に始まっている。結構楽勝そうであるが、思ったより研修が多いのと、相談される事も多いので出社しているうちは結構帰りが遅くなりそうだ。
妻は、私が勤務開始した初日から張り切って包丁を振るい、流血沙汰になっている。ギリギリ今回は救急車は呼ばない程度だったらしい。シウマイに、謎の煮物がついていた。
3歳児は、以前に1度だけ体験に行ったもののほぼ寝ていたヤマハ音楽教室に「おうたのれんしゅうしたいの」と2ヶ月遅れで意欲を見せ始めて、困惑しながら入会した。毎回開始20分くらいから寝るそうである。ちなみに60分コースである。
0歳児は、よく食べるので成長曲線を上からはみ出しそうな体重になってきている。「ずり這い」が、なぜか後ろ方向にだけできる。気がつくとだいぶ後方に行っていて、垂れ流しのよだれが床に点々と残って、ぬらぬらと濡れている。でっけぇカタツムリみたいで、ウケる。
ということで、なんとなくエピローグみたいにまとめてみたが、育休が終わりということは育休日記も終わりである。
これからは、なんかあったとき、暇な時の不定期になると思います。相方のひよこさんともども、これからも宜しくお願いします。読んでいただいてありがとうございました。
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