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ワークライフバランスの彼岸

初めに断言しておきたいのは、私はとてもホワイトな企業で働いているということだ。

残業は1分単位で出るし、福利厚生も整い、休みも取りやすいし、法定を遥かに超える休暇制度があるし、人事制度も、評価も、透明性と公平性があると思う。給料にも満足している。

我が芳川家は、2児別園送迎という「この世界のバグ」に巻き込まれて四苦八苦し、そこに義母の入院と義父の食事作りなどが始まり、急に休んだり、時短にしたりしてもらうことがあるが、それに対して文句を言われたことも、「文句を言われそうな雰囲気を感じたこと」さえも、無い。

本当に良い会社だと思う。

だから私は、子の送迎をしない日はめいいっぱい働く。

それは家族のためであるし、会社のためでもあるし、何よりあらゆる株式会社がそうだと思うが、「誰かの役に立つから」対価をもらって製品なりサービスを買ってもらえるわけで、顧客のために働いているという面もある。

問題は私が、ちょっと規格外に「この仕事に向いている」ことだ。

私が来てから、尋常でないペースで成約を積み増している。これまでの3-4倍だ。すると何が起こるか。ホワイト企業として、さまざまな業務はきれいに分業されているのだが、私の成約ペースに法務も総務もついて来れず、契約書の確認製本をする人とか、取引先の反社チェックをする人とか、請求書を発行する人とかが、私のせいで残業が発生するので遠回しにクレームを言っているらしい。というのを遠回しに聞いた。直接は誰も言って来ない。だって、私は会社の売上に貢献しているだけ、困っている顧客を助けているだけだからだ

ただ事実として。休んでも文句は言われないが、働くと文句を言われるのだ。

たとえば、せめて同じ部署のメンバーなら私の成約は賞与に直結してメリットがある。だが、法務や総務はどうかというとそんな視点は評価軸にない。そりゃそうだ。

「パパ、今日も帰ってくるの遅いの?」

朝方そう言って泣くヨシタロウを抱きしめている時、私は一体何のために働いているのだろうかと、ワークライフバランスって、結局なんやねんと、そんなことを思うのだ。

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