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中年女性の呟き~捕らぬ狸の皮算用~

今朝、昇降口で落ち葉掃きをしていると、お母さんと泣きながら登校してくる子がいた。どうしても学校に行きたくないようで、帰ろうと何度も走って道に飛び出そうとするので、担任の先生が飛び出さないように体をロックしたんだけど、今度はお母さんのバッグの紐を握って抵抗していた。
お母さんと一緒にいたい!と泣きながら訴えていて、きっと週末家族で楽しい時間を過ごしたんだろうな、と思った。そうだよなあ、学校ってそんなに楽しい場所でもないし、できるなら家で優しいお母さんと一緒にいたいよなあ。

そうはいっても、だから学校に行かなくていいわけでもないし、いろいろとその子のことを考えて、お母さんは学校まで送ってきたのだろう。必死でバッグの紐を握りしめる手は赤くなり痛々しかったが、大人3人がかりで大丈夫だからと声をかけながら手をほどいて校内に連れて行った。
靴箱の前でうずくまって泣き続ける子を、門の外から心配そうに伺っているお母さんも泣いていた。もう遠く昔のことで忘れかけてたけど、保育園の慣らし保育のときたぶん同じ気持ちだった。今生の別れのごとく泣き叫ぶ子を後ろ髪を引かれる思いで預けていた。迎えに行くと朝の出来事が嘘のようにケロッと笑顔で遊んでいるんですけどね。

だから「大丈夫」というのも無責任かなあと思ってオロオロするしかできなかったんですけど、お母さんの方から、ひよこさんですよね?って。私の受け持ちの委員会の方だったみたいで、いつものごとく人の顔全然覚えられない自分のバカヤロー!って思いつつ、テンパりまして、いつもお世話になっております、と場違いな挨拶をキメてました。お手数をおかけしましたと帰って行かれましたが、ホントこういう時に気の利いた言葉のひとつも出てこないもんかね。40過ぎて情けない。

最近、現PTA会長と前PTA会長から、次期PTA会長にならないかと打診されているんですけど、やりたいって言ってる人を知っているので、その方を差し置いてってのはどうでしょう、とやんわり濁してはいるんです。ただ、そのやりたいという人がPTAで大革命をしようとしているらしいとか、その方のお子さんが育児放棄されているから相応しくないなんて話があるらしく、察するに消去法で私に白羽の矢が立っていると思ってる。

でもね、その話を聞いて、ちょっと怖いなって思った。誰もやりたがらないPTA会長に名乗りを上げたら、やりもしない人から相応しくないって言われるとか恐ろしいなと。自慢じゃないけど、私も人格者からは程遠いし。近所のどこ行っても誰かしらの保護者に遭遇する今ですら若干生活しづらい。会長になんてなろうもんなら関わる人がさらに増えて、それに伴う生活態度や振る舞いを求められるとすると、生きた心地がしないんじゃないだろうか。

そもそも人の上に立つ能力を備えてない。人に寄り添ったり、優しさを向けたりするの超苦手。この間もバレーボール部の壮行会で一言お願いしますって言われたけど、なんかうすーいペラッペラの言葉しか出てこなかったわ。あとルールに忠実すぎて、例外を不平等と考えるきらいもあるので、皆の抱える事情とかに同情するのもできない。相手の立場に立てないから、すぐ自分だったらこうするのになとか思っちゃう。事務的に物事を順序立てて進めていくのはできる方だから誰かの右腕的存在の方が向いてると思ってる。

そんなことを考えながら落ち葉掃きをしてました。あわよくば誰か手伝ってくれたりとかして、それが広がって、秋の朝の習慣になっていかないかなーとか思ったけど、今のところひとりぼっちです。

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