秋の手記

本格的に寒くなり始め、冬の匂いを感じるようになった10月後半。

久しぶりにヘルニア持ちの首が痛み、包帯で固定してみる。お気に入りのコートを着込み、外へ出た。

曇って真っ白な空はやはりこれからの季節を想起させる。


私、病気かもしれないという不安と共に生きています。

自分自身がとてもとてもか弱く、透けていくみたい。煙みたく。

立っていても、歩いていても、ふにゃり、ふにゃり。

大きな不安を覚えつつも初めての感覚にニヤけてしまう。


バスが一分遅れで来た。

葬儀場の前で親指を隠さなくても大丈夫になれたのはつい最近、今年の夏のことだった。気が強くなった、気がした。バスの席が空き、周りも見ずにさっさと座り後悔した。と、綴ることで罪悪感を減らそうとしているのが目に見えて、そんな自分にげんなりする。この甘ったれたところが嫌だ。

ぼうっとしていると、優しい言葉で埋め尽くされた彼からのLINEが届く。返信する気も起きず、ただ目が潤む。嫌われるかも、気持ち悪がられるかもという恐怖はまだ拭い去れないけれど、はっきりとした言葉で病状を伝える。誤魔化さないことが彼への誠意である。


きらびやかなインスタグラム、取り繕った私生活、たまに押し潰されるような感覚に陥る。本当はこういう不安を抱えて、こういう病気があって、こんな重く考える人間で、なんてちっとも垣間見えない。なんだか気味が悪い、気持ち悪い。

ふわっと風が吹き、枯葉がバスの大きな窓に寄せては返す。大きな舞台でなくとも、ちいさいと言われる幸せだとか生活に秘められた美しさも心動かすのだ。自分にもっと表現力があればとつくづく思う。



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