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クラウドファンディングをやりたかった理由、terihaeruの戦い

2017年、いつもお世話になっていた機屋さんが倒れた。
その職人さんは、師匠とも年齢が近く師匠の片腕のような存在で、私の「cake! cake! cake!」シリーズも作ってくれた人だった。
その時、私は「ああ、こうやって機屋さんもションヘル織機もなくなっていくんだ」と思った。

そのとき初めてクラウドファンディングをしようと思っていた。彼のいなくなった機場で私が機をやっていこうと思った。

でもしなかった。
まだ私は産地での繋がりも仕事の基盤もできていなくて集まったところでうまく使えなかったと今では思う。焦りだけつのり、空回りしそうなのを師匠が止めてくれたのだった。

彼は脳梗塞で今でも織機を動かすことができていない。


クラウドファンディングしたかったときから2年経ち、私はようやく地面に根を張ることができているように思う。尾州の産業の元に根を下ろし、事務所を作り、機がある。
今ならできるのかも、と思った。

そして「場」ではなく「布」で勝負したいと思った。私はテキスタイルデザイナーだからだ。産地やプロジェクトではなく、布自体で勝負したかった。

今まで以上にインパクトのあるテキスタイルを開発し、クラウドファンディングをやろう。そう決めたのだ。

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私にションヘルを教えてくれた岩田おじいちゃんは今年の夏「もうできんわ」と言った。そりゃそうだよ、だってもう85歳だもん。ションヘル織機を扱う機屋さんが後期高齢者なのは痛いほどわかっているけど、改めてションヘルは常に瀕死の状態であることは間違いないんだろう。

ションヘルの死は、本当にあっけない。
機屋さんが動かせなくなり用のなくなったションヘルは分解され、必要な部品は機料屋へ渡り、そのあとは鉄くずになる。鉄にした方が高いからだ。
1日もあればションヘルでいっぱいだった機場が跡形もなく消える。
世界的にも珍しい織機、産業の文化の塊はそのように終わる。

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ションヘルがなくなれば、terihaeruの布は作ることができない。
だってションヘルでしか作れない布を企画しているから。ションヘルが生きていく価値を作りたいから。

私は今回のクラウドファンディングできっかけを作りたいのです。
terihaeruを認知してもらって「布って面白いんだ!ションヘル織機っていうのがあるんだ!」と知っていただきたい。
全てが軌道に乗りションヘルで毎日terihaeruの布を生産できるようにはすぐはならないと思うけど、でもその一歩として踏み出していきたいと考えています。

でもなるべく早く、毎日布を生産できるようなレベルにしないとションヘルは鉄くずになってしまいます。

表情豊かなウールも、品良く光るスーツ地も、師匠のウルトラミラクルな布も、terihaeruの超絶キュートな布も、全て生産できなくなります。

ションヘルがなくなるその前にterihaeruで確かな生産量を確保し、ションヘルを導入して若い人材で稼働していきたい。そしてそれはみんながポジティブな気持ちになれる「布」の力で実行させたい。


織機のことを教えてくれた機屋のおじいちゃんたちに「いいよ、あとは任せて!」と言いたいのです。
本当にお世話になっている師匠に、「私がいるから大丈夫!」と言いたいのです。
私が一人前になるまで支えてくれた全ての人に恩返しすること、それはションヘルを使い稼働し売り上げを出すことです。

terihaeruの制作の裏側にはションヘルの生存をかけた私の戦いがあります。

そしてちゃんと戦いの装備ができるようになってきた。あとはみなさんにお見せしてパワーを届けられるか、なのです。

ファブリックパネル


新作テキスタイル&商品に関してはクラファンページにもありますがこちらでも後ほどまとめます

terihaeru新作テキスタイルのクラウドファンディング:https://camp-fire.jp/projects/view/199875 (今月末まで受付中)

terihaeruがやりたいことについて(ションヘル織機の説明もあります)
https://note.mu/hiyori_terihaeru/n/n04f84dbd5625


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