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人生を変える服屋さん

エイプリルフールの嘘であって欲しいと思ったのは人生で初めてだった。

4月1日。
インスタグラムに投稿されたひとつの報告に目を見張り、息が止まった。

「嘘でしょ…なんで…?」

私にとって唯一の好きなファッションブランドが、この夏終了する。

私の中であまりに大きな存在であったが故に、少しの間混乱してしまった。

しかし、衝撃とともに少しだけ納得した自分がいた。
何故ならば、約一年かけて伏線が張り巡らされていたことに、この時になってようやく気づいたからだった。

もう作りません

思い返せばこの一年、どの季節ものにも同じ言葉がついて回った。

『浴衣をつくるのは今年で最後です。』

『コートは来年はもう作りません。』

トレンチコートも、そうだった。
更には看板商品である『私たちのワンピース』までも

『私たちの手で、終わらせる。』

と発表したのだ。

私は“疑問“すら感じたが、“異変“には気づけなかった。

この時すでに、ブランドの終了が決定していたのに。
ブランドが立ち上がるときからずっと見守り、ファッションブランドに対して使う言葉ではないのかもしれないが、心底『応援』していたのに。

ブランドディレクターである赤澤えるさんは、どんな思いで一年をかけてその言葉を何度も何度も絞り出していたのだろうか。
前向きな終了であると知ってもなお、そんなことを思わずにいられなかった。

そして、悲しさや寂しさよりも先にやってきたのは「してやられた…」という鈍感な自分への悔しさだった。

ここまでLEBECCA boutiqueの世界に引き込まれておきながら、終わり方までドラマチックだなんて。
どこまでも、えるさんには敵わないらしい。

見える世界を変える服たち

この記事でも綴っているが、本当にその通りだった。
(まだこちらを読んでない方は、是非ぜひ先に読んで欲しいです。)

赤澤えるさんとの出会いは、服装どころか価値観までも変えてくれたものだった。

洋服を買うということ。
物を手にするということ。
そして、それらを手放すということ。

これらの全てには、責任が伴うこと。

一つ一つの買い物の“意味“を考えるきっかけとなり、その思いは今も揺るがず変わっていない。
流行や手軽さ、安さだけが物の価値ではないと19歳の私に気付かせてくれた。

こんなことを学べるファッションブランドがあるだろうか。

どうしてもこの思いを伝えたくて、昨夏noteにしたためることにした。

奇しくも、私が書いたnoteの中で最も読まれ、スキをもらった記事になった。

彼女に上記の記事のURLを送った翌日、通知欄が物凄いことになっていた。
なぜこんなことになったのかわからず、嬉しさとともに軽いパニックになったことは言うまでもない。
想像してもみなかったアクセス数と、信じられないスキの数は私にとって初めての経験であり、到底忘れることなど出来ない思い出になっている。

公の場で『文章を書く』ということを、恥ずかしいことではないと思わせてくれたのも彼女だったのはここだけの話で、まだ伝えられていない。
写真がメインのInstagramという媒体で長文を綴るえるさんに、心を動かされてしまったのだから。

やはり伝えたいもう1人の彼女の魅力

ブランドの終了にあたって、ラストスパートと言わんばかりに熱のこもった良いお知らせが目白押しになっている。
コラボ商品の『L and』 だけでなく、もはや名物となっているスタッフプロデュース企画も、以前ならばゆっくりじっくりと宣伝、販売されていたはずなのに、月に3個のペースでお知らせが飛び交う。
ついて行けないくらい盛りだくさん。

どれも可愛いだけでなく、各々の愛を感じるストーリー付きだ。

スタッフプロデュース企画の面白いところは、スタッフであれば誰しもチャンスがあるところ。
正社員だろうが、店頭に立っていようがなかろうが、そしてアルバイトであろうが、チャンスが回ってくる。これは初期からずっとそう。

そしてもっと面白いのは、商品を作る過程だけでなく、商品のイメージ撮影もその本人がプロデュースできるところ。
カメラマンに、ヘアメイク、撮影場所やイメージ。
そして、被写体となるモデル。
これら全てを、プロデュースする本人が決めてお願いしているらしい。
(中の人ではないので全てがそうかは分かりません。ご容赦ください…)

いつもいつでも思うのは、全てのきっかけをくれた現スタッフの通称『大天使』(そう呼ぶのは私だけです)がほぼ必ずと言っていいほどモデルに選ばれていること。

彼女はプレスであり、バイヤーでありながらブランドのメインモデルをこなすというものすごい人。
やはり天才。

きっと顔が可愛いだけじゃダメで、スタイルが良いだけでもダメで。
彼女の人柄と、洋服をとんでもなく可愛く見せる工夫が、人々を虜にし惹きつけるんだろうなぁ。
彼女が纏っている画像を見ると、どれも可愛く見えて何にも考えずにポチりそうになります…。

そんな彼女の、最後のプロデュース。
6年目の彼女の第5弾。

今回は、ニットワンピースとカーディガン。
素敵な商品画像たちに加え、例に倣って『#レベッカブティックのこと』が公開されています。

いやいやいや。最後の最後にかわいすぎますって…
私の好みを見透かされたかのようなワンピースに胸が高鳴ります。
(どなたか2色買いしそうな私を止めてください…破産…)

彼女がニットに込めた思いを、1人でも多くの方に読んでもらいたいです。

そして、カーディガンにもストーリーが。

『出会いを繋げるサマーニットカーディガン』

これを読んで、ハッとさせられた。
ここまでに綴ってきたことの始まりは、紛れもなく彼女だったからだ。

私はいったいどれだけの出会いを、彼女に繋いでもらったのだろうか。

ブランドが終了することになって初めて、私はあまりにも彼女に、そして彼女たちにもらってばかりだったと気づいた。(もう!信じられないくらい遅ーい!)

ファッションを楽しむきっかけをもらった。
洋服を買うことの意味を考えさせられた。
纏うだけで背筋を正して歩けた。
纏うだけで褒めてもらえた。
納得して服を着て、満足してクローゼットに並べられた。
良いと思うモノやコトを伝える大切さと、読んでもらえる喜びをもらった。

この全てが、紛れもなく彼女に繋いでもらったもの。

ど田舎の高校で、お世辞にも可愛いとは言えない制服を纏い、背の低いネット越しにラケットを振り回して汗をかいていた私たち。
当時は挨拶を交わす程度だった関係が、数年を経て私にとって信頼のおける唯一無二のファッションアドバイザー(勝手にそう読んでいます)となり、美味しい羽付き餃子を挟んで乾杯するようになった。

どれも高校生の頃の私には想像のできなかったことであり、出会いが繋がっていることを感じちゃう。
これからも繋がっていたいと、ひしひしと思います。

私にできること

ブランドが終わるからといって、それだけで終わりにしたくないと改めて感じている。
あのタグのついた服たちが存在していたことを、ラフォーレ原宿に足を運びたくなる店舗があったことを、赤いリボンを結んでくれるショッピングバックがあったことを、忘れたくない。
ただの顧客なのにそんなことを思ってしまう。

私にできることを考えてみる。
それは、シンプルで

ずっと大切に纏い続けること。

だと思う。

世の中には流行ってものがあるけれど、何年かするとまた巡り巡って戻ってくることは珍しくないし、物理的に着れなくなったら大切な人に譲りたい。
できることなら、リメイクとかもしてみたい。

私の密かな夢は、いつか自分の娘ができたときに譲り渡すこと。
母や祖母のお下がりに魅力を感じるところって、誰にでもあるはずだから。

そして、魅力を伝えていくこと。
文章を書くことを生業にしているわけではない私ですが、残りの数ヶ月でレベッカの服を手に取る人が増える手伝いができたら嬉しいなと思っています。
もしこの文章がきっかけで気になった方がいたら、検索してみてください。
画像で見るよりも遥かに、袖を通した方が素敵な服たちばかりです。
自分用の一張羅でも、大切な人に着てもらうためでも、飾っておくのでも、娘さんが大人になった時のためでも。

今を逃すと、二度と手に入りませんから。
私も後悔のない選択をしていきたいです。(やっぱり破産…)

最後に

この文章をいつ公開しようか悩んでいましたが、やはり大好きな大天使のプロデュースアイテムが発売されるときにしたいと思い、温めてきました。
彼女の言葉に触れ、また書きたいことが増えると思ったからです。

ここからは盛大な独り言ですが…
最後だから思い切って私の長年の密かな夢を書いちゃおうと思います。

それは、『#レベッカブティックのこと』を全て集約した本を手に取ることです。

ブランドが終了することで、新たな『#レベッカブティックのこと』はもう読むことができなくなります。
しかし、それは同時に全てのストーリーが出揃うということにも言い換えられるのではないでしょうか。
今までは、途中で本を作ってしまったら新たなストーリーが蔑ろにされてしまうかも…という心配がありましたが、幸か不幸かその心配はなくなったのです。

現実的ではないかもしれないし、どこまで需要があるのかもわからない。
もしかしたら既にえるさんは作り初めているのかもしれない?と思いつつ…
「伝えてみないことには何も始まらない」というのは、ここ数年での教訓なので書き残しておきます。
少しでも携われたら…なんてことを思っているのも…この際なので…。ええい!

えるさんのことなので、ブランドが終わることますますパワーアップするのだと確信しています。
ですがひとまず、ここまでの感謝をこの記事で伝えられればと思います。

残り数ヶ月。
出来る限り原宿に足を運び私の記憶に焼き付け、経済をぶん回していく所存です。

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