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『Outer Wilds』 追加DLC 『Echoes of the Eye』クリア後感想

Outer Wildsの追加DLC、Echoes of the Eyeを先日クリアした。
本編クリア時も感想を書いたので、こっちも感想を出しておく。

本編の方は当然ながら、DLCの内容に関してのネタバレを多く含むので未プレイであればこの時点で読むのはやめて、クリアしてきてほしい。

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①DLC全体の感想

私はDLCのあるゲームをあまりやったことがなく、スピンオフ的なものだろうと思ってプレイしていた。
本編では語られなかった第三の種族に関わる傍流的な話かなーと思って進めていくと、途中から「あれ、これ…そういうこと?」と事の真相が見えてきて、終わってみるとこれは本編を完全な形にするためのものだったのだということを理解した。
宇宙の眼に到達する過程にNomai達のドラマがあったように、その裏でもう一つの種族と囚人のドラマがあった。本来生きる時代の違う彼らとのコミュニケーションは不可能なことだけど、Outer Wildsではゲーム内の法則や設定を上手く使ってその状況を出してくれるのがとても粋だと思う。

そこそこ自分の中でハードルを上げていたつもりだったが、それでも満足できるエンディングを用意してくれてありがとうという気持ちです。

②ゲーム性(ギミックとか)について

まず導入からOuter Wildsらしさが凄い。電波塔と深宇宙衛星は本編プレイ時に訪れていたこともあって、そこから未知のエリアにアクセスできるという導入はびっくりした(何気にプレイヤーが使っていたリアルタイムマップに対して作中の理由が補足されているのも丁寧)。

コロニー内のダム崩壊ギミックは本当に初見でびっくりした。それに伴う時間経過によるステージ変化も脆い空洞や双子星を思い出すような楽しさがある。
凄いのが、ダムの崩壊という一つの要因で表世界だけではなく仮想世界側にも影響するというところ。これは考えた人凄すぎないか?と思った。

仮想世界側のギミックも面白い。最終的に封印を解く鍵へと繋がる3つのバグギミックが絶妙にヒント無しだとやらない(けどそれ自体は最初からできる)行動になっていて、さらにあからさまにパズル的なものが用意されていることで「あー、これは今解けないものなんだな」とプレイヤーに思わせるカモフラージュと合わせて巧妙に仕込まれている。
(この辺りの進行度調整?は灰の双子星内部への侵入経路と近いものがある)

一定の半径でしかリアルな描画をしないというのは実際のゲームとかでも使われてそうだよねという話をしていたら、コメントで「Outer Wildsの本編もそれに近いことをしているそうです」という情報が来て面白かった。

恐怖演出に関して、びっくり系ホラーが苦手なのでびくびくしていたがそんなでもなくてよかった。どっちかといえば「どこでホラーが来るんだ?」という予備動作としての怖さが大きかった。
ステルス要素についてはプレイ時は何故この難易度に?と思ったが、結果的にそこまで時間かかってなかったので適切な難易度なのかもしれない。ストーリー的に恐怖に対峙して越えていくというのは重要な意味があるので、どこかで障壁を用意しておくのはストーリーの流れとして正しいと思う。(クリア後に知ったが、ステルス回避の別解もあるらしいので最悪そちらでどうにかなるというのも親切設計)

③ゲーム内の各要素に関しての感想と考察

・ホラーパート(ステルスパート)について
恐怖を乗り越えて真実に辿り着くというのは追跡者たちの多くが出来なかったことで、それをトレースする構造になっているように感じた。
眼に辿り着いた先の恐怖に対して、あきらめる選択をした追跡者。
追跡者に追われる恐怖にびくつきつつ、隠された真実へと向かう選択をした主人公。
プレイヤーが諦めれば、追跡者たちがそうであるのと同様に真実にはたどり着けないが穏やかに過ごすことが出来る。

・追跡者の文化
思えばNomaiはかなり非人間的な文化(性格?)だった。武器の類が無かったから物理的な争いが無かったのだろうと思うし、そんなことは人間では考えられない。
そう考えると、怖れるがゆえにそれを隠し、封じるために攻撃的になって争うという部分で追跡者はとても人間的に感じる。囚人を即処刑しない辺りむしろ優しいようにも(単に罪悪感を残したくなかったとか、仲間自体が少ないからとかかもしれない)
ホームシックになって故郷に似せた空間を作ってしまうところもちょっと共感できる。


・追跡者たちの芸術性
装飾がどこも凝っていて、彼らがそういったところに重きを置いていたんだろうと感じられる(Nomaiの建造物も綺麗だけど、あちらは機械的な綺麗さ)。
地味に気になるのが仮想世界の方で食事できそうなところがあったけど、バーチャル飲食できるのか?ということ。できるとしたら普通に羨ましい。


・宇宙の眼が追跡者たちに見せたビジョン
スライドリールで投影されている宇宙の眼を観測した時のビジョン、本編クリア済みの身からするとちょっと変だと思った。もっと穏やかな場所じゃなかったか?と(出力される結末は同一ではあるが)

彼らが宇宙の眼をスキャンする際に使っていた『ビジョントーチ』。囚人とのコミュニケーションに使用したあの機械だ。あの機械は多分スキャンした対象の持つ情報を元に映像の形で出力する機能を持っていると思われる(使用者がスキャンされる場合はある程度出力内容を自由にできる?)

宇宙の眼を観測した結果、彼らは彼らを含めた宇宙の滅びを見た。
宇宙の眼自身に意思はないとして、何故主人公が実際に訪れた景色との差異があるかといえば、観測者が異なるからだと思われる。宇宙の眼はその観測者の意識によって姿や次の宇宙の形を変える。
ということは、追跡者自身の持つ要素によってああいったビジョンが映し出されたんじゃないか?と思った。彼らの持つ恐怖の要素が強く出てしまった結果ああなったのかも。
元々宇宙の眼の信号をキャッチし、宇宙の眼について知るために故郷を捨ててまでやって来た彼ら。その過程で宇宙の眼を崇拝する協会のような場所を作っていたようだけど、崇拝と畏れというのは関連があるし、未知への恐れがビジョンに現れてしまったとしたら少し悲しい。

そういうところで言うと、宇宙の眼の性質として恐怖を強く持つ種族(あるいは個人)は辿り着かないようになっているのかも(つまりある程度次の宇宙に引き継がれる要素は制限されている)。

・追跡者の行った宇宙の眼の秘匿について
宇宙の眼の信号を隠すという判断は正直かなり妥当だと思った。宇宙の眼は間違いなく彼らの認識通りのものだし、誰かがそこに辿り着くことで今の宇宙が崩壊する=自分たちの死である。そりゃ隠すよね。
囚人への対応もかなり悪い顔で描かれていたものの、そりゃそうするでしょうという感じである。むしろ即処刑ではなく、謎に念入りな保管庫を用意して仮想世界に隔離するという対応をしているだけ優しいのではないだろうか。(単に同胞殺しが嫌だったのかもしれない)

宇宙の眼が秘匿され、そして『彼』の行動で一瞬だけ信号が解放されたことによって本編の結末に繋がったことを考えると、もはや何が良くて悪くてというのは視点によりけりだなという風に思う。

彼らが信号を隠さなければ、きっともっと早くにNomaiがそこに辿り着き、次の宇宙が生まれていただろうし(あるいはNomai以外の高度文明)
その場合はHearthian自体が生まれなかっただろう(Hearthianが生まれるまでの時間で発生する他の星系の全ての文明も同様)


・宇宙の眼で追跡者の一人である彼との会話

思い出せ

「だから選んでほしい。本気で私を思い出したいのか?」


宇宙の眼に入った意識的観察者の意識によって次の宇宙は形作られる。
追跡者を思い出すということは、彼ら自体が持っていた『恐怖』を次の宇宙に連れていくことになるということだ。
彼らはそれで失敗を犯した(個人的には失敗と成功みたいに分けられるようなものではないと思いますが)わけで、失敗の原因となる感情を次の宇宙に持って行っていいのか?という確認だと思われる。
そもそもこのDLC自体、恐怖と対峙し、追いかけられ、最終的にはそれを超えて秘密を明かすという作りになっている。つまりエンディングに辿り着いた時点で主人公は恐怖に向かうというプロセスを経験していることになる。
恐怖に負けることもあるだろうし、それで失敗することもあるだろうけど
恐怖自体が悪いことではないし、恐怖に対して立ち向かうこともできる(あるいは手を取ることもできる)。
主人公にとってはそれを含めての宇宙の旅だったので、次の宇宙に彼を連れていきたいというのはそういう意味で当然のことかも?という個人的解釈。


・主人公によって映し出されるビジョントーチの映像に幽霊物質が分布するエリアがある

宇宙

自分たちの星系を含めた宇宙の全体像が移るシーンで右上くらいに幽霊物質が分布しているところがある。侵入者の産地とかなんだろうか。
侵入者については何か設定があるならどこかで公開してほしさがある。球状の石のケースに入っていたということはほぼ確実に人為的にそこに押し込められているはずで、それを彗星として外に放った何者かが居るんじゃないか?

・闇のイバラの産地と第五惑星(DLCには正直関係ないけども)
追跡者のスライドリールには闇のイバラが星を壊す前の第五惑星が写っている。
闇のイバラの最奥部には種子の核のようなものがあり、そこにリトルスカウトを投げ込むとある景色が見えるという隠し要素がある。(考察記事のリンク。これ見つけた人凄い)
多分この核もどこか別の星系のどこかの闇のイバラに繋がっているんだろう(木の炉辺の種子と闇のイバラの関係と同様に)。
人為的に作られた種子だとしたら面白いよなーという妄想をしてしまう。限られたエリアでほぼ無限に空間を広げることが出来るという性質自体は何か有効活用できそうでもあるし。
目的があって作られたものが暴走してこうなってしまったとかあったらいいなとか色々考えると楽しい。これも公式で設定があるなら出してほしい。

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感想は以上。
また長々と書いてしまったけど、本編と同じく自分で初見で遊べて本当に良かった。半分ゾンビで半分生きている状態からまた完全ゾンビに戻ります。


以下配信アーカイブへのリンクです(宣伝)。


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