雑なひとの日記。201205
眠ると大抵、真夜中に一度、中途覚醒する。
昔は14時間くらい通して寝ることもあった。その時は、夜に眠ったのに目を覚ましても部屋が暗かったので、時間の感覚が全く掴めなくて、今はいつなの?と途方に暮れた。
早朝に起きて、夜も早々に眠る生活を送っていた時期もあったのだけれど、ここ十年あまりは、一度に眠れるのは三時間ほどで、短いと一時間にも満たない。その後、すんなり眠れたり、目を閉じているだけの時もある。常日頃からそういう感じなので、すっかり慣れているし、あと一年もすれば、もう少し安定するだろうと気長に捉えている。
昨晩は23時半に布団に入って考え事をしていた。いつもなら少し仮眠して、洗濯物を畳んだり食器を洗ったり作業をしたりするのだけれど、ここ二週間ばかり予定通りに何かと慌ただしく、日中も眠たかったので、取りあえず布団にくるまっていることにした。
次に時計を見たら1時54分だった。体感としては2時間も考え事をしていたつもりがないので、多分どこかのタイミングで微睡んでいるのだと思う。
喉が渇いたので、電子レンジで水を温めて飲んだ。ガスコンロで沸かした方が口当たりがまろやかになるのだけども横着をしている。話のついでに、一度誰かに聞いて欲しいと思っていたしょうもない考え事を書くのだけれど、我が家の電子レンジにはタイマー機能が付いている。例えば5分にセットすれば、5分後に音を鳴らして、時間ですよと知らせてくれるのだが、未だに使いどころが分からない。
まず、既に我が家には手の平に収まるコンパクトなサイズのタイマーが3つある。大抵の場合、料理を煮炊きをしているときに使うので、調理中はなるべく手元に置いておきたい。メーカーさんはなにゆえに、この巨大で身動きの取れない家電に時間を測る機能をつけたのだろう。インターネットで検索して購入したとき、製品情報を見て、こんな変わった機能が搭載された電子レンジ、初めて見たなと思った。電子レンジでお湯を温める度に、この製品を開発するに当たって、どういう企画会議が開かれていたのかと尋ねてみたい気持ちになる。
なぜならば、この電子レンジは時間設定が大まかなのだ。一分までは20秒刻み、一分以降は30秒刻みで、6分以降は1分刻みで設定する仕様になっている。筑前煮をあと6分30秒煮込みたいとき、6分に設定するのでは短いし、7分では長い。微妙に、帯に短したすきに長しで、制作者の意図を知りたくなる。
変わったものを見掛けると、製品を開発するための会議でどういう議論が交わされたのだろうかと、ふと考えてしまう。例えば漫画の一コマ。ここの擬音はキラーンじゃなくてシャララーンが萌えるんです、とか、物凄く真面目に語り合っているのだと思う。遊ぶ道具を作る仕事をしている人たちも、会議中はしかめっ面だったり、企画が通らなくて悔しかったり、『面白い』の方向性を見失ってへこんだりもする。
作る人たちは、きっと、一生懸命、その人たち一人一人の人生の時間の一部と気持ちとを、作っているものに向けて費やしている。何かが作られるその過程はいつだって、大切なものだ。
身の回りにあるものは、今着ているパジャマも膝から下を包む羽毛布団も、誰かが作ってくれている。針、糸、それらで布を編む機械、その機械の部品のひとつひとつを作る工場、製品のデザインや材質を考える人々。予算を捻出し、品質を管理して販売ルートに乗せるまでに、どれだけの人の手を介して私たちの手元に届くのだろう。それを考えるとき、途方もない気持ちになる。
電子レンジには、日々、お世話になりっぱなしである。ないと大変困るので、今日も明日も動いていて頂けると、とても助かる。
ちなみに少しうとうとしている時に夢を見た。
私は真夜中の住宅街の路上で置き型のバスタブに浸かっていた。見覚えのある小学生の子供が通りの向こうから近付いてきて、恥ずかしそうに何か言った。その子はその後、道の向こうから小さな犬を連れてやってきた初老の男性に気付いて、しどろもどろに声を掛け、何かと理由をつけて私のいる方へ来ないように、道を曲がるように促してくれていた。親切な少年だった。
夢が醒める直前に、ぼんやりと思った。現実的には路上で風呂に入っていたら、お巡りさんがやってきて軽い罪に問われるのじゃないかな。実際のところ、どうなのだろう。
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