遠い夏の日の花びらのかおりに、想う。
いまでも時々、あなたのことを思い出す。
休み時間の廊下であなたとふたり、窓の外の青空に浮かぶ真っ白い入道雲の、もくもくと盛り上がった天辺あたりを眺めながら、わたあめ食べたいねえ、いや、かき氷じゃねえ?なんて、他愛ない話をしていたら、
「花火、見に行かない?」
不意に訊かれて、わたしは少し緊張しながら答えた。
「いいね。じゃあ沖さんも行けるか、訊いてみる。澤井さんは来れるのかな?」
「来れるんじゃない?訊いとくよ」
あなたは少し何かを考えるように視線を泳がせた。そうだ