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寂しがり屋の話です。風変わりな女性を描こうとして書き始めたのですが、なんでか静かな話になりました。お時間ありましたらお読み下さい。 真昼の空に白い光が短く尾を引いた。 無音の雷。 「雨でも降るのかな」 僕は呟いて公園のベンチから腰を浮かせた。歩きながら時計を見る。12時52分。余裕で昼休み中に会社へ戻れる。通りに出て古ぼけたビルの前で立ち止まった。カードキーを兼ねた社員証を取り出そうとポケットを探る。途端にさあっと血の気が引いた。 財布がない。 いつから、と頭を巡