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7歳までに大切なこと〜運動感覚〜

前回は、シュタイナー教育で行われている感覚の教育の一つ、平衡感覚について書きました。

0歳から7歳までにしっかりと育てたい感覚が12感覚の中で4つあります。

平衡感覚、運動感覚、生命感覚、触覚

この4つが人生の土台となる意志感覚を育てます。

あ、でも勘違いしないでくださいね。

他の8つの感覚が大事だと言っている訳ではないので。

身体の基礎を作る中でのより大切なこれらの4つの感覚は、後々内面を豊かにする他の4つの感覚、言語感覚、聴覚、自我感覚、思考感覚の土台となります。

そして、平衡感覚と運動感覚はセットで考えてもいいですね。

自由な動きを体験する中でバランスをとるという自然と体験もするのですから。

では、この運動感覚を掘り下げてみましょう。

運動感覚とは?

運動感覚とは、まず自分が動いているんだという感覚です。

小さい子どもたちは広間で意味もなくぐるぐるとただ走り回ったり、または階段の上り下りを何度も繰り返したりします。これは子どもの中で運動感覚が活発になっているからなのです。

動いているんだという感覚がしっかりできると、自分の動きをだんだん上手にコントロールできるようになります。ちょうど幼稚園の後半くらい(6歳くらい)にはこれが成熟してきます。

よく、小さい子どもはチョロチョロと動き回ります。これは行儀が悪いのでも落ち着かない子でもないのです。その子はその子のペースで運動感覚を習得しようとしているのですね。小さいころからじっとしていないといけないと抑えつけられてしまうと、だんだん元気がなくなってしまいます。

安全で可能な限りは自由に動ける環境があるのが望ましいですね。室内遊びではこの自由度は制限されることが多くなります。

自由に動ける正しい環境とは

正しい環境があれば、子どもは自己教育でどんどんこの感覚を養います。では、正しい環境とは何でしょうか?

それは、子どもたちが自由に動ける環境です。

例えば、赤ちゃんを歩行器に入れたり、プレイペンに入れたり、それに準するものに入れておくと、本当の意味では自由に動けないのです。0歳未満の子どもたちは抱っこと食事以外は、なるべく床の上にいてもらうのが一番です。

よく私が見かけるパターンとして多いのは大人しくしているからとか、寝ているからという理由でチャイルドシートで長い時間過ごす小さな子どもたち。実は、このチャイルドシートの弊害は、後々悪い姿勢に繋がったり運動感覚の発達を妨げることになるという報告もあります。

また、子どもたちは大人の模倣をして大人の動きを真似ます。現代病として、一般的に大人も子どもも普段の生活では運動不足です。困ったもので、大人が座ったまま長時間コンピューターに向かっているというこの時代は、工夫が必要です。外遊びを増やしたり、ガーデニングや、落ち葉を集めたり、床拭きや窓ふきなど、意識的に生活に取り入れる工夫をして子どもたちと一緒に行って補っていく必要がありますね。

運動不足だからといって小さいうちからのスポーツクラブに入ることはシュタイナー教育ではあまりお勧めされません。スポーツは偏った運動になりがちで、その子にあったペースというのが無視されがちです。そして、競争心をあおります。サッカーや野球などは学童期以降の方が好ましいです。

経験的に運動感覚や平衡感覚を養う上で一番理想的な環境は自然です。

小さい子どもたちが自然の中で自由に遊ぶとき、木の根っこがむき出しになったところを器用に走り回ったり、木や岩に登ったり、岩から岩を飛び跳ねたり、開放的な場面では細かいルールに縛られずに様々な動きを制限なく体験できるチャンスになります。

動いているんだという感覚がしっかりできると、自分の動きをだんだん上手にコントロールできるようになります。ちょうど幼稚園の後半くらいにはこれが成熟してきます。

動いているんだというのは外的な感覚ですが、では、内的な感覚とはどういうことでしょうか?

自由な動きは原始的反射の統合を助ける

子どもたちは産まれながら、多くの原始反射を持っています。

原始反射とは?

原始反射とは、文字通り、胎児が生き残るための原始的な反射です。胎児として体内にいる時からみられ、産まれてから数ヶ月の間、みられます。生命維持と成長の土台になる生まれた持った原始的な反射で、発達が進むことで原始反射は統合され消えていきます。

逆に、発達が十分にできない何らかの環境なり要因があり統合ができず残ってしまうと、様々な場面で困難と思うことや、それが生き難さに繋がったりします。

例えば、吸啜反射というものがあります。

これは、赤ちゃんがおっぱいを吸うためには必要な反射です。生命維持と成長のために必要不可欠な反射ですが、これが統合されずに必要以上に長く残ってしまうと言葉の発音が困難だったり、食べ物を飲み込むということや噛んだりすることに必要以上に努力が必要になってくるということに繋がります。

私は、このあたりの専門家ではないので詳しくはこちらのサイトをお勧めしますね。

こころと身体の発達学習支援 一般社団法人 ここからだhttp://genshihansha.jp/

自由に子どもが動ける環境はこう言った原始的反射の統合をも助けてくれます。

運動感覚における内面的な体験

例えば、木登りをするとそこから何が見えるのだろうか?ということは、木に登ってみて初めて体験できます。大人はいちいち登ってみなくても、何となく見える景色が想像できますね。自分の知らない世界がその先にあって、知りたいという衝動がそういうとき子どもの内側から湧いているのです。

これは、人生をさらに進めていくと、人生の中で大きな動きを感じるという感覚でもあります。どんな小さな動きも自分でこうしようと思った意図の積み重ねが人生を、未来を作っていきます。

運動感覚をベースに育つ感覚というものがあります。それは言語感覚です。

運動感覚を養うことは言語感覚の土台にもなります。
それについてはまた別の記事でお伝えしたいと思います。


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