見出し画像

美人じゃなくてよかったと思った話・・

出逢ったときの第一印象でその方の生き方が予想できるようになってきたなぁ・・結構な確立でその方の性格や思考がどんぴしゃであたるようになった。・・と思いあがった状態の時に、ふいに垣間見えたギャップに驚くことがよくあります。他人は対話してみなければまったくわからないのだとその度に考え直すのですが、また「やっぱりね~」と予想どおりの結果が続くと嬉しくなる自分がいます。

どうして私は他人の性格や生き方を予想したがるのでしょう。十羽ひとからげにされたくない自分がいるのに、他人をカテゴリー分けしたくなる。

先日、EMSiのオンラインフェスで、渡辺克己さんの「ナレーター体験会」に参加させていただきました。渡辺さんはEMS2期を受講したときの同期生で、オンラインであった2期の卒業イベントでナレーターを務めてくださいました。同期といっても250名いるので、ナレーターを務めてくださらなければ同期だと知らないまま、ご縁が続かなかったかもしれません。


【目次】
1.渡辺さんの体験会に集った参加者の動機
2.あなたの根っこに何があるのか
3.本当に伝えたいことはなにか
4.ことばを伝えるのは社会変革活動である
5.喋ることに対して自由になろう
6.それでも技術を散りばめて・・・
7.与えられた言葉は世界を旅するための翼である

1.渡辺さんの体験会に集った参加者の動機

 EMS卒業生のイベントだったので、参加者はみなEMSを受講中もしくは卒業生しかいなかったと思います。チェックインでイベント参加の目的を聴き合ったのですが、30名以上いた参加者の目的は「渡辺さんのいい声シャワーを浴びたい」人と「自分の活動での伝えることへのスキルを学びたい」人が半数ずつだったのではないかなぁと感じました。私は、「いい声シャワーを浴びたい」派でした。いやホントに素敵な声なんですよ。

2.あなたの根っこに何があるのか

 私たちの前にあらわれた渡辺さんは、仕事モードのダンディさはなく、無精髭姿でした。(実際お逢いしたことがないので仕事モードは知らないのですが)私たちに心を許してくださっているのだなぁ・・ときゅんとしたのですが声はいつも通り聞き惚れてしまういいお声です。
 1時間の予定だったイベントが終了したのは2時間20分後。(結局はEMS運営側で参加していた方が声を出して解散となりました。)渡辺さんは部屋を閉めるタイミングを忘れたかのように、どんどんどんどん前のめりに想いを伝えてくださいました。「あなたはどうして言葉を伝えたいのですか?」「どんな未来に向かってその言葉を伝えようとしていますか?」「あなたの内側にはなにがあるのですか?」ということを一貫して問い続けてくださいました。いま思い出しても目の奥がじーーんとします。

3.本当に伝えたいことはなにか

 ナレーター体験会ですので、渡辺さんが準備してくださった文章を読んでそこにアドバイスを頂けるという有難い時間もありました。文章は2つ準備してあって、最初は40文字くらいの短い文章を参加者全員が読んでみました。30名以上いた参加者ひとりひとりにアドバイスをしてくださって、「凄いエネルギー」を感じていました。その後あらかじめ先着順で「声出ししたい」と申し込んでいた10名くらいのかたが250~300文字くらいの文章を読んでみました。私もその10名の中に入っていたので、読むチャンスがあったのですが正直言って緊張しすぎてどんなふうに読めたのか覚えていません。だって、最初からみんなのナレーター体験に対してコメントをしてくださっているのを聴いていたので、どんどんハードルがあがってきていたからです。でも、自分なりにその文章を誰にどのように伝えようか、どうして伝えたいのかをシュミレーションしながら読むことはできたと思います。

4.ことばを伝えるのは社会変革活動である

 渡辺さんがことばを伝える活動をしているきっかけを教えてくださいました。これまでの人生経験から「世界がどう変わっていくか」に挑戦しているのだということでした。AIではできないこと、人間にしかできないこと、その人にしか語れない言葉・・・相手にどのように関わっていくのか、横に立つのか前に立つのか背中を押すのかを考えながら言葉を伝えているそうです。ナレーター、役者、コンサルタントなどいろんな「ロール(役割)」で活躍されてるようですが、なかでも「災害時の音声について」研究されてるお話が興味深かったです。今回のような自然災害のとき、標準語で伝えるよりも地元の言葉で伝えた方が相手が瞬時に対応できるというものでした。人間のバイアスについての知見もあって、このお話はまた立ち止まってお聞きしたい内容でした。

5.喋ることに対して自由になろう

 2時間20分のあいだに繰り返し伝えていたことは「喋ることに対して自由になろう」ということでした。なにをどう伝えるかには伝える人の根っこにある思いが大切だというものとは対極にあるようなこの言葉でしたが、このおかげでナレーター体験をみんなの前でできたのではないかとも思えます。「喋りの上手い下手は誰かの基準でしかない」「どんな未来に向かっているかの方が大切だ」「いまこの瞬間をどれだけ味わいつくしながら生きるか」それを言葉にこめて伝えよう。

6.それでも技術を散りばめて・・・

 ナレーター体験会はことばを伝えることへの本質が語られていました。それを体験できたのだと思います。でも、技術的なことがまったくなかった訳ではありません。ちょっと記してみます。
①原稿を読んで、文字情報から絵が浮かんでいるか
②原稿の中でどの言葉をいちばん丁寧に取り扱うか
  「でも」「もし」「しかも」・・これらの意味するところを読み取る
③客観的に伝えるアナウンスと主観的に伝えるセリフの中間にあるナレーションの世界観について
④語尾やスピードや表情に気をつける
⑤相手が初めて聞く言葉、なじみのない言葉は丁寧に伝える
⑥相手にずっと関りつづけるペースで、見えない糸を感じながら読む
⑦姿勢・・腹筋と骨盤の緊張を緩めない
⑧開いている音と閉じている音について
⑨読んでいる途中で読んでいる部分より気持ちが先に進んでいかない
⑩自分の中で休憩しているように聞こえないように前のめりで続ける。
などなど、ひとりひとりにこんなアドバイスをくださるのです。もうなんというか・・無料イベントだったのですよ~!!びっくりです。

7.与えられた言葉は世界を旅するための翼である

これは渡辺さんの言葉です。私は「翼」を受け取りました。

 ここからこの記事のタイトルに戻ります。私は渡辺さんのイベントに参加しながら「いい声のシャワーを浴びに来た」自分自身を恥じたのです。だから「美人じゃなくてよかった」という考えに及んでしまったのです。どういうことかというと、人は第一印象で近づきたくなりますよね。美人とそうでない人がいたら、その二人のことをよく知らなかった時の選択は美人かなぁと思うのです。だって見ていて飽きないし憧れの眼差しを向けられるし、こっちを見てくれたらもう「きゃ~」って飛びあがるほど嬉しくなります。だけどだんだん深くお付き合いしていくと不美人のほうに勝敗があがるかもしれないのです。美人はハードルが高くて、中身が素敵でなきゃならない。
 だとしたら、渡辺さんが伝えたい本当の部分は「いい声」の部分じゃなくて「言葉を伝えることの本質」なのだから、「いい声」が邪魔になるかもしれないなぁ・・って考えたからなのです。

まぁその考えは一瞬で打ち消したのですけどね。だって、まずいい声じゃなかったら話を聴くチャンスが少ないかもしれない。美人じゃなかったら伝える範囲が狭いままかもしれない。まぁ…美人不美人もいい声だと感じるのも実際には誰かの価値基準でしかないのですが。

あ~なんと浅はかな私の考えでしょう。ということで一瞬浮かんだ私のつぶやきをタイトルにしてみました。

渡辺克己さん。ありがとうございました。
この御恩は、私のこれからの行動に変えてきっとお返しします。EMSiのお付き合いはこれからも末永くよろしくお願いいたします。

追伸:EMS2期の卒業イベントでも今回のナレーター体験会でも、パソコンに水をかけて焦ってしまうところや、体験している人が読んでいる途中に何度も何度もその記事を消したり、小さくする操作を繰り返しているおちゃめな渡辺さんが大好きです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?