春のなかに突如あらわれた雨の降る寒い日、私たちは身体を寄せてせっくすをした。 その日、私はそんなにやる気に満ちていたわけではないはずだった。 けれど「そう? 確実に目が潤んでいたように見えたよ」と彼は言う。 彼の部屋でワインを飲み、他愛もないことを少し話すと、私の頭は気づいたら彼の腕枕のなかにすっぽり埋まってた。 可愛らしいキスから始まり、お互いの身体を舐め合いっこをすると、気持ちの良いなみが寄せては返し、私たちは何度となく快感のなみに揺られた。 それでね、その少しな
自分の能力に絶望したとき、それを救ってくれるのはセックスだと思った。 東京に生きていると自分が誰だかわからなくなる。才能のある人が多すぎて、自分がちっぽけすぎて、別にこの街からいなくなってもいいんじゃないかと思える。 誰も私を求めてないし、別にいなくなっても何とも思わないだろう。絶望を超えると、私は理性を捨てた。無感覚になろうと決めた。それが一番ここちよかった。 その男とはどうやって知り合ったかも憶えていない。憶えていることと言えばグレーのスーツを着て、男が私の手首をわ
突然、ブラジャーのひもが切れた。 後ろのひもだ。ホックの布地のあたり。付けようとしたら、ぷすんと、見事に切れたのだ。こんなことがあるんだなぁと不思議な感動をおぼえた。限界までブラジャーを愛用した自分を褒めたくなる。しかし、現実には付けられるブラがほとんど無い。そんなわけで下着を買いに出かけることにした。 私一人のために3人の店員さんが笑顔で出迎えてくれた。コロナ禍の情勢を象徴したように、午前中のデパートの下着売り場は誰一人いなかった。もはや買い物は「目的買い」のご時世だ。
エッチしたあとのまどろみが気持ちよかった。終わったあとも自分の胸やあちこちを触り続けてとろけていた。まだふわふわする。腰が自然とくねってしまう。たまらない。心地いい。キスしたい。なめたい。でも今はできない。このくるしさがまた身体をあたためる。
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