短文バトル7「手紙」/欲しいもの
今、わたしは誰からの手紙が欲しいだろうと考えた。
目に見えないものに翻弄されて、活動が制限され、経済も脅かされて鬱々とする暮らし。
でも、日に日に空は明るく澄み、木の芽は青く、蕾はやわらかくふくらむ。
耳を澄ませば、これまで聞こえなかった音が遠くから微かに聞こえる。
生命は立ち止まらない。
中谷宇吉郎先生は「雪は天からの手紙」と書いた。
わたしが今欲しくて、既に受け取っているのは、木々や空からの「生きてるよ。生き続けよう」という手紙かもしれない。
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