面白そうで面白くない、でもちょっと面白い数学
おはようございます。🐤
今日はコミュニティでこんな質問があったので、それに乗っかってみたいと思います。
「logなんて高校で勉強するだけで、大人になったら使う場面ないですよね」
ありますあります
まず身近なところでは、ビットコインのS2Fモデルでよく見るグラフは対数です。(身近か?)
![](https://assets.st-note.com/img/1670853758538-MNkrwHbap8.png?width=800)
適当にとってきたので、とても字が小さくてみにくいですが、左の目盛りがよく見ると普通のグラフではあり得ない刻みになっています。普通なら1, 2, 3と数が増えていくのですが、このグラフでは1, 10, 100と上がっているのがわかります。
なぜこんな目盛りに?
それは、普通の目盛りだとこんなふうになるからです。
![](https://assets.st-note.com/img/1670854094966-4j0e2KcJ9w.png?width=800)
普通の目盛りだと、2013年くらいから2017年くらいまで何もドラマが見えないですよね。ほんとは2013年末にMt.Goxという大事件が起きているのに。こんなふうに、小さな数と大きな数を並べた時に感覚的にわかりやすくするためにはもってこいなのが対数表示なのです。
対数、便利でしょう?(ドヤァ)
マグニチュード
あと、これも豆知識なのが、地震の時のマグニチュード。
あれは1違うと32倍くらいエネルギーが違うのだそうです。これも対数でマグニチュードが1違うと、エネルギーが10の1.5乗倍になるというのです。マグニチュードが2違うとエネルギーは10の3乗倍、つまり1000倍ですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1670854564520-VZ07mufxOa.png)
エネルギーの単位の決め方が、「1kgのものを1m動かす力」とかだったものだから、これが倍になっても感覚的にはあまり増えないんですよね。阪神淡路大震災のマグニチュードが確か7.3、東日本大震災が9.1とか?
そう聞くとなんとなく「ああ、東日本大震災の方が大きいよね、うん」と理解できるけど、約1000倍くらいのエネルギーがあるなんて思えないじゃないですか。思える人いますか? 1000倍って!? 同じ震度7なのに?
ということで、めちゃめちゃ大きな数を人間の感覚に近づけてあらわすのに便利……なのかな? たぶんそういう位置づけです。音の大きさ(dB:デシベル)とか星の光の強さ(○等星)とかもそんな感じらしいです。
またまた身近な例を出すと、SHA256っていう暗号資産によく使われる関数では「2の256乗」とかいう数を扱う時があるじゃないですか。(身近か?)
2の256乗?と言われてどんな数を想像しますか?
「うーん、100万くらい? もしかして1億とか?」くらいに考えますよね。
そんな時にも対数が役にたって、10の何乗かというのがパッとわかるんです。たとえば次の数は3なんです。
![](https://assets.st-note.com/img/1670858263086-g9qCNOZgtZ.png)
10を何乗したら1000になるか、その答えは3なんですね。これはもっとわかりやすくいうと、1000は10の3乗だから、
![](https://assets.st-note.com/img/1670858444977-Xiu6qODNAY.png)
計算のルールでこんなことをすることができるんですね。log10(10)っていうのは1だから答えは3です。このルールを使うと、
![](https://assets.st-note.com/img/1670855231111-t6DHfRWvVt.png)
だと思えばこれは
![](https://assets.st-note.com/img/1670855291601-74M2s65ZEe.png)
なので、log10(2)が0.3010くらいだと知ってさえいたら(知らなくてもだいたい目分量で計算して)、256 * 0.3010=77.06…だいたい10の77乗くらいの数だと見当がつくわけです。(ちなみに1億は10の8乗です)
要するに、めちゃくちゃ大きい数と、小さな数を、ちょっとスケールを変えながら感覚的に図ることができるものさし、という感じですね。対数=便利なものさしってイメージでいいんではないでしょうか。
ひたすら複利しまくる=e
次に自然対数です。自然ってなんだよめちゃくちゃ不自然じゃねーかって言いたくなりますけど、とにかく自然ってのはeなんです。
eってのは、例えばAPR=100%の投資商品があったとします。APRってのは年利です。1年後には2倍になりますよね。
しかし、複利の力を使えばもっと増えます。例えば半年複利で同じ投資商品に預けると、半年後には1.5倍、1年後にはその1.5倍で、2.25倍になります。複利しないよりも増えましたね。
じゃあもっと、ということで、1か月複利にするとどうなるでしょうか。2.6倍くらいになります。かなり増えましたね。どうやら複利頻度を増やせば増やすほど利子が増えそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1670855950052-UXlTUnx8sA.png)
じゃあもっともっと、ということで、1日複利にするとどうなるでしょうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1670856308730-23TpAHOXkX.png)
増えてますが、思ったよりは増えていません。2.71倍くらいが頭打ちのようです。実はこの2.71…という数がeです。複利回数を無限に増やしていくとe=2.7182818284…となっていきます。
これ、数字好きな人はよく出会う数なんですよね、なんかいろいろやってたら、あれ? これも2.71828…? っていうくらい自然に出会う数、なので「自然」と名前がついたようです。知らんけど。
不幸の確率=1/e
あと、面白いのが1/eという数で、計算したらだいたい0.367879…となります。パーセントでいうと36%くらいでしょうか。これも、確率の計算が好きな人は何度も見たことがある数字だと思います。
例えば、1/10の確率で当たるくじがあるとします。おみくじのように引いたらなくなるじゃなくて、ひいたらまたもとに戻して、同じ確率で当たるくじです。つまり、毎回1/10の確率であたります。
これに10回連続で外れる確率が36%なんですね~。
うっそ、10回に1回あたるはずなのに、10回ひいても外れる不幸なやついるの? と思うでしょう、36%もあるんですよ~。
計算のしかたはちょっと頭を使わないといけなくて、90%の確率で外れるので、90% x 90% x 90% x…と10回 0.9 をかけ続けるのです。つまり 0.9の10乗です。それの答えは約34.9%になってきます。
これが1/100の確率で当たるくじを100回ひいたら、100回連続ではずれる確率は、99% x 99%…と100回 0.99 をかけ続けると 36.6%になって、さっきの36%くらいに収束していくのです。
1/nで当たるくじをn回ひいて、全部外れる確率が収束するのってなんだかおもしろくないですか?
まとめ
というわけで「対数は将来役にたつのか?」という疑問に答えてみました。
特にまとめることはないし、よくよく考えたらあまり役にはたたないかもしれないですけど、でもやっぱりマグニチュードとかわかりやすい対数のグラフとかで世の中の役にはたっているし、なにより数遊びは面白いです。
勉強なんて、いや人生なんて、楽しんだものが勝ちです。受験も高校生活も会社も恋愛も子育ても、ぜんぶゲーム感覚で乗り切ってしまいましょう。😊
そして、楽しむには没頭することです。楽しんだら自然と没頭できます。没頭したことのある人の間で生まれるコミュニティっていうものもあります。楽しむっていうのはきっとめちゃくちゃ非効率的だと思います。
効率的にやるなら、歴史を学び、人が一度歩いたことのある道を歩くことです。
楽しむっていうのはそうじゃなくて、ひたすら単純作業をやったりとか、無駄でしかないことを延々とやるとか、とにかく偉大な他人の成果を無視して、ちっぽけな自分の頭で考えて、ちっぽけな自分の力で道を切り開くことだと僕は思っています。
そんなことをやっているときっと学校の成績は悪くなるし、会社でも認められません。でも楽しいです。知らんけど。
それではまた、DeFi~(@^^)/~~~
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