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法人税における貸倒損失(2023年9月基礎編 問32)

おはようございます。🐤

今日は貸倒損失です、これも簡単ですね、だって書面で残したらOKなんでしょ、あと全額じゃなくて1円残すんでしょ? あと交通費の方が高くついたら認められるんでしょ、それだけなんでしょ。

えっ違う?


法人税における貸倒損失

ビジテキはp326~p327のおよそ1ページ分、範囲狭いです。これは得意問題にしてしまいましょう。

貸倒損失は、貸した先が倒れちゃったのでお金が返ってこなくなった=損をしたということです。損をしたんだから経費として認めてよ⇒認めてあげるよ、というイメージです。

  • 法律上の貸し倒れ(一部でもOK)

    • 会社更生法の手続きや債権者集会の協議などによって切り捨てられた額

    • 債務超過の状態が相当期間継続したため、書面にした債務免除額
      「もうこの会社は無理でしょ、貸してた○○万円はもう返せないこと確定だよね、じゃもう返せないものとして(債務免除)税務処理するね!」ということです。

  • 事実上の貸し倒れ

    • 資産状況や支払い能力などから、全額を回収することが絶対に無理と明らかになった時(ただし、担保があった場合、それをまずお金に換えて支払いにあてないといけません、貸し倒れの判断はそれからです)(一部を回収できそうな場合もこれにあてはまりません)
      思いっきりハードルが高いのがこの「事実上の貸し倒れ」です、だっていかにも基準があいまいでしょう。

  • 形式上の貸し倒れ(貸付金は×

    • 支払いが滞ったため、これはヤバいと思って取引を停止してから1年以上何も音沙汰がないような場合

    • 取り立て費用が債務よりも多くなりそうな場合(貸付金は×)
      この「形式上の貸し倒れ」も基準があいまいです、だから「貸付金のみ」に限定されています。事実上と同じように担保があってもダメです。
      また、3つの基準の中で最もあいまいで、まだ貸し倒れが決定したわけじゃなくて、もしかしたら返済がなされるかもしれません。そんな時のために「備忘価格」として1円を残しておくのです。返済がなされたら、その分は利益となります。返済がされないことが確定した時(=事実上の貸し倒れになった時など)にこの備忘価格は消されます。

2023年9月基礎編 問32

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験より

1) 取引先V社に対して有している売掛金600万円について、V社は債務超過の状態が数年間継続しており、事業好転の見通しもなく、その回収が困難であると認められる場合、当該売掛金について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできない。

⭕️:文章のとおりです。事実上の貸し倒れの場合、担保をすべて処分して返済にあててもなお残債がある場合にだけ、損金経理をすることができます。

2) 取引先W社に対して有している貸付金800万円について、W社は債権者集会の協議決定で合理的な基準による債務者の負債整理が行われ、500万円が切り捨てられることになった場合、当該切り捨てられることになった500万円が貸倒損失として認められる。

⭕️:法律上の貸し倒れの例です。文章のとおり。

3) 取引先X社に対して有している貸付金400万円について、X社との取引を停止した時以後1年以上経過した場合、当該貸付金の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をすることができる。

❌:法律上の手続きや書面などで明らかになったわけじゃなく、「もうなんとなく絶対無理だよな」というのが事実上の貸し倒れです。この場合は「売掛金」だけが損金経理を認められて、「貸付金」は認められません。

4) 遠方に所在する取引先Y社とZ社(この2社の所在地は同一市内である)について、再三の支払の督促にもかかわらず、事業年度末現在で弁済がなされていない売掛金が、Y社は5万8,000円、Z社は4万円ある場合、その取立てに要する旅費等が10万円かかると見込まれるときは、当該売掛金残高から備忘価額を控除した97,998円が貸倒損失として認められる。

⭕️:同一地域ということで、そこまでかかる電車賃などが10万円かかりますと、「10万円!?」
例えば神戸から札幌まではスカイマークで約27,000円=往復54,000円、沖縄までも同じくらい。往復10万円ってどこまで取り立てに行くの? という気はしますが…とにかく、貸している額(9万8000円)よりも取り立てに必要な旅費等(10万円)が高くなると、取り立てるだけ損をしますから、その分の取り立ては諦めることにして、9万8000円から1円×2社を引いた97,998円が貸倒損失として認められます。
「全額」じゃないのがポイントですね、2円は認められないですから…よくひっかけで「全額」と出されますので注意。

過去の関連問題

まとめ

  • 法律上の貸し倒れ(一部でもOK)

    • 会社更生法の手続きや債権者集会の協議などによって切り捨てられた額

    • 債務超過の状態が相当期間継続したため、書面にした債務免除額

  • 事実上の貸し倒れ

    • 資産状況や支払い能力などから、全額を回収することが絶対に無理と明らかになった時(※担保は処分してから)

  • 形式上の貸し倒れ(貸付金は×

    • 支払いが滞ったため、これはヤバいと思って取引を停止してから1年以上何も音沙汰がないような場合

    • 取り立て費用が債務よりも多くなりそうな場合(貸付金は×)
      ※備忘価格1円

というわけで今日はここまで、明日で税金分野が終了します。

それではまた、FP~(@^^)/~~~

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