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各種損害保険の課税関係(2023年9月基礎編 問15)

おはようございます。🐤

今日は各種損害保険の課税関係です。テキストでは保険の種類と課税関係が、個人と法人、支払う場合と受け取る場合に分けてそれぞれ一覧表でまとめられていますが、これを丸暗記するのはとてつもなく辛いし、難しいと思います。

課税の意味を考えて、試験中に自分で導き出せるようにするのが良いと思うのでやっていきましょう。


個人事業主(本人と専従者)の課税関係

基本的には「事業に必要かどうか」で課税されるかされないかが決まります。例えば事務所にかける火災保険や商品にかける損害保険などは全額経費とすることができます。

しかし、自宅兼オフィス、店舗併用住宅などでは、事業に関係のない部分は経費に計上できないので、プライベートとの切り分けがポイントです。

自動車保険

その自動車を事業に使っていれば、その分だけの保険料を経費に参入できます。これを家事按分といいます。

火災保険

自宅兼オフィスにかけている火災保険は、自宅とオフィスが明確に分離されていれば面積按分などをして、オフィス部分の火災保険料を経費にできると思いますが、原則はプライベートな部分は経費にはできません。

地震保険

火災保険と考え方は同じですが、そもそも地震保険は地震保険料控除の対象なので、一定額は所得から控除されます。

傷害保険

個人事業主本人が加入する傷害保険は、プライベートな部分にも適用されて、事業との切り分けが難しいため原則は経費になりません。

従業員の課税関係

個人事業主本人や、その家族である従業員(専従者)とは違って、従業員にかける保険は基本的には経費になります。

ただし、経費になるのは掛け捨て部分のみです。

受け取った保険金の課税関係

(1) 個人が損害保険金を受け取った場合
基本的には非課税。なぜかというと損害に対する保険だから(利益がでているわけじゃないから)
ただし、死亡保険金については次のとおり課税されます。
 ・保険料負担者が死亡者本人:相続税
 ・保険料負担者が受取人:所得税
 ・その他:贈与税

(2) 個人事業主が損害保険金を受け取った場合
基本的には非課税。理由はさっきと同じ。
ただし、棚卸資産(商品等)にかかる損害保険金は事業収入に算入されます。なぜ? 損しているのに?

それは、そもそも損害を受けた時はその損失額を必要経費にあてることができるから、つまり、損害分は課税されないからです。そして、損害保険金が支払われた場合、その損害分から保険金を差し引いて経費計上することになります。要するに受け取った損害保険金は損害分で打ち消されるため利益にはなり得ず、課税はされることはありません。

また、個人事業主が休業損失の損害保険金を受けた時は、これはもともと収入として得られるはずであった部分の補償であることから、事業収入に算入されます。

傷害保険で従業員が被保険者の場合は、被保険者または遺族が受取人の場合(会社が受け取らない場合)は経理処理はなし。会社が受け取る場合は益金に参入されます。

(3) 法人が損害保険金を受け取った場合
基本的にはすべて益金参入です。

(会計のことは収益/費用と呼び、税金に関することは益金/損金と呼びます)

その代わり、損害の額は基本的には損金算入されます。個人事業主のときと同じで、損害の額-保険金収入=経費となります。要するに保険金収入は損害の額を超えない限り税金はかからないということになります。

ただし、私もよくわかっていないのですが、法人の場合は対象のものの価値よりも高い保険金額をかけることができるようで、FP試験の問題にも、損害を受けた建物よりも大きな金額の保険金を受け取っている問題が見られます。その時は利益になってしまうので課税されます。

過去の関連問題

2015年9月の問15を見てみてください、23年9月の問15と全く同じで笑えます。ははは…

2023年9月基礎編 問15

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験より

1) 業務の用に供する自動車を対象とする自動車保険について、個人事業主であるAさんが支払った保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。

⭕:業務に使う自動車は経費算入できます。

2) 店舗併用住宅である建物を対象とする火災保険について、個人事業主であるBさんが支払った保険料のうち、店舗部分に対応する部分の保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。

⭕:店舗部分に対する火災保険料は、経費算入できます。

3) 個人事業主であるCさんを被保険者とする傷害保険について、Cさんが支払った保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。

❌:従業員なら経費ですが、個人事業主本人の傷害保険料は経費には算入することができません。

4) 従業員を被保険者とする傷害保険について、被保険者である従業員が死亡したことにより、個人事業主であるDさんが受け取った死亡保険金は、事業所得の金額の計算上、収入金額に算入される。

⭕:文章のとおりです。

まとめ

  • 個人事業主の損害保険等の課税関係は、その対象が事業に使っているかどうかがポイント

  • 個人事業主本人と、専従者にかける保険は、事業との按分が難しくて、経費の対象にならない

それではまた、FP〜(@^^)/~~~

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