応用編 第4問(2023年5月)#FP1級への道
おはようございます。🐤
FP1級 2023年5月の第4問、不動産分野の解説をやっていきます。私は建築の専門家なのでここは強いよ。勉強してなくてもとれるボーナス部門だよ(落としたけど)
【問60 固定資産の交換の特例】
不動産の特例シリーズのうちの一つ、あまり馴染みのない「固定資産の交換」ですね。ただ、居住用財産の買換えの特例と同じで、とくに難しくはありません。
特定の居住用財産の買換え特例
特定の事業用資産の買換え特例
固定資産の交換の特例
これらの考え方は同じで、次のような「利益のすり替え」をして、課税の繰り延べをしています。
ちょっと時間はかかりますけど、順に丁寧に説明をしていきます。
本来であれば、家を譲渡した時は次のようになります。
で、この特例は何をやっているかというと、本来の利益を「利益っぽい」何かとても小さいものに置き換えて、とりあえずその分の税金を支払って、支払った気になって、本当の利益分への課税は将来に先延ばしするということをしています。
今回は固定資産の交換なので、売買じゃなくて交換で絵を作り直します。
交換といってもほとんど売買と同じです。まず自分の固定資産(土地建物)を売って、その売ったお金で相手の固定資産を買うと考えれば、買換え特例と同じになります。ひとつだけ、交換の特例は種類が同じで、価格の差は高い方の2割までしか認められません。条件が譲渡よりもちょっと厳しいんです。
上の図の左側「本来の利益」と書いてあるのが利益です。これは自分の固定資産の価値から取得費+譲渡費用を引いたものです。
しかし、自分のものより安いものと交換した時は、その価値の差額をお金で受け取り、それを利益とみなします。つまり次の式です。
そして、その利益の中で「取得費+譲渡費用」を割合で計算します。図のように同じ割合で算出するのですが、図を式に直すと次のようになります。
今回の問題にあてはめると、自分の資産の価値は3,000万円、相手の資産は2,700万円、この差額は300万円。そして自分の資産の取得費は不明なので3,000万円×5%=150万円として、交換費用は折半なので100万円/2=50万円。
所得金額=利益-(取得金額+費用)=300万円-(150+50)×300/3000=280万円
これに15.315%と5%をかけて
2,800,000×15.315%=428,820
2,800,000×5%=140,000
合計=568,820円
余談:相手の資産の方が高い時(交換利益が発生しない時)
交換の差額がマイナスになる時は、利益が発生しないので、交換時の課税はゼロになります。
でも、ゼロだからと喜んでいてはいけません。あくまで課税の繰り延べです。
国税庁の図の説明では、仮に5000万円で自宅を売却し、4000万円の利益がでたとします。そこで税金を逃れようと7000万円の家を購入すると、その利益はずっと残ります。
もちろん、その次に家を売る時には3000万円の特別控除を使えるのですが、それなら今3000万円を使って、将来も3000万円を使えば6000万円控除されます。リテラシーが高いとは、この制度を知ったうえでどのようにお得に立ち回れるかということなので、次回あたりはもう一歩進んだ問題が出されるかもしれません。
【問61 建ぺい率と容積率】
問61は建ぺい率と容積率です。これは年々複雑になるものの、整理していけばそんなに難しくはありません。図の乙土地の面積を求めていきます。
まず、3m公道です。これは4m必要なので、両側0.5mずつを提供する必要があり、乙土地からも0.5m提供するので、乙土地の南北方向(たて)の長さは12.0mとなります。
【防火規制】少しでも防火地域にかかっているので、全体が防火地域になります。火事のリスクに対して規制を緩めることはありません。全体が防火地域になります。
【建ぺい率】2つの用途地域にまたがる時は、それぞれで算出して足し算です。近隣商業地域は80%かつ防火地域、そこに耐火建築物を建てるので建ぺい率の緩和を受けて100%になります。
ポイントは「防火地域内に準耐火建築物を建ててもダメ」ということですが、このひっかけはこれまで試験にでたことはありません。
これによると、乙土地の北側3mまでの部分は、建ぺい率100%になります。南側は60%になって
20m×3m×100%=60㎡
20m×9m×60%=108㎡
合計=168㎡
となります。次に容積率を求めます。
北側は400%と前面道路×6/10=360%の小さい方なので360%。
南側は100%と前面道路×4/10=240%の小さい方なので100%。
20×3×360%=216㎡
20m×9×100%=180㎡
合計=396㎡
【問62 外壁の後退距離】
これは一級建築士でも知らないことです。民法は建築士の試験にはたぶん出ません、知らんけど。というわけで50cmを覚えておきましょう。町を歩いている時に、敷地境界から50cmない家を見つけて楽しみましょう。
まとめ
今回の試験の応用編の中では一番ましだったのではないでしょうか。ひっかけが細かくなっていたものの、しっかりと順番に考えたら大丈夫な問題だったと思います。民法は知らんけど。
というわけで、今回の記事が役にたてたら嬉しいです。これからも、少なくとも私がFP1級合格するまでは飽きずに続けると思うので、ぜひフォローやいいねをお願いします。Twitterもフォローしてね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それではまた、FP~(@^^)/~~~
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