応用編 第5問(2023年5月)#FP1級への道
おはようございます。🐤
第5問は、細かな知識をいくつか求めていて、そこを知らないと正解にはたどり着かない問題ではあったのですが、これも落ち着いてじっくり考えれば、FP1級受験生のみなさんであれば解けた問題だとは思います。
その証拠に、今から私がご説明する内容を読んでいただいて、何も驚きもないと思います。そんなことないよ、わからなかったよという方は、ぜひ最後まで冷静に読んでいただけたらと思います。
私ですか? 不正解でしたが何か?
問題はこちら。⇒試験問題 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)
【問63 土地の評価】
第5問の最初の問63は…って、よく考えたらこの問題の番号もおかしくないですか? 第5問の(1)とかじゃないの問題番号って普通は。でもまあいいや、問63は「土地の評価」の問題です。
土地の評価=路線価
問題の貸家建付地は前面道路が200Eという表記があります、この数字と記号は何でしたっけ、相続税路線価ですね。まさにこの問題では相続税の計算に使う土地の価値を計算しようとしているので、この相続税路線価を使ったらいいんですよね。つまり1㎡あたり200千円=20万円という意味でしたね。
で、200Eの「E」ってなんでしたっけ? これは借地権割合ですね。
試験問題でよく見るのがDで、D=60%なので、Eは50%になります。
覚え方は、Aから始まって、90%から始まるんですよね。
A:90%
B:80%
C:70%
D:60%
E:50%
Aから始まるのはわかるんですけど、90%というのがちょっと、という方は、まず借地権割合が100%になるわけがないなと考えてみればわかるかと思います。借地権ってただ借りてるだけで、返さないといけないですから。借地権割合が100%って、つまり借りても買っても同じということなんですけど、あり得ないですよね。だって、買ったらそれを自分で自由に使うこともできるし、人に貸したら収入ができるし。
なので、A=100%にはならないけど、その10%下の90%から始まるというのがわかれば、あとは10%刻みです。
奥行価格補正係数
問題に表があったとおり、あまりに道路からの奥行きが長い土地は、道路から遠い奥の方は使いにくいよねってことで、少し評価を下げます。この問題の場合、奥行きが24m以上だと土地全体の評価が0.97倍になります。
側方路線影響加算率表
角地にあたる土地は2方向から利用できて使い勝手がいいよね、角地にコンビニあったら入りやすいよね、っていうことで、角地はそうでない普通の土地と比べて少し評価額が上がります。それが「側方路線加算」ですね。
では何が正面で何が側方なのかというと、一番高い路線が正面になります。
例えば上の図だと左側の道が正面になります。上の道は一番長く接しているけれども、安いので側方なのです。計算方法はこちら。
土地の評価額=①+②
正面の路線価=正面路線価×奥行価格補正率×面積…①
側方路線加算=側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率×面積…②
そして、問題文の土地は角地か準角地か、ということですが、なんか準角地ってあったっけ? と思ったら、きんざいのFP1級のテキストには準角地のことが載っていませんでした。でも2級では出題されているので、覚えている人がいたらラッキーだし、試験中でもなんとなく気づけるかもしれません。上の図のように、交差点となっている左側が角地で、右のようなのは準角地といいます。
なので、今回の場合は「準角地」の加算率を使います。
というわけで、計算をしていきます。
①賃貸アパートの土地
200千円×225㎡=45,000千円
道からの奥行きは15mなので、奥行補正なし
角地でもないので、側方影響加算もなし45,000千円×(1-50%×30%×100%)=3,825万円
貸家建付地なので、評価額に(1-借地権割合×借家権割合×賃貸率)をかけます。いつもは借地権割合60%だったから、つい惰性で0.82をかけちゃいますよね。でもここは借地権割合が50%なので、きっちり読み取って0.85をかけた人が尊いです。(私は0.82をかけました涙)
②自用地
接する2つの路線価が同じなので、間口が広い方がおそらく正面になります。奥行きが広いと奥行補正がかかって安くなるからです。というわけで、今回は図の右側の道路が正面です。
1) 正面価格=200千円×1.0×500㎡(右の道路から見た奥行きは20m)
2) 側方影響加算=200千円×0.97×0.02×500㎡(上の道路からみた奥行補正の0.97と準角地の0.02をかける)
1)+2)=100,000千円+1,940千円=10,194万円
どうでしょう、借地権割合が50%とか、準角地とか、ひっかけポイントはいくつかありますが、問題にすべて書いてくれているので、落ち着いて考えればなんとかなったのではないでしょうか。
厳しいですけど、こんな見え透いた甘いワナにひっかかっていては現実の荒波を乗り越えてはいけません。世間はもっともっと厳しく、ワナを隠して私たちをひっかけようとしてくるのですから。FP1級ホルダーはこんなところでうっかりひっかかってはいけないのです。(自戒)
【問64 相続税額の計算】
前ページにAさんが所有する財産の一覧と、生命保険の明細があります。ここでは問63の答えを使わない優しさがありますね。いや普通こうですよ。問58がおかしいんです。
というわけで、すべての明細を足し合わせると(14,500+13,000+2,500+10,000+2,000+4,000)+保険金5,000+Cさんの暦年贈与分560=51,560万円になります。
これ、忘れずに560万円足すことができましたか?
足す時に110万円を控除しませんでしたか? 今は贈与税の計算じゃないですから引けないですよ。相続税に110万円控除とかありません。ここはけっこうひっかかりポイントだと思います。
560万円を忘れない注意深さと、うっかり110万円を引いてしまわない正確な知識が求められています。これに引っかからなかった人は本当に尊いです。
小規模宅地の特例と保険金の控除
自宅敷地が330㎡以上あるので、ここで使い切るのが比べるまでもなく一番効率がいいです。よくあるパターンは自宅敷地が330㎡以下で貸家建付地と併用するんですけど、これも少し優しい感じがします。
500㎡のうち330㎡分までが80%減額できるので、自宅敷地全体の価格からまず330㎡分の価値を割り出します。
次に保険金の控除です。保険の控除は法定相続人の数×500万円なので、この問題の場合法定相続人は4人、つまり控除額は4人×500万円=2,000万円
課税価格の合計額=51,560-5,280-2,000=44,280万円
② 相続税の総額
ここはかんたん、作業です。①ができた人へのプレゼントですね。
控除:44,280-(3000+4×600)=38,880
妻 1/2 38,880×1/2=19,440 ×40%-1700万円=6,076万円
子 1/6 38,880×1/6=1,244 ×30%-700万円=1,244万円
子 1/6 38,880×1/6=1,244 ×30%-700万円=1,244万円
子 1/6 38,880×1/6=1,244 ×30%-700万円=1,244万円
合計=9,808万円
③ Cさんの相続税額
これも作業です。
9,808×11070/44280=2,452万円
2年前?に納付した贈与税額=560-110=450 ×20%-30=60万円
2,452-60=2,392万円
以上、どうでしょう。簡単だったでしょうか。
相続税の計算順序
簡単じゃないですよね。私はいろいろやらかしました。
借地権を60%で計算してしまう
560万円を足し忘れる
途中で気づいたけど、あわてて110万円を引いてしまう
課税価格の合計額の段階で法定相続人の控除をやってしまう
Cさんの納税額を求める時の分母に課税価格の合計額(51,000)を使ってしまう
気持ちいいくらい、すべてのワナにひっかかりました。慌てていたというよりは、知識があいまいだったからです。日ごろの練習問題に取り組む姿勢が、「なんとなく理解できればOK」という甘いものだったからです。緊張感をもって、絶対に間違わずに正解にたどり着く姿勢であたらなければ成長は見られないのだと痛感しました。
この図の順番をしっかり理解して、手が勝手に動くくらい練習をするのです。明日のためにその一、書くべし、書くべし!
まとめ
どうでしょうか、決して奇をてらった問題ではなく、しっかりとヒントが明示されていて答えに導かれる良い問題だったのではないでしょうか。
私はこの振り返りブログを作っていて、「これはいける」という手ごたえを感じています。私がいけるのであれば、みなさんもいけないはずはありません。4日かけて2023年5月の応用編の、主に計算問題について5つの記事で解説をしました。これにかけた時間はおよそ15時間。しっかり15時間分、自分の身になったと感じています。
それもひとえに、記事を読んでいいねを押していただいたみなさん、フォローをしていただいたみなさんのおかげです。心から感謝いたします。と、なんか湿っぽくなりそうですが、まだまだFP1級への道は始まったばかり、これからも良いコンテンツを考えて作り、発信していきますので、ぜひフォローといいねをお願いします。それが私のブログ継続のエネルギーとなります。
あと14週間と3日間ほど、一緒にFP1級合格を目指しましょう。短い間ですがよろしくお願いいたします。
それではまた、FP~(@^^)/~~~