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ソウルバウンドトークン(web3の証明書)

おはようございます。🐤

今日は、ソウルバウンドトークンについてお話をしていきます。これはヴィタリクさんが熱弁されていた「譲渡不可能なトークン」のことです。2022年の初頭〜5月頃にかけてweb3界隈では話題になりました。なったと思います、なってましたよね?

一部では「素晴らしい」「これから必要になるものだ」「ブロックチェーン以来の大発明につながる」と熱くなりました。

しかし、ピンとこない人も多かったのではないでしょうか。僕自身は「うぉおおお! ん? んん?」って感じでした。つまり、興奮すべき偉大なテクノロジーの気配を感じながら、具体的なしくみについては「譲渡不可能なら今のNFTでもできるんじゃないの?」と思ってしまうのです。

実際に今ある規格(ERC-721、1155)で譲渡不可能にできている例はいくつかあります。

下の図:エウレカセブンのNFTはマーケットでの売買、転送ができない
(https://eurekaseven-nft.com/top)

そんな人のために(つまりは自分のために)ヴィタリクさんの記事をDeeplの力を最大限に借りながら翻訳して読んでみようと思いました。今日の記事はこんな内容になります。

SBTが目指すもの
1. 自分だけの証明書トークン
2. web3の世界で「信用」を表現する
3. 失くしても復活可能な鍵
4. ガバナンスでの不正投票の防止

よろしければみなさんも一緒にどうですか?

Happy New Year!(1月2日)

今年の1月2日、「新年おめでとう」と題してヴィタリクさんが連投ツイートした内容に話題が集まりました。ヴィタリクさん自身が予想したことと結果の考察でした。

その中でNFTに関しては完全に予想外だったと書かれています、こんなに流行るとは思わなかったと。

また、ヴィタリクさんは「DAOの投票での不正問題」については大きな失敗だとも言われています。

今思えばこれらの後悔が、その後のSBT(ソウルバウンド)の論文につながってきています。つまり、「NFTのさらなる発展」と「不正投票の防止」などをどうにか実現できないかということです。

Soulbound(1月26日)

1月26日には「Soulbound」という言葉がヴィタリクさんのブログに現れました。Deepl訳したものを張っておきます(原文へのリンクも中にあります)。

こちらではまだまだアイデアで具体的な方法は書かれていませんが、現在のweb3の世界の問題と、それを解決する考え方について書かれています。

  • NFTは転送したりマーケットで購入できるので、証明書にはなりにくい

  • DAO、ガバナンスへの投票権はお金で買えてしまう

  • 証明書NFTを非中央集権のシステムで実現するのは難しい

  • NFTに個人情報を入れるとプライバシーの確保が難しい

これらの問題は、自分のウォレットを自分固有の「ソウル(魂、実体)」として、その中に入る経歴書トークンたちを移転不可能なものとすることで解決できるんじゃないか。そんなふうなことを書かれています。

  • 移転できない自分だけの証明書を作ること
    ⇒免許証、卒業証書、勲章、自分の経歴。これができたらすごくないですか、履歴書のアップグレードです。

  • もっと平等で公正で合理的な投票
    ⇒票をお金で買えなくしたり、複数アカウントでの組織票をなくせたりします。

想像するとちょっとワクワクしてきました。

ヒヨコロの妄想(証明書編)

この記事をもとに妄想をすると、未来には住民票、学歴、運転免許証、保険証、所得証明、課税証明などがすべて移転不可能なトークン(SBT)になっていて「ソウル」というブロックチェーン上のウォレットに入っています。

ソウルの中には資産や経歴などを表す多数のSBTが入っていて、それぞれ必要な人が必要な分だけ情報を読み取ることができます。例えば渡航に必要なのは「年齢」「国籍」などの情報で、車の運転に必要なのは「免許証番号」といった具合です。

これまでのNFTとは違ってすべての情報が公開されているわけではなく、必要な情報以外(例えば収入や家族の状況など)は読み取ることができません。

ちょうどスマホアプリに権限を与えるような操作で、ユーザーがこれらを読み取ることを個別に許可できるのです。

もちろん確定申告の作業は必要ありません。自分が支払う税金は日本にはいくら、アメリカにはいくらと各国ごとの収入に合わせて自動的に計算されて、ウォレットから引き落とされます。

僕は日本で免許証をとっているので、「ソウル」があれば日本で運転できるのはもちろん、日本の免許証を認める国(アメリカ、イギリスなど数カ国)では国際免許証など不要で自動車の運転をすることができます。

年齢確認のために免許証を見せて無駄に誕生日を知られることなしに、ソウルをかざせば「20才以上であること」だけを証明できます。

税金をきちんと収めている人だけ(Amazon GOのように)入れる公園や道路が可能になったりするかもしれません。

ただこれらは「発行されてから一度も移転されていないトークン」だけを有効とすれば今のNFTでも可能な技術に思えます。SBTにしかできないこととは何でしょうか?

次の論文からいよいよSBTの目指していることに迫ります。

分散型社会:Web3の魂(Soul)を探る(5月11日)

ではいよいよ5月のヴィタリク論文です。これはPDFで37ページもあります。長いです。しかも書いていることは複雑でよくわかりません。それでも読み解いていきます。

せめて雰囲気だけでも親しみやすく感じられるように、タメ口で馴れ馴れしく説明してみました、この説明でSBTの雰囲気を掴んでいただいて、興味がわくと上の長くて読みにくい和訳を読むモチベーションになるかもしれません。

もし理解できたら僕にやさしく教えていただけたら嬉しいです。


さて、今のNFTにはできなくてSBTにしかできないことについて説明していくぜ。

今のweb3ってETHとか高価なNFTとかの保有量くらいしかユーザーを評価する基準がないよね。DAOと言ってもガバナンストークンをたくさん持っている人が自由に方向性を決めることができる、資産家の思いどおりになる世界だ。理想のDAOってこんなんだったっけ?

そして誰もがCentralizedな取引所でコインを買って、そこで保管したり運用してるよね。ビットコインから始まったブロックチェーンの世界は「非中央集権」が売りだったのに、気づけばたった10年ですっかり中央集権になっちゃったね。

ちょっと体制を立て直してみない?

どうやるかって、簡単さ、実社会の人間関係とか信頼とかいうウェットなものをスマートコントラクトのコード上で表現するんだ。

まずは自分の実体を表すものを「ソウル」としよう。これは実は今も僕達が使っている普通のウォレットアドレスだ。でもちょっとした儀式だぜ、これが君の魂であり実体を表すものになるんだ。

ではそれに「SBT(ソウルバウンドトークン)」を入れよう。SBTを入れて初めて君のウォレットは「ソウル」つまり君だけの唯一のものになる。

SBTはなんだっていい、例えばクリプトリテラシー検定の合格証NFTだ、このSBTはクリプトリテラシー検定の運営が発行して、君のソウル(ウォレットのこと)に入ったらどこにも動かすことができない。君の意志では売ることも送ることもBurnすることもできない。

🐤 現在のクリプトリテラシー検定の合格NFTはSBTではありません。

君が検定に合格した証は、君だけのものであって他人に譲ることはできないんだ。

どんなお金持ちがどんな大金を出しても、君が苦労して得た合格証を買うことはできないし、逆にいうと君も他人の合格証などの経歴を譲り受けたりすることはできない。その人自身の実績や技能を示すもの、これがSBTだ。

そして、SBTは「ただ移転ができないだけのNFT」じゃない。発行者がその有効性をコントロールできたり、ブロックチェーンに公開する情報を選択できたりする新しい機能が加えられている。

これまでのNFTとの違い1:公開する情報を選択できる

えっ、POAPと何が違うって? 確かに思想は似てるね、でもPOAPは売ることも誰かに送ることもできる、そこがまず違うね。あとPOAPは一企業がやってるサービスだから、ユーザー登録にメールアドレスが必要だったり審査が必要だったりするよ。

加えて、SBTは公開する情報を選択できるんだ。例えば大学の卒業証書をSBTにしたとすると、本名や年齢などの情報を持たせながら公開しないことを選択できる。だって他人が知りたいのは「あなたがこの大学を確かに卒業したのか」ということだけだからね。

これは「ゼロ知識証明」という技術を使って実現しているよ。プライバシーが大事な場面ではとてもよく使われる技術なんだ。

違い2:復活できるトークン

そして、「そもそもNFTは自分のウォレットの取引履歴が全部残るじゃないか」という疑問の声もよく聞くよ。SBTなんてなくても、自分の取引履歴や保有しているNFTが証明書代わりになるじゃないかってね。

それはそのとおりなんだよ、確かにSBTでなくてもこれまでのウォレットの取引履歴は自分の行動をすべて記録している。

でもこんなことを考えてみてほしい。「ウォレットの秘密鍵をなくしちゃった」。さて君ならどうする? どうやって「自分の経歴」を取り戻す?

ブロックチェーンの秘密鍵をなくしたり、盗まれたりする問題はとても大きなものなんだ。どんなに気をつけていても盗まれたり紛失したりすることはあるよね、人間だもの。

そうしたらそのアドレスの持ち主は、自分がもっていた「自分の魂」を亡くしてしまう? 経歴はなかったことになる? そんなこと考えるだけでも恐ろしいよね。

だから、SBTやソウルのような実社会の個人情報に結びついたトークンを作るときには、必ずその復活方法への対応もセットで考える必要があるんだ。ソウルの復活には「コミュニティによる証明」が鍵となるよ。つまり、あらかじめソウルの「保護者」をセットしておく、そしてその保護者を含めたコミュニティのメンバーに「ソウルの回復」を紐づけておくんだ。

これは、Twitterの乗っ取り対策にサブ垢を利用する(常日頃からサブ垢をコミュニティに共有しておき、本垢が乗っ取られた時にサブ垢で「乗っ取られた」と発言することでセキュリティ対策となる)や、かつてFacebookが「信頼できる連絡先」にアカウントの回復を頼っていたことと似ているよ。具体的にどういうしくみが採用されるかはまだわからないけどね。

違い3:プログラム可能なトークンの有効性

自分が疲れてきたので口調を戻します。

SBTは、配布あるいはミントされた時はSBTであって、一定の時間がたった後に譲渡可能なトークンになるようにも設計することができます。

また、一定条件を満たしたらトークンの発行者がSBTをBurnすることも可能です。そのようにトークンの有効性についてプログラム可能にすることがSBTのユースケースを拡大するでしょう。

思想

論文にはもっと他にもできることが書いてあるけど、トークンに付加する「機能」としては上記のことくらいかなと思います。(これは僕の予想です)

大事なのは思想と目的です。ソウルバウンドトークンは、せっかくブロックチェーンが個人にもたらしてくれようとしている価値とクリエイティブの主権を、巨大企業の手に渡ってしまわないようにするためのしくみを作ろうとしているのだと考えるとわかりやすいと思います。

ソウルは、現実世界の人間とブロックチェーンの世界のウォレットを結びつけて、価値と信頼をコードで表現しようとするものです。そのためにこれまでのNFTのしくみに機能を加えます。そして、権力が集中しないように分散化を計るものさしを作りながら分散化を進めることを実現しようとする試みです。

僕はこのソウルバウンドトークンの思想に可能性を感じていて、どちらかというと「信頼」と「社会性」のないブロックチェーンには分散型の未来はなくて、結局大企業が個人のウォレットを管理する世界への逆戻りになる中央集権の未来が近いと思っています。

僕たちが中央集権のぬるま湯につけられて堕落し、結果として搾取されがちなことは否めない一方で、「国家にも企業にも縛られない自由」にもやはり抗いがたい魅力があるので、きっと一部の人たちの間だけでも、ソウルは実現に向けて着実に進んでいくと僕は考えます。

まとめ

どうでしょう、少しはソウルバウンドトークンについてピンときたでしょうか。SBTのために追加される主要な機能としては、

  • 発行者が転送の可否を期限付きでコントロールできる

  • 公開する情報を選択できる

  • コミュニティによるリカバリーを可能にする

といったところかと思います。あくまで僕の予想なので、正確なことを知りたい方はぜひ原文を読み解いてみてください。

SBTが何なのか結局わからん! という方はぜひコメントやTwitterでどこへんがわからんか教えて下さい、僕の勉強にもなりますので。

ということで、ソウルのある世界とない世界を比べてみます。

ソウルのないweb3
・過担保型レンディング
・プロジェクトによる認証(例えばOpenSeaの青バッジ)
・企業が個人のウォレットを管理
・大多数の人は国家や巨大企業への依存から抜けられない
・ボットが人間を装って活躍できる余地がある

ソウルのあるweb3
・信頼に基づく無担保型レンディング
・コミュニティによる認証
・コミュニティによるウォレットリカバリー
・国家や巨大企業の代わりにコミュニティがその役割を果たす
・ボットと人間を簡単に区別できるしくみがある

ブロックチェーンの世界の赤裸々さは多くの人にとって不都合なはずで、そのために複数のウォレットが持てるようになっていて、でも一人で一万のウォレットが持ててエアドロもらったり組織票したりする不正に対抗して個人情報で認証するためにまた大企業による中央集権に戻る、というループをSBTは抜けさせてくれる可能性がある。

そんな希望から僕はソウルバウンドに注目している、という内容でした。なにかの役に立てたら嬉しいです。

それではまた、DeFi〜(@^^)/~~~

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