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インボイス制度(2023年9月基礎編 問33)

おはようございます。🐤

今日は適格請求書等保存方式、インボイス制度についてです。

ほんとはきっとめちゃくちゃ複雑なんだと思いますが、とりあえず今回が初めてのFP試験への出題ということで、きっと手加減してくれるでしょう、きっと。


インボイスとは

インボイス(invoice)とは、英語で「送り状」とか「請求書」のことです。ここではもちろん「請求書」、しかも、一定のルールに従った「適格請求書」のことを指します。

インボイスには次のことがらが記載されることとルールで決められています。

令和5年10月1日から インボイス制度が始まります!(nta.go.jp)

これまでの請求書にも、相手先の名称や取引年月日は書くルールだったので、インボイスになって変わったのは図の赤字の部分です。

まず一番は「登録番号」。これが必要です。インボイス発行事業者しかこの登録番号はもっていません。ですから、インボイス発行事業者でない者はこの番号を書くことができないため、インボイスを発行できません。

次に、税率ごと、つまり8%と10%とに分けて「本体金額」と「消費税額」を書く必要があります。これまでも分かれていたお店もあるでしょうけど、これがルール化されました。

これがインボイスです。

インボイス制度の目的

つまり、これまでと違う点は

  • 登録番号

  • 税率ごとの税額

の2点なのですが、これはなぜ必要になったのでしょうか。

まず「登録番号」については、この請求書の発行者が、税務署に登録された課税事業者かどうかを明確にするためのものです。

そして、すごくすごく大きなことですが、これからはこの適格請求書(インボイス)だけが「仕入税額控除」の対象となるということです。

どういうことかというと、適格請求書(インボイス)以外の請求書、つまり登録番号がない請求書のことですが、そんな「適格でない」請求書では「仕入税額控除」ができない、つまり仕入れの時に支払った額に消費税が含まれていたとしても、その額は経費にできないということです。

つまり消費税分が損金不算入です!

消費税分のお金を払ったのに経費にできない!

なぜなの!? ズルくない?!

インボイス制度の概要|国税庁 (nta.go.jp)

インボイスのある時

経済社会をわかりやすくモデル化したものが上の図です、農家はどこからか野菜や果物のタネを拾ってきて育て、レストランに5,000円で売りたいとします。消費税の考え方は「消費」に課税されるのでその5,000円に対してレストラン側は5,500円を支払うことになり、結果としてレストランが5,500円を支払い、農家はその額のうち本体分(5,000円)を収入として受け取り、500円を消費税分として税務署に納めます。

消費税は所得税とは別なのですが、時期は同じで、個人事業主なら3月末に、法人なら期末から2カ月以内に支払います。

図の農家さんの場合だと、どこからも何も仕入れていないので、支払った消費税はなく、受け取った消費税が納付する消費税額となります。500円です。

図のレストランの場合は、料理を提供して9,900円の売り上げがあったので、そのうち900円は消費税です。一方で、野菜を仕入れた時に500円の消費税を支払っているので、納付するのは900-500=400円となります。

消費者は900円の消費税を払います。
一連の流れは、消費者がお店に支払った消費税900円を、レストランが400円、農家が500円と自分の取り分に応じて分担して、合計で900円を税務署に納めていることになります。

計算あってますよね。
これがインボイスのある風景です。

ない時

こんどは、仮に農家が免税事業者、つまりインボイスを発行できない事業者だったとします。

よく見るとこの農家さんめちゃくちゃ可愛いですね、ショートボブ、もろ私の好みのタイプです。こじんまりとした正統派の農家で、地道に農業を頑張っていて、もちろん年間1000万円も収入ありませんから、ルールとしてまっとうな免税事業者です。頑張ってほしい、応援してます。

さて、インボイス制度が始まってしまうと、この可愛い農家さんはインボイスを発行することができません。だから野菜を届けるレストランにはインボイスではない請求書を送り、代金として5,500円を受け取ります。

5,500円というのがポイントです。消費税納めないんだから5,000円じゃないの? と思われるかもしれませんが、世の免税事業者は税額を含めた市場価格で売買するのが一般的です。ズルというよりは小規模事業者を守る政策といえます。

これまではそれで良かった、というか免税事業者かどうかわからなかったので、それで世の中は回っていたのです。しかし、インボイスによってこれがガラリと変わりました。

レストランの立場に立ってみると、この農家さんから野菜を買うと、インボイスをもらえないので、「仕入税額控除」ができません。

だから、お客さんから受け取った900円をそのまま消費税として納めることになります。結果、利益は減ります。損ですね。

これを避けるにはどうすればいいのか。

  1. 農家さんに消費税分値下げしてもらう

  2. 野菜の仕入れ先をインボイス発行事業者に鞍替えする

  3. 農家さんにインボイス発行事業者になってもらう

基本的に、人間は「損を避ける」行動をとるとすると、レストランのとる道はこのうちのどれかになります。

となると、これまで1000万円以下の売り上げだったから免税が許されていた農家ちゃんは岐路に立たされます。

このように、免税事業者にとっても、課税事業者にとっても、みんなインボイスの影響は少なからずあるということです。

消費者は?

図でわかるように、末端の消費者はあまり影響がありません。インボイスのあるなしに関わらず、ずっと消費税を納めるだけの立場だからです。

ですが、影響がゼロというわけではありません。インボイス制度の正式名称は「適格請求書保存方式」と、中に「等」が入っています。この「等」には領収書も含まれるからです。

例えばレストランちゃんが免税事業者だったとすると、食事の領収書がインボイスではありません。だから仕事に必要な経費のはずだった食事代金9,900円のうち、900円は「仕入税額控除」をすることはできないため、この消費者がインボイス発行事業者だった場合、仕事で食事をしても900円は控除にならないということです。

関係がなさそうで、例えば駐車場の領収書とかタクシーの領収書など、インボイスのあるなしは関わってくるケースは意外と多いかもしれません。

2023年9月基礎編 問33

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験より

適格請求書に必要とされる記載事項でないものはどれか。
1) 適格請求書発行事業者の氏名または名称
2) 適格請求書の作成日または発行日
3) 課税資産の譲渡等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
4) 税率ごとに区分した消費税額等

答えは2です。取引年月日は必要ですが、請求書の作成日または発行日は必須ではありません。

その他はすべて必要事項です。

過去の関連問題

過去の関連問題はありません。歴史的な初出の問題でした。

まとめ

今後出るかどうかわかりませんが、インボイスの必要事項としては、これまで記載してきた「相手方の氏名や名称」「金額」「取引年月日」に加えて

  • 登録番号

  • 税率ごとの「本体価格」と「税額」

が必要になりました。

今後出るとしたら、これまでによく出題されていたみなし仕入率とか、消費税のかからない対象とか、そのへんと組み合わせてくるのかな。あと経過措置でしょうか。ビジテキp348に免税事業者からの仕入れについて6年間の経過措置がまとめられているので、参考にされるといいと思います。

5 経過措置 (nta.go.jp)

また、これまで免税事業者だった小規模な事業者がインボイス発行事業者になると、税額が80%オフの2割のみで良いという特例もあります。これは令和8年(2026)年9月30日までの3年間です。

というわけで今日はここまで、参考になったら嬉しいです。

それではまた、FP~(@^^)/~~~

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