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生命保険料控除(2023年9月基礎編 問12)

おはようございます。🐤

今日は生命保険料控除、王道の問題です。平日ど真ん中の水曜日なのでささっと行って今日はゆっくり休みましょう。


生命保険料控除

生命保険料を支払うと、所得税と住民税から一定の額を引いていいのが「生命保険料控除」です。生命保険に入ると税金を安くしてくれるというのです。

つまり、国が生命保険に入ることを応援してくれているのですが、なぜ応援してくれるのでしょうか?

国と保険会社はグルだから?

なんて陰謀論みたいなことは置いておいて、生命保険はそもそも公的な性格を持ちます。一家のお父さんお母さんに万一のことがあった場合、子どもが困るじゃないですか。そのために国民年金などの社会保険があったりするのですが、それを補助するのが生命保険です。

どれくらい控除できるかというと、所得税については生命保険、個人年金、介護医療それぞれ4万円ずつ、あわせて12万円です。

住民税については、それぞれ2万8千円ずつ、2.8×3で8万4千円かと思いきや最大は7万円です。

仮に所得が500万円のサラリーマンだったとしたら、所得税率が20%:12万円×20%=2万4千円と、住民税率が10%なので7万円×10%=7千円のあわせて3万1千円だけ税金が安くなるというのが概要です。

ご自分だったらいくらでしょうか、お金持ちほど所得税率が高くなるため、節税の効果は高くなります。

契約のタイミングによる違い

生命保険料控除を考えるうえで、保険契約は2種類に分けることができます。2011年以前の旧制度と、それ以降の新制度です。

  • 2011年12月31日以前(旧制度)

  • 2012年1月1日以後(新制度)

これは契約書(保険証券)の日付を見てもわかりますが、更新していたらその更新の日付なので、最新のものを見る必要があります。一番確実なのが毎年秋頃に生命保険会社からとどく「生命保険料控除証明」のハガキにはっきりと必ず書いてあります。

制度概要 | ご契約者の方へ | 大同生命 (daido-life.co.jp)

新制度だとさっき説明した、生命保険、個人年金、医療介護あわせて12万円ということですが、旧制度だと、生命保険5万円+個人年金5万円が最大です。

新制度

新制度の保険ごとの控除額の上限は4万円ですが、その計算方法はこちら

イメージはこちらです。小額ほど有利で、だんだんフラットに近づき、保険料が8万円を超えたらずっと定額の4万円になります。

生命保険料は例えば養老保険とか学資保険とかでも控除の対象になるので、例えば学資保険で毎月6,700円積み立てると、年間8万円を超えるので、最大の控除額が得られます。

個人年金も同じです、最低10年間、60才以降10年以上にわたって受け取りなど条件は厳しいですが、それでも毎月6,700円積み立てると最大の控除額が得られて、その分の税金が安くなります。

この2つの控除をフルに使うことができると、貯蓄しながら毎年控除される分の税金がお得になるということになります。さきほどの例でいくと、所得500万円のサラリーマンなら16万円の積立金に対して毎年21,600円ずつ税額がお得になるのですから、単純計算で単年度で13.5%の運用ができたようなものです。とても大きいですね!

しかし! 節税効果は毎年の支払い分だけなので、複利効果はありません。
仮にこれを30年間続けた場合、毎年16万円の保険料を×30年間で480万円に対して節税効果は2.16万円×30年間で64.8万円となり、30年間で+13.5%の運用ができた計算になります。

複利を考慮した年利率に直すと0.86%程度ということなので、まあインパクトが薄くなってしまって、良いのか悪いのかよくわからなくなってしまいました。

学資保険の年利率が実質0.8%程度、節税効果も0.8%程度となれば、あわせて1.6%程度です。これだともっと割りの良い投資がありそうなので、学資保険や個人年金の評判はいまいちなのですが、そもそも保険ということを考えると悪くないやり方だと私は考えます。

介護医療保険もそうなのですが、こちらは貯蓄タイプのものがないため、公的医療保険で十分だという方には向きません。いわゆる掛け捨ての医療保険やがん保険などが対象となります。

旧制度

新制度の計算と似ていますが、支払保険料が10万円以上で控除額が上限の5万円になります。

控除のやり方は、

  1. 新制度のみ

  2. 旧制度のみ

  3. 新制度+旧制度の合わせ技

のどれか、一番多い額になるものを選べます。一番オールマイティなのが新制度+旧制度の合わせ技で、例えば次のような問題だと、一般生命保険が1つ、個人年金が2つあってどちらか有利な方を採用し、生命保険の新制度が4万円+個人年金の旧制度が5万円=合計9万円となります。

もうひとつ行ってみましょう、介護医療保険料控除もあわせて3種類の保険があるとします。

ここでは

  • 一般の生命保険料控除=4万円

  • 個人年金=旧制度の5万円

  • 介護医療=新制度の4万円

  • 合計13万円

となるのですが、実は上限の12万円にひっかかるため、12万円が控除額となります。気をつけてください。😊

また、特に定期保険は最大10年程度で更新がされるため、問題文をよく読んで、2012年以降に更新がされていたらそれは新制度になるので、これも気をつけてください。至る所にワナがあります。

契約の変更について

新制度導入後に、契約の更新、増額などをすると、その契約は新制度の対象となります。

一方、新制度導入後に、契約者の変更や特約を伴わない保険料の増減は旧制度を引き継ぎます。

特約を付加すると全体が新制度になるのですが、例外として、リビングニーズ特約や、指定代理人請求特約をつけても旧制度を引き継ぎます。

過去の関連問題

2023年9月基礎編 問12

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験より

1) 少額短期保険業者と締結した少額短期保険について、契約者(=保険料負担者)が被保険者、死亡保険金受取人が配偶者である少額短期保険の保険料は、一般の生命保険料控除の対象となる。

❌:少額短期保険は控除の対象にはならないですね。これは2級にもよく出た問題? 3級? あざす。

2) 自動振替貸付により生命保険料控除の対象となる終身保険の保険料の払込みに充当した金額は、充当した年分の一般の生命保険料控除の対象となる。

⭕:これも定番です。貸し付けだから控除の対象にならないとかありません。

3) 悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中により所定の状態に該当した場合に、生前に死亡保険金と同額の特定疾病保険金を受け取ることができる特定疾病保障定期保険の保険料は、介護医療保険料控除の対象となる。

❌:死亡保険みたいなものだから一般の生命保険です。

4) 2023年中に加入した生命保険料控除の対象となる終身保険について、保険料払込期間の全期間の保険料を前納した場合、当該保険料の全額が2023年分の一般の生命保険料控除の対象となる。

❌:「前納」というのは保険料をただ預けておくものです。「一時払い」というのは「払い」という文字がついているとおり、保険料として支払います。
一時払いは「そういう保険商品」なのでその年度にすべて支払いますが、前納は、預けているお金から毎年コツコツと保険料の支払いにあてるイメージです。

まとめ

あまりまとめることもないような気がしますが…

  • 新制度と旧制度の境目は2012年1月1日

  • 新制度+旧制度で合計12万円が上限

  • 住民税は7万円が上限

あとは過去問で鍛えましょう。

それではまた、FP~(@^^)/~~~

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