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AUSD ~アルパカさんのステーブルコイン

おはようございます。🐤

アルパカさんのステーブルコイン、ツイッターで概要の発表がありました。これから監査にかけられるそうです。

概略

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1) AUSDを発行するためには、ibトークンが必要です。
(ibトークンとは、預け入れ証明書のようなものです。アルパカのLENDで資産を預けるともらえます)
(AUSDを返済すると、ibトークンが返ってきます)
2) 担保となっているすべてのポジションから借入利子が徴収されます
3) 担保となっているibトークンは、アルパカのステーキングプールで運用されます。ユーザーはAUSDを発行することで利益を得ることができます。
4) 担保の価値が一定の水準よりも下がると、清算されます。
5) ペグ安定のしくみにより、AUSD=$1 に保たれます。

みなさんが気になるところはどこですか?

しくみ1 暗号資産担保型

この絵を見る限り、古くから続くMakerDAO~Venusのような暗号資産担保型ステーブルコインですね。率はわかりませんが、例えばVenusくらいになるとしたら、担保の80%くらい、Qubitの例だと50%くらいの価値のAUSDを発行することができます。$100分のibトークンで$50~$80のAUSDを発行(借りる)ことができるイメージですね。

僕の想像ですが、ステーキングする代わりに「AUSD」ってページに行ってAUSDを発行(借りる)ことになると思います。

VenusやQubitなどの普通のレンディングプロトコルでは、預けることに利回りは発生しなかったですけど、どうやらAUSDの場合はそこでも利回りが発生するように読めます。つまり、AUSDの担保にしている資産をアルパカさんが自社のステーキングプールで運用してくれて、その一部が利回りとして得られるようです。

その利回りがAUSDにつくのか、ibトークンにつくのかはわかりません。またテレグラムや公式の発表を待ちます。

しくみ2 ペグ

AUSD=$1ペグのしくみは、BSUD:AUSDを 1:1 でスワップできるステーブルスワップと、Pancakeなどで市場価格での取引がされることによる、アービトラージの発生を期待しています。よくあるアルゴリズムによるソフトペグではありません。

つまり、

・AUSDが$1.1など、$1より高い時
⇒アルパカで1 BUSDを1 AUSDに交換して、市場価格で売れば儲かる⇒市場でAUSDが売られるので価値が下がる⇒$1に近づく

・AUSDが$0.9など、$1より安い時
⇒市場でAUSDを買う⇒アルパカで1 AUSDを1 BUSDに交換すると儲かる⇒市場でAUSDが買われるので価値が上がる⇒$1に近づく

という市場原理によるシンプルなしくみです。

他事例との比較(アビトラに関して)

ちなみにVenusのVAIにはステーブルスワップがないので、この市場原理は働きませんでした。

WUSDの場合もステーブルスワップではなく、WUSDを発行した分だけしかこのしくみは働かなかったので、Venusと同様です。

IRON financeは、アビトラに関していうとこの市場原理を使っていました。IRONの場合は一部にTITANを使っていましたので、全体としての結果はIRONと同じにはなりません。

アルパカさんのAUSDの場合、BUSDとAUSDを1:1で交換することを約束しています。僕が知る限りIRON以来のなかなかめずらしいことです。

つまり、AUSDが安くなるとアルパカさんは大損をします。その部分のリスクをアルパカさんが背負っているぶん、ユーザーとしては安心です。

ちなみに、何度もくりかえしますが全体のしくみとしてはIRONとは全く違うので、IRONでいうTITANにあたるトークンはアルパカさんにはありません。

しくみ3 フラッシュミント

右端の方のペグのメカニズムのところにある「Fash Mint」の文字が気になります。フラッシュローン風のこの書き方。運営のmodグループに聞いてみると、AUSDを1トランザクション内で借りて返すことができるフラッシュローンだそうです。

このフラッシュローンはアルパカファイナンスが提供するサービスです。

何に使うかというと、清算人(ボット)が使います。

清算人は、担保の価値が下がるなどの理由で、清算の基準を超えたポジションに対して次のようにして清算します。

1) ユーザーの代わりにAUSDを返済する
2) 担保であるibトークンをゲットする

この、1番のところでAUSDが必要になるのですが、AUSDを持っていなければこれができず、清算がされないことになります。そこでアルパカファイナンスが提供するフラッシュローンでAUSDを借りることによって資金がなくても精算ができるようになり、安全にAUSDのしくみを回すことができるということです。

よくフラッシュローンを悪用されるのは、外部のプラットフォームを利用して複雑なしくみをかいくぐってやられるですが、なるほど、内部で提供されるこのシンプルな方法だと悪用されることは考えにくいかなと思います。

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つまり、

・LENDで資産を預け、ibトークンをもらう
・ibトークンをAUSDプロトコルに預けてAUSDを借りる
・AUSD-BUSDプールに流動性提供し、報酬をウマウマ~

という未来が見えました、すいません、書いていて途中で欲望が混じってしまいました。

なぜステーブルコインを発行するのか

では、アルパカさん側の立場で、なぜAUSDを発行するのでしょう。なぜみんなステーブルコインを発行したがるのでしょう。BDO、MDO、IRON、VAI、CARROT、WUSD、みんな何度も何度も失敗しているのに。

このへんは、ひびきさん(@kyo_n1_133)(note)()が詳しいのですが、たぶん、要約すると、「自分でお金を発行したい!」という人類の果て無き夢と欲望だということだと思います。

もう独自トークンを発行してるじゃん、十分錬金術じゃん、と僕なんかは思うのですが、やはりドルを発行するというのはひと味もふた味も違うということなのでしょう。

うまくいくのか?

しくみを見る限り、僕にはうまくいくように見えます。

IRONのように射幸心を煽ることもありませんし、アルパカさんはプロジェクトの開始から今までの8か月間、無事故でやってきました。BSCでは、いやDeFi全体に網を広げても唯一と言っていいと思います。

それは、徹底的に安全を重視しているからなのですが、今回のステーブルコイン発行に伴って新しいコントラクト(プログラム)がたくさん生まれます。そのコントラクトを狙われることは大いにあります。

しかし、アルパカさんは他事例をたくさん研究していて、何より連携プロジェクトによるTUSDやWUSDからも濃いぃノウハウを得ています。そして、比較的シンプルなしくみを採用していることもあり、枯れた(バグの少ない)コントラクトを参考にすることができるでしょう。

また、時間をかけて監査をすることはもちろん、アルパカさんはバグ報奨金プログラムを採用しているので、新しいコントラクトにあるバグや欠陥を発見したホワイトハッカーには最大100kドル(1千万円)の報奨金が与えられます。いろんな目がアルパカさんの安全を見守ることになります。

地味ですが、ステーブルコイン AUSDの地位を確立してほしいと思います。がんばれ! アルパカさん!

ではでは、また、DeFi~(@^^)/~~~


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