ALPACAトークノミクスに関する議論
おはようございます。🐤
12月22日に、アルパカファイナンスのフォーラムで「今後発売される製品(Perp、AF2.0)に対応するためのALPACAトークノミクスの調整について」という議論が開始されています。
結論を先にいうと、「新しいトークン」の発行の提案は投票まで行かずに否定されてしまったので、既存のトークノミクスで新しいトークンなしでの調整を今後さらに検討することになります。
ただ、この議論はALPACAトークンの将来に関するとても重要なものなので、今日はこの提案と経緯を紹介しておきます。今後の参考にきっとなると思います。
ALPACAホルダーの方は必見です。まずは議論のもとの文を紹介し、そのあとで意見を要約して紹介します。
議論のもとの文:今後発売される製品(Perp、AF2.0)に対応するためのALPACAトークノミクスの調整について
背景
ALPACAトークンは188,000,000 ALPACAという総発行量がアップグレード不可のコントラクトで決められていて、2021年の3月にトークノミクスを発表してからこれまで計画的に発行してきました。
これまでにほとんどの配布予定を完了させており、あとは約2カ月分、0.33 ALPACA / block × 28800 block / day × 60 days=570,240 ALPACA(全体の約0.3%)の配布を残すのみです。
そして、2023年の3月以降はALPACAトークンの配布はなくなります。
参考:2022年12月現在のALPACAトークンの配布について
【AUSD】Ellipsis AUSD-3EPS LPのステーキング報酬として
【xALPACA】ガバナンスヴォールトのALPACA預け入れ報酬として
【ibTokens】レンディングしたトークンのステーキング報酬として
【LYF】レバレッジ・イールドファーミングの借り入れ利用報酬として
2022年1月から2月にかけて、合計で 570,240 ALPACA(約$139,138)が支払われる予定です。
これらが、プロジェクトのTVL約$400Mに対してのALPACA報酬となります。2か月の利益として預け入れ額の約0.035%=年利にして約0.2%です。
プロジェクトの開始時期は、BSCの盛り上がりの中ALPACAトークンが現在よりも高値をつけていたことと、ALPACAの報酬量が現在よりも多かったことから、ALPACAトークンだけでも10%以上の年利をつけていました。(良い時代でした…ホロリ)
このように独自トークンの報酬によるAPRは減少傾向にあり、特に他の主要プロジェクトでは減少傾向になっています。例えばUniswapはUNIトークンの配布を終了し、流動性提供者は純粋に取引手数料のみの収入となっています。
同じBSCのパンケーキスワップでも、CAKEトークン報酬は減少しています。(参考:CAKE Tokenomics - PancakeSwap / burnとは|ヒヨコロ|note)
2020年5月時点⇒530,000 CAKE / daily
2022年12月現在⇒321,200 CAKE / daily
このような市場のなか、アルパカファイナンスが新しい2つのプロジェクト(PerpとAF2.0)を始めるにあたって、新しいトークノミクスを作る必要があるのではないかという考えが生まれました。
提案
独自トークンALPACAの発行という飛び道具を失った古いトークノミクスのまま新しいプロジェクトを開始してもインパクトに欠け、成功できないのではないか?
そのため、次の三つのパターンを考えました。
ALPACAトークンの供給を拡大する(トークンコントラクトをALPACAv2にアップグレードする)
新しいトークンを発行する(New Token)
何もしないで現状維持(No action)
新しいプロジェクトにそれらを適用するパターンを4つ考えています。
ALPACAv2
これまでのALPACAをALPACAv2に変換(1 ALPACAv2=5 ALPACA)
ALPACAv2は今後10年以上にわたって排出を継続
現在ガバナンスヴォールトにロックされている1 ALPACAは0.2 ALPACAv2に自動変換されてステーキングを継続
流動性マイニング(LP報酬)としてユーザーに配布するALPACAv2は、1年ロックされたxALPACAとして渡す
xALPACAは、即時に61%のALPACAv2と交換可能(現在の1年ロックされたxALPACAのイメージ)
1つのウォレットでxALPACAに複数のロック期間を持てるようになる
これにより多くのアルパカユーザーが自然とガバナンスに参加する
新しいトークン(New Token)
新しいトークンは基本的に全く新しいプロジェクト(Perp)に発生することを想定します。Perpの利益はPerpに還元され、これまでのレバレッジ・イールドファーミング、AUSD、自動化ヴォールト)とは分けて考えます。
【xALPACAホルダー】ガバナンスのxALPACAホルダーに「Grazing Range」を通じて配布されます
【開始報酬】初期の流動性提供者に渡す報酬として
【PerpのLP報酬】流動性提供者に渡す報酬として
【開発資金、軍資金】これまでのアルパカファイナンスの開発資金、軍資金と同じ。開発資金が少し高い割合になっているのは、新しいプロジェクトの開発に必要だから
意見の概要
みごとなまでにユーザーのすべての意見がこの提案に反対するものだったので、投票までいかずに議論の段階で却下されました。
新しいトークンを発行すると、過去2年間のアルパカのバーンによるデフレの意味がなくなる
私はトークノミクスを変更することに同意しない
魅力ある製品を作る方が先だ
そんな提案を通すなら、いますぐALPACAを売ってしまいたい
チームは本気でこんなことを考えているのか? クレイジーだ!
中でも同意が多かったのは次の意見です。
まず、Burnするトークンを報酬にまわすなど、既存のトークノミクスでできることはすべきだ。新しいトークノミクスを考えるのはそれからでいい。
運営のSamsaraさんは「どの会社も資金調達する時は株式の追加発行をする権利をもっている、問題は新しいトークン発行をするか否かではなく、成長を進めるかどうかだ」という旨の発言をされていました。
しかし、過去最多の118の意見(ほとんどが反対意見)が飛び交い、結果として今後はApproach #1~#3については議論されず、#4の「これまでのトークノミクスに変化なし」についてのみ議論されることになります。
というわけで、トークノミクスに変化がないことになったので、今後の展開を予想します。
新しいPerpの取引所は地味なスタートになるでしょう。2021年3月のアルパカファイナンスの開始のような派手な集客はできないという予想です。
ポジティブなケースでは、新しいトークンなしで成功できることが証明されるかもしれません。しかし、先駆者のGMXやdYdXはもちろん独自トークンをもっています。
もしかしたら、新しいトークンの発行権なしには、プロジェクトはうまくいかないかもしれません。新しいトークンがなければ、資金を調達するためにベンチャーキャピタルからの投資を募ることが多いのですが、アルパカさんは昔からVCには頼らないのです(何か嫌な過去があったのでしょうか?)
どちらが正しいと断定することは難しいですが、ただ言えるのは、新しいトークンのインセンティブがあればできることの幅が広がり、なければ狭くなるということです。
これは僕のものすごく個人的な意見ですが、ガバナンスの意見、つまりトークンホルダーの意見を100%うのみにしたプロジェクトがうまくいったのを見たことがありません。ホルダーは無責任にも常に短期での結果を求め、運営は中長期的な成功を目指します。(参考:HAZEの研究 #04 ~報酬の短期配布決定!|ヒヨコロ|note)
今回の議論に僕自身が参加できなかったのは残念ですが、次の議論にはぜひ参加していきたいと思います。
まとめ
今回のアルパカファイナンス運営の提案は、ALPACAv2という新しいトークノミクスと、Perpの新しいトークンを発行するというものでしたが、両方とも議論に参加したALPACAホルダーに却下されました。
ちょっと将来が不安になる議論でしたが、それでもアルパカさんなら、アルパカさんならきっと何か良い提案をもってきてくれるはずです。きっと…。
こういう経緯があったことは知っておいたほうがいいかと思い、ブログにまとめてみました。
今後の参考になれば嬉しいです。
というわけで、それではまた、DeFi~(@^^)/~~~