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ニコニコ動画の経緯と沿革についての解説論文

 現在、ニコニコ動画は大規模なサイバー攻撃を受けてシステムの再構築が完了されるまで動画配信サービスが停止されている。その中で運営はニコニコ動画(Re:仮)として縮小運営することに踏みとどまった。このサイバー攻撃の影響を受けたのはニコニコ動画だけではない。親会社であるKADOKAWAや、運営会社であるDOWANGO社もサイトを閲覧できなくなるなどの不具合が生じており、動画配信者だけでなく小説家全体にも影響を与えているものの一つだ。確かに、これを初めて聞く人の大半はニコニコ動画はどういう経緯でこのような規模の企業になったのだろうか?、なぜKADOKAWAも巻き込まれるのか?と考える人も少なからずいるはずだ。しかし私はニコニコ動画は依然からYoutubeやTwitterに後を遅れてしまっていることも多かったのである。

DOWANGO社の沿革

 まずニコニコ動画の親会社であるDOWANGOは1997年に元々ソフトウェアジャパンに勤めていた川上量生が、親会社であるIVS社の資金援助を受けたことにより設立したことがきっかけである。この頃はまだインターネットが普及したばかりで、ガラケーの携帯電話にインターネットが組み込まれている機能が最新鋭であるものが多かった。DOWANGOはこれをキャッチして、2001年6月に着信メロディサイト「16メロディボイス(現:dwango.jp)」の配信を開始し、同年10月には携帯電話向けコンテンツの企画や開発、運営を目的として株式会社マリアス(現・株式会社メンティス)を設立した。これにより、最初は資金調達の失敗によりサービス破綻していたもののこの頃になると資金が安定してきた。そのため、2003年7月に東京証券取引所マザーズに株式を上場した。同年8月以降にはいろメロミックスの人気コーナーを独立させていくなど、年々人気の高まっていった企業であった。

ニコニコ動画の沿革

 そして2005年には携帯電話メールサービスを主とする株式会社ニワンゴを設立し、ニコニコ動画の前身となる携帯電話向けのストリーミングサービス「パケットラジオ(通称:パケラジ)」を開始し、翌年遂にニコニコ動画が始まった。当時ニワンゴ取締役兼2ちゃんねる管理人であった西村博之氏は、パケラジにてDOWANGO会長の川上量生氏との会話で「明らかにブラックっぽいのに、表面だけ取り繕ったようなふざけた名前があるじゃん。ニコニコローンとかニコニコ金融とか..…だからニコニコ動画とかさ。」という川上氏の発言の中でひろゆき氏はニコニコ動画という言葉に興味を惹かれたことからこの社名である子会社をスタートさせたのである。そしてサービス開始に向け、エンジニアとデザイナーを変更し、ドメインやamebaの動画を登録するなどの準備を行い、12月に「ニコニコ動画(仮)」として初めて設立した。そして2007年にはニコニコ動画にとって大きな転機となる年であった。「ニコニコ動画(β)」にサービスを変更。しかし、DOWANGO社はDos攻撃の影響を受けてサービスを一時停止。この攻撃と同時期にYoutubeからのアクセスを遮断された。そのために同年3月に新サービスである「ニコニコ動画(γ)」を展開し、この頃人気の高まっていた「レッツゴー!陰陽師」を着うたにて配信した。6月には「ニコニコブックマーク」と呼ばれるサービスを開始した。そして7月にはニコニコ動画総再生回数が10億回を突破した。2009年には国際ニコニコ映画祭にビリー・ヘリントン氏が出演し、figmaにて「よく動く、歪みねぇ」をキャッチコピーとした「ニコニコ直販」をオープンし、当時大ヒットとなったのである。この1年後に、DOWANGOは角川グループホールディングスの子会社として成立することになり、電子書籍やニコニコ静画、ニコニコ春画のサービスが始まるきっかけとなっていった。2012年には遂に第1回ニコニコ超会議が鳥取県で開催。多くの人で溢れかえったという。その後もKADOKAWAによるDOWANGO社の合併や、池袋のニコニコ本社オープン、中華人民共和国の企業である中国中央電視台との連携、AbemaTVとのパートナーシップ締結などニコニコ動画は進化し続けていった。

ニコニコ動画をサーバー攻撃した首謀者は誰なのか?

 ニコニコ動画にサーバー攻撃を行った首謀者の候補として私は三つの仮説を立てた。そのうちの二つは、ニコニコ動画を通じて巨大化したミームコンテンツ「淫夢」に原因があると考えられる。
 第一はイーロン・マスク説。マスクは2023年Xという企業を立ち上げ、Twitter社を買収した。マスク曰く「Every app(なんでもアプリ)」というキャッチコピーを持ってXを作ったそうだ。
(引用:https://toyokeizai.net/articles/-/47463)
つまり、これはメッセージのやりとりはもちろん資金での投資が出来たり、動画コンテンツの売買などができたりできるスーパーアプリにしたいという構想を持っているということだ。しかし、現在のTwitterの現状としては「反ユダヤ主義に関する投稿が増えていたり、利用者数と従業員数、さらに広告収入までもが減少傾向にある」ということが続いていた。
(引用:https://www.yomiuri.co.jp/economy/20231028-OYT1T50234/)

その頃はニコニコ動画とYoutubeの動画環境も利用者数も比較的安定していた。もし、これをマスクが「Xからニコニコ動画に移行して利用しているユーザーが多くなっている」と考え出したらニコニコ動画を停止するのも合点がいくだろう。しかしこの説を通すといくつか問題点がある。まず初めに、マスクは利用者数ではなく、収入数を増やして安定させたスーパーアプリを作ることを目的としている。ニコニコ動画は現在までどんどんと収益量が衰退している傾向にあるため、それを行うとしたらYoutubeを標的にした方がマスクにもXにも都合が良くなるはずだろう。
 第二は中国共産党説。これは淫夢にも関わりのあり、日本の外交関係にも関係がある話であるのだが、中華人民共和国は憲法により同性愛を完全禁止しており、その法は日本よりも厳しいものとなっている。中国共産党はそのような考えから国家転覆計画や政権批判が始まることを恐れ、ネットの情報規制を行ったり弾圧をしていることも考えられる。しかし仮に淫夢を本当に危険視していたら、既に行動に移していたのではないかとも考えられる。
 第三は田所浩二本人説。一見すると暴論に聞こえるかもしれないが、この可能性が今のところ信憑性が高くなっているのが現状だ。特に動機として、これを投稿するのはネタとしてというわけではなくて、あくまでホモビとしてだけである。このホモビを見ていたニコニコユーザーがこれをネットに広め、人間の痴態を嘲笑っているという風に捉えることも逆から考えればできるのだ。当然怨恨を持つことも考えられるだろう。しかし田所本人が生きているとも言えないため、その情報は何ともいえないところがある。

まとめ

 どちらにせよ現在のニコニコにおかれる現状は厳しいものである。そのため、今のうちにシステムや会社の歴史から事柄を考えて、事実に紐解くことが今の時代においては大変重要だと考える。

〈参考文献〉
・Wikipedia「ニコニコ動画」、「株式会社ドワンゴ」
・読売新聞「「X」のスーパーアプリ化苦戦」
・日本経済新聞「マスク氏、ツイッターに決済機能」

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