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香りの沼

沼というものは、ある日突然ハマるもの。最近、香水の沼へ転げ落ちてしまいました。甘い香り、すがすがしい香り、ムスク、フローラル、ウード調などなど──掘れば掘るほど奥深い世界です。まだまだ探索中の身ではありますが、これまでに出会った香りをメモ程度に、noteに書いていこうと思います。

……ところで、匂いを表現するのはなかなか難しいこととされています。「美味しいものをうまく描写できる人は文章力がある」とよくいわれますが、匂いも同じではないでしょうか。香水ショップへ行き、どのように香りが表現されているのかを見てみると、たいていは「ノート」という言葉が使われます。最初に感じるのがトップノート、続いてミドル(30分から2時間)、ラストノート(それ以降)という風に、段階分けして説明されるわけですね。私はこの説明がしっくりきませんでした。初心者だからか、香水の匂いが時間とともに変化する、というのもよくわかりません。さらにいえば、ひとつのノートに複数の香りが並記されているのも、いまいちピンときませんでした。「これはオレンジとラベンダー、ネロリにスパイス」とかいわれても、個別の分子を判別できるほど精度の高い鼻もないわけで。ひとつの、まとまりをもった「何か」だとしか感じられませんでした……そこで様々な香水ショップを巡り、ネットで情報を調べてみると、お店によっては、より抽象的な表現で香りを説明しているところもありました。香りの構成物質ではなく、情景として描かれた文章から匂いを想像してみる──それが、私が香水にはまった理由だった気がします。

香水初心者なので、出会えた数はすくなく、感想も的外れかもしれませんが、すこしずつ(日をわけて)メモを記していこうと思います。


MUSKARA ROSA(フエギア)

純然たる薔薇の香り。それも、品質のよい薔薇だとすぐにわかる香りです。……話がすこしそれますが、先日「ばら花冠茶」という、薔薇の花そのものをお湯に浸したお茶を飲む機会がありました。こちらの香水からは、それとまったく同じ気配がします。

「夜明け前に、朝露がたっぷりついた5分咲きの薔薇を摘み取り」作られるのが、ばら花冠茶です。お湯にフリーズドライした薔薇の花を入れるだけなので、薔薇そのものの風味をこれでもかと感じられます。口に含むと、喉奥から鼻まで薔薇の強い香りが広がるため、ローズ臭が苦手な人にはなかなか、厳しいかもしれないお茶です。同様にMUSKARA ROSAも、重度の薔薇好き向けの香水だと感じました。
匂いが抜けてくると、最後にムスクのような(フエギア臭?)が、かすかにあります。そちらの残り香も、私は好きでしたが……どっこい、こちらの香水、エディションによっては、100ml 11万円というなかなかのお値段なんですよね。それだけのお金を払い買うかといわれると、悩ましいところです(ちなみに、私が取り寄せたのは千円ほどのサンプルになります)


Alhambra(フエギア)

端的にいってお寺の香りです。ダメでした。強烈すぎて、嗅ぐとむせてしまいます。はじめてつけたときの自分の感想がツイッターにあったので、拾ってみました。

アラブ系の寺院(モスク?)の香りがする。インドやマレーシア、アラビアのお寺でたいているお香の匂いが、むわわっとする。古びたアラビアンカーペットを思い出すような……で、うってなってしまって。けれど洗い落としたあと、香りがまだ残されてるんだけど、それはすごくいい匂いなんだよね。
昼間はアラビアのモスクで咳きこんでたのに、夜、薔薇園から遠くそのモスクを眺めてるみたいな。薔薇のしっとりした香りと異国情緒を感じる、気がする……だから薄くつける分には好きなんだけど、さじ加減がめちゃくちゃ難しいですね。

何度か試してみたのですが、何度やっても受けつけられませんでした。無念。──お香代わりとして、部屋にまいているという感想も見かけましたが、いや、値段が。これを部屋に!?ってなる価格なんですけど、いかがでしょうか。


ブーケアンコール(L'Orchestre Parfum | オーケストラパルファム)

NOSE SHOPの香水ガチャで出会えました。とにかく甘いです。公式の説明には、下記のように記されています。

抗しがたいテクノの波。ブラックライトでの蛍光リズム。
集団のアドレナリン。チュベローズとジャスミンの崇高な紫外線ブーケに、爆発的なティムットペッパーが加わります。マダガスカル産バニラと贅沢なムスクが、この陶酔的なミックスの中毒性を高めます。官能的フローラルな香り。

https://noseshop.jp/products/153876513

「チュベローズ」の香りがどんなものか知らず、語感だけでみてフローラルかと予想したのですが、どうもバニラに似た本当に甘ったるい香りなんですね。

説明に「テクノの波」や「リズム」とあるのは、「L'Orchestre Parfum(オーケストラパルファム)」シリーズ自体が、音楽から着想を得てつくられた、共感覚をテーマにした香水だからだそうです。「耳で香りを聴き、鼻で音を嗅ぐ」と説明されていますが、どういう風につくられているのかは謎でした。調香師さんが音から連想した香りを、各音楽家が嗅いで演奏し、そのコンテンツ(音楽動画)を作ったよ、ということなのかもしれません……こちらのシリーズには他にも、ピアノやチェロ、箏、トロンボーンなど、興味深いラインナップが展開されています。お値段も100ml 2~3万円程度とかなり良心的でした。ね、良心的ですよね? だって10万円しないんですよ!?笑

私が入手した「ブーケアンコール」は、テクノの香りなんだとか。公式ページに、イメージとされるテクノミュージックが掲載されていたので聴いてみました。

……うーん。これがテクノの香りかと言われると、よくわからないですね。音楽自体は、海外の地下クラブで流れている系で、そこにいる人たちがつけていそうな香り、なのかな……? 個人的には、グアムなどのリゾートの浜辺で陽暮れに、トロピカルカクテルを飲みながらまといたい香りな気がします。「テクノ」と聞くと、強烈なムスク?というイメージが不思議とあって、公式にも「贅沢なムスク」とあるのに、いまいちムスクはわかりませんでした……。時と場合によっては、ドンピシャにキマる香りだと思います。時機を選び、まとっていきたいです。

……はあ。疲れてきた。
香水についてはこの辺りにして、最近の進捗も少々記しておきます。

◆9月やること
・コバルト短編:10月分1本
・ノベル大賞長編:残推敲 1万字。 clear!
・日本ファンタジーノベル大賞:完成推敲1本

コバ短は終わりました。こちらはすこし寝かせ、12月へ回します。結局、10月出せませんでしたね……間に合わず無念です。ちなみに、香水にはまっていたので、そういう系の話にしてみました。書いていて楽しかったです。……で。後は、目をそらし続けていた長編の推敲を始めるしかないわけですが。9月中になんとか、1本は終わらせておきたいけど、いやだなぁ。
そんな感じです。それでは~。

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