1.はじめに

私が想像していた大学生活は
もっとキラキラしていた

実際この巣窟のような空間で生きると

日々は常に漠然とした不安と共に進み
若干の翳りを背景に
何かから逃げることが人生なのではないかと考えてしまう

ただその生活から掴み取る砂のような成果が何よりも尊く愛しい

私は高校卒業と同時に故郷を離れ
一人暮らしを始めた

一人暮らしは楽だ

今とは違い完璧主義だった私に
母は「やれるときにやれることをやったらいい」と言ってくれた
臆病だった私に「人を殺すことと殺されること以外は大体大丈夫」とまで言った

その通り過ごした結果、私は妥協に慣れ、そして自分を最大限甘やかすスキルを得た

それによって失ったものは多かったが、
もともと感情的でなかった自分が感情を表に出すことを許されたような気がして
かなり生きやすい人間になれた気もする

自分を許すことができると自分以外についてのことも大概許せるようになる

故郷で狭く生きていた頃の自分よりも今の自分の方が自分らしく柔軟で良い

そう気づかせてくれた大学生活には感謝をしている

しかしそんな自分との対話のような日々の中で
自分にはどこか複雑な構造があるのではないか、大きな欠陥があるのではないかとも感じてきた

息をするのが精一杯の生活の中
周りの友人は自分の倍のスピードで何かをきっと得ている
学んでいる

そんな劣等感に似た不安が絶えない

周りに溢れる充実感に満ちた学生の目に映る世界はきっと、私が元々想像していたようなキラキラした世界なのだろう

今日まで私が必死にかき集めた砂は一体なんの役に立つのだろう
塵か砂金か、答え合わせはいつできるのだろう

私はこんな救われない葛藤のなかでもやはり
この退廃的な日々に価値を見出したいと思ってしまった

正当化に近いかもしれないが
いつか形として誇れるよう、今日から定期的にこの漠然とした想いを文章化しこの場所に綴ることで
偶然掴めた砂に名前をつけていきたいと思う


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