今日

俺は芸人をやってみて本当によかったと思っている。
まだ芸人というものの全てを知ったというわけではないですが、俺はようやく芸人の体験版が終わってもうすぐ本編がスタートするところまで来たのではと思っている。

M-1で落ちた時は心臓が潰れて息ができないほど苦しく、今すぐ死にたいくらいに落ち込んで、受かった時は服も荷物も全部なくしても余裕でお釣りがくるほど最高に嬉しい。

収録やライブで面白いことが言えなかった時は再生中のAVを何度も中断しては自分が面白いことを言えなかったシーンを思い出し、面白いことを言えた日は帰り道で誰にも聞こえないように今日言った面白いことを1人で言い返してみたりする。

俺以外の芸人も全員これをやっていると思うと、それだけで芸人は全員家族のように愛おしい。先輩は親のように尊敬し、後輩は子供のように全員いい子やと信じたくなる。
あまり喋ったことがない方でも、訃報が届いた数時間はボーッとして頭が回らなくなるほど悲しくなる。
コンビニで会ったことのない後輩に挨拶されればおごるし、芸人と名乗っただけでネタも平場も見たことない俺におごってくれた先輩もたくさんいる。

養成所に入らずに素人の延長でなんとなく芸人を始めたのでそんなには強くないと思っていたが、俺も芸人さんお客さんスタッフさんにいつの間にか長く囲まれていたのか、芸人愛が強くなっていて、そこが今日わりとよくなかったところと思う。
一般の人に指摘されたらすぐに丁寧な謝罪文を眉ひとつ動かさずに投稿していたんですが、芸人が芸人に本気で弓を引く、それはやったらあかんやろとなりすぎた。

でもよくなかったなと思うと同時に、毎日芸人に囲まれていて、その芸人を思っていた以上に大好きやった自分に気付けてめっちゃよかったなとも思う。

やすおきくんと1時間ほど電話して、電話する前は完全に芸人ではない無敵のツイッタラーになっていると勘違いしていたが、話してみると想像よりも俺の言ってる話を理解してくれて、もちろんやすおきくんの言ってることも意味が分かり、電話を切る頃には「やすおきくんも、いろいろ考えたと思うけど、歳を重ねてちょっと考えも変わってね、もしまた気が向いたら大谷小判とネタやったりM-1出たりして、昔みたいにめっちゃ会うようになったら嬉しいよな。」と言ってお別れした。

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