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北海道がデータセンターの立地に適している理由


データセンターとは、サーバーなどのIT機器を設置するために作られた施設だ。大きなコンピューターがずらっと並んでいる様子をイメージしてもらえるとわかりやすい。データの使用量の増加と共に、建設需要も増加している。

一方で、国内のデータセンターの約8割が東京圏や大阪圏などに集中しており、災害のリスクや電力負荷の分散などが求められている。
 
北海道は国内外からデータセンターを積極的に誘致しているが、それは世界でも有数の立地優位性があるからだ。2023年12月現在、候補地となっているのは、石狩市・美唄市・苫小牧市。この記事では、この3つの市に触れながら、北海道がデータセンターの立地に適している理由を解説する。

理由①外気と雪でコンピュータを冷却できる


コンピューターからは大量の熱が発生するため、常に冷却する必要がある。通常は膨大な電力を使うが、北海道であれば冷たい外気や雪を利用可能だ。東京における一般的な空調と比べ、消費電力と二酸化炭素排出量を約90%削減できる。
 
実際に美唄市では、雪冷房を活用したデータセンターが稼働しており、15億円かかる電気代は半分にまで削減された。さらにデータセンターの廃熱を利用したビニールハウス栽培など、熱を無駄なく利用する仕組みが研究されている。

理由②再生可能エネルギーの利用可能性が高い


データセンターは大量の電力を消費するため、温室効果ガス抑制のための取り組みが必要だ。
 
石狩市は、2023年9月に石狩湾での洋上風力14基の設置工事を完了させるなど、風力発電を中心とした再エネ導入に積極的に取り組んでいる。また石狩市では、再エネ100%で運用するデータセンターの事業化が決定した。
 
苫小牧市周辺には、テラスエナジー苫東安平ソーラーパーク(約3万世帯分の年間電力消費量に相当する電力を生み出す)を始め、多数の太陽光発電所が設置されている。パネル設置のための広大な土地を確保できるのも、北海道の強みだ。

2026年には、ソフトバンクとIDCフロンティア(ソフトバンクの子会社でデジタルインフラ専業)が苫小牧市にデータセンターを開業する予定だ。50メガワットの電力を、北海道産の再生可能エネルギーで100%で賄う計画となっている。

理由③東アジアで、北米や欧州から最も近い


普段、パソコンやスマホは無線で使用できる。その当たり前を支えているのが世界中に張り巡らされた海底ケーブルだ。実は、国際通信の99%が海底ケーブルによって行われている。
 
そして現在、北海道と北米やヨーロッパを最短で結ぶ「北極海ルート」が計画中だ。北海道を中継地点にして、アジアの主要都市にデータを輸送していく。
 
アジアと欧米であらゆるデータを通信すると、無駄な時間とコストがかかる。膨大なデータを一度北海道で処理することで、効率的な通信が可能になるのだ。

まとめ


AIの進歩等によって、今後ますます多くのデータ需要が見込まれる。データセンターは大量の情報を処理するのに欠かせない施設であるが、膨大な電力を消費する。北海道が最適な立地なのは、気候を活かした冷房効果と再エネによる電力供給で、温室効果ガスを抑制しながらの運転が可能だからだ。北海道が国際通信の新たな拠点となりつつある今、データセンターの新設地として、北海道はますます注目されていくだろう。

参考
[1]北海道のデータセンター立地環境のご紹介 - 経済部産業振興局産業振興課 (hokkaido.lg.jp)
[2]WDC(ホワイトデータセンター)構想 - 美唄市ホームページ (city.bibai.hokkaido.jp)
[3]石狩市が描く脱炭素時代の産業振興モデル (jilc.or.jp)
[4]テラスエナジー苫東安平ソーラーパーク | 発電所 | 事業内容 | SBエナジー (terras-energy.com)
[5]データは北へ データセンターと光海底ケーブル整備で北海道がグローバルなデータの拠点に!?|NHK
[6]ww.softbank.jp/

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