秋華賞を考える

【秋華賞はどんなレースか】

 牝馬クラシック最後の1冠である秋華賞。
 最初の桜花賞は世代の有力牝馬がここに向けて実績を積み、自身のある距離での勝負。各自全力で1600を走り切るスピード比べ。
 次のオークスは一気に距離が延び、ほとんどの馬が初めて走る距離をどうこなすかというところからスタートする、ライバルとの闘いであると同じくらい舞台設定との闘い。
 そして最後の1冠である秋華賞は再び各馬実績ある距離設定。夏を超えて競走馬としての完成度を増し、逃げ先行馬も差馬もかなり積極的な競馬を展開、平坦小回りコースで根性のぶつかり合い。他の同コースで行われる重賞レースに比べても消耗戦になりやすい。

 消耗戦になりやすい理由としてはコース形態が大きい。
 京都2000mは約8割が平坦コースとなっており、スタートから5F、前半は起伏の無いコースで走りやすい。小回りコースでもあることから先行馬は極力コースロスを抑えるためにイン前を取りに行きたいが、スタートしてすぐにコーナーに差し掛かってしまうため勢いをつけてのポジション争いになりやすくコーナーを回りながらも隊列が落ち着かずに流れたままレースが進むことも珍しくない。コーナーでのポジション争いが起こらずに、スローで行ったとしても切れ味が無い先行馬が結局向こう正面で早めに動いたりと前半がゆったり進むことはめったになく、1000m通過が59秒前半、早いと58秒台ということもままあるのが秋華賞。
 この時点でタフなレースにはなりやすいが、前半が流れた上で3コーナーでアップダウンがあり、高低差は大きくないが、残り4Fあたりからの下りで半ば強制的にロンスパが開始、息を入れる間もあまりないままに末脚勝負になるので、基本的には逃げ馬には苦しい展開になりやすく差馬優勢。レース上がりが35秒を切るかどうかというレースで上手く差し切れるかどうか。
 マイル実績のある馬が多いということもあり、通常の京都2000よりも追走力を求められ、流れた展開でも差していける馬を探す。そんなレースなのかなと思います。

【どんな馬を狙いたいか】

 まあ基本的には差せる馬な訳ですが、差せる馬の中でも特に狙いたいのが”使える上がりの幅が広い馬”これを狙っていきたい。
 ここ10年で京都で行われた秋華賞の勝ち馬を見てみると
・リバティアイランド
 新潟1600新馬戦 31.4(1位)/阪神JF1着 35.5(1位)
・デアリングタクト
 オークス1着 33.1(1位)/桜花賞1着 36.6(1位)
・クロノジェネシス
 桜花賞3着 32.9(3位)/オークス3着 35.4(6位)
・アーモンドアイ
 桜花賞1着 33.2(1位)/シンザン記念1着 34.4(1位)
・ディアドラ
 紫苑S1着 33.8(3位)/HTB賞1着 35.0(1位)
・ヴィブロス
 中京芝2000,1勝C 34.4(1位)/紫苑S2着 35.5(2位)
・ミッキークイーン
 ローズS2着 33.8(1位))/阪神1600未勝利 36.1(1位)
・ショウナンパンドラ
 新潟2000,1勝C 33.6(1位)/紫苑S2着 35.7(2位)
 ちょっと当てはまらない馬もいますが概ね秋華賞の勝ち馬は、33秒台の上りを使って好走実績あり&35秒以上の上りがかかるレースでも上位の上りを使って実績あり。
 人気をして馬券外になった馬は”先行しての競馬がメインで、差して上位の上りを使った経験が乏しい馬”や”時計がかかる展開、馬場では好走できず、33秒台の上りが上位になる時に実績を積んできた馬”が多い。
 逆に人気薄でも好走した馬はやはりこの”使える上がりの幅が大きい”馬が多く、ここは一つ穴を探すポイントとして注意してみたい。
 今回のメンバーで並べてみたのが次の表

 あえて機械的に馬券内に好走した時の上りで条件を付けて並べてみましたが、これで見た時に差して好走したときに使えている上がりの幅が広いのはステレンボッシュ、タガノエルピーダ、チルカーノ、ミアネーロあたり。過去の傾向を考えた時に相性がよさそうな実績を持っている馬が案外人気薄多めになったのは面白そう。馬券内というくくりで並べたので最速が遅くなっていますがホーエリートも前走の紫苑Sで大外を回しながら33秒台で上がっておりチャンスがあっても良さそう。

【主な前走回顧】

【オークス】

 レースラップは
 12.4-10.8-11.5-11.5-11.5(57.7)
 12.1-12.8-12.9-13.4-12.2(63.4)
 11.5-11.4
 とレースラップだけ見ればハイペースだが、最後が加速ラップになっているように、馬郡の馬は多逃げ展開に全く付き合っていないスローよりのミドル展開。
 大きく逃げたショウナンマヌエラとヴィントシュティレは完全に無視される形で、大逃げと馬郡の間にタガノエルピーダとランスオブクイーンが2頭。展開的にはここの2頭が大体60秒フラット程度、そこから更に1秒程度離れた位置を馬郡が追走していたのでかなりゆったりとしたペース。
 普通であれば大逃げ展開であれば、馬郡の各馬は勝負所までに逃げた馬を射程圏にいれる必要があるので、当初の予定よりも長くスパートを強要されるタフな展開→射程圏にいれるまでの距離が短い馬郡の前目につけている馬が有利。となりやすいのですがこのレースは違って、後続が前を射程圏にいれようとエンジンをかけ始める前に早々に前が失速しており、加速するまでもなく逃げ勢が射程圏に入り、実質的に直線での瞬発力勝負になっており、内外の差は無いどころか馬場が良いところを通した外目の馬の方が有利。
 最も恵まれる競馬をしたのは人気薄で激走したランスオブクイーン。ちょっと馬郡から離れたところのポジションをキープしていたので馬郡の馬より位置取りの優位、少しだけ足を溜める余裕があり、馬場のやや外目をロスなく選べるコース取りの優位もあった。
 それでも控えていてトップスピードが高かったマイル路線の馬に向いた展開であり、チェルヴィニア、ステレンボッシュ、ライトバックに最後は伸び負けた。
 結局後ろで折り合いをつけながら鋭い切れ味を発揮できる桜花賞上位組が得意とするレースとなり、その中でも最もスムーズに伸びる外まで持ち出したチェルヴィニア・ルメール騎手の好騎乗が最後の一伸びを生んだという印象で、やや伸びづらい内を捌きながら伸びたステレンボッシュと能力的に差は感じない。ライトバックも強烈な末脚がハマる展開になったのが好走要因として大きく、桜花賞に続いて適性がばっちりハマったレース。
 上がり1位、上がり2位が馬券内を独占し、差有利なレースにも見えるがどちらかというと控えていた中でトップスピードが高い馬がハマったレースであり、展開的に最も恵まれたのは余裕をもって直線を向けた4.5着馬かなと。

 このレースで巻き返しに残り3Fに差し掛かる前のタイミングから動き始めた馬であり秋華賞に出走してくる組だと捲りながらポジションを上げたホーエリートと最内から押し上げながらコーナーで逆手前になり消耗激しかったミアネーロの2頭。

【クイーンS】

 今回の出走馬だとコガネノソラとボンドガールが出走したレース。
 展開としては
 12.3-11.2-12.2-12.4-12.2(60.3)
 11.8-11.6-11.8-11.9
 と稍重の札幌としてはミドルペースからのタフなロンスパ戦。かなり開幕週ということで内外に差はあまりなく、如何に脚を溜めながらスムーズに末脚を伸ばすかが重要だったかと思う。
 残り3F地点での11.6が先行勢に与えた負荷が大きく、早めに仕掛けたコンクシェル、それについて行こうとしたスタニングローズが終い止まって差されており、直線を向く寸前、残り2F目まで追い出しを待つことが出来たコガネノソラ、アルジーヌ、ボンドガールがそれぞれのポジション通りの着順。
 最後の一伸びはポジション取り、追い出しのタイミング、そして斤量が噛み合った結果という印象であり、素直に評価はしづらいところではあるものの、古馬重賞勝ちがあり、マイル質のスピードを持ったコンクシェルと57㎏を背負っていたとはいえG1勝ち実績のあるスタニングローズという強い2頭が引っ張ったタフな展開で上がりを使うことが出来たという経験は大きい。

【紫苑S】

 走破時計1.56.6というイカれたレコードが記録されたレース。
 レースラップは
 12.0-10.9-11.8-12.0-12.1(58.8)
 11.9-11.9-11.6-11.4-11.0(57.8)
 と終いは強い追い風に背中を押されて、この高速展開からまさかの加速ラップ。明らかな異常馬場であり、どう参考にしたものか悩ましいレースだが、このレースを勝利したクリスマスパレードは後ろの有力馬がスムーズじゃなかったところまで含めてかなり恵まれた印象。
 そもそもキタサンブラック産駒自体、傾向的にクッション値が極端な馬場での成績が良く、それ即ち緩急がつきづらい=一瞬のキレ味が要求されない舞台設定に強い。この日の中山のクッション値は10.4であり、かなり高め。開催初日の綺麗な馬場でとにかく走りやすく、勢いに乗ったままスピードが落ちづらい状態だった。それがクリスマスパレードのスピードを持続させるのが得意という適性と噛み合って、なおかつ好走した馬の中で最も進路どりがスムーズに行って押し切りに成功した。
 2着のミアネーロはフラワーCを勝った時と同様にじっくりラチ沿いで溜めながら直線一気に末脚を伸ばしての理想的な立ち回りだったように見えるが勝負所、コーナーの出口から直線を向くタイミングで数歩分逆手前になっておりスピードとスタミナのロス、そこからゴールまでに2度手前を変えた分がクビ差につながった形で、むしろ完璧に運んだクリスマスパレードとこれで着差なしの同タイムならばかなり評価できる内容。
 3着のボンドガールはシンプルに位置取りと高速馬場が敗因。中山2000という舞台で上がり33.0は物理的に限界という感じで、ボンドガールの位置から勝ち切るためにはこれをあと0.2以上縮める必要があったわけだが流石に無理でしょう。進路どりも上手くミアネーロの後ろを通しながらロスも少なかったのでポジションなりに完璧に伸びての3着。
 6着のホーエリートは大外回しと直線を向いたタイミングで前に居たハミングの影響で進路を切り替えるロス、そのロスの分ボンドガールに前に入られて躱すには更に外に持ち出す必要があり流石に厳しかった。ただ、フットワークや足の回転力からもミアネーロよりも早い上がりを使うのは厳しそうで、通したコースが悪かったにせよ逆転があるかは疑問。

【ローズS】

 高速馬場だった紫苑Sとは一点、ただでさえ荒れている上に雨があって稍重とかなりタフな馬場コンディションで行われたローズS。
 レースラップは
 13.0-10.8-12.3-12.2-12.0(60.3)
 12.1-11.9-11.9-11.8-11.9(59.6)
 こんな平均的なミドルペースにも関わらず、セキトバイーストが大じわじわとリードを広げ、それに未勝利勝ち上がりたてのレディーヴァリューがついて行かずに馬郡に蓋をした形で大逃げの形となったややいびつなレース。
 3.4コーナーが特に荒れていたせいで、そこで足を使ってしまうとかなりスタミナの消耗が激しかったのでリードのつくり方から足の使いどころまで全てが完璧だったセキトバイーストがかなり恵まれたレース。
 勝ったクイーンズウォークと川田騎手は荒れたコーナーを通しながら足を使ったらダメなのは分かっていますと言わんばかりの立ち回りで、前目に構えていたタガノエルピーダ、チェレスタ、ラヴァンダあたりが動き始めたのを見ながら一呼吸おいての追い出し、比較的馬場の無事なところを通しながら直線を向いて一気にエンジンをかけて上がり33.5で差し切り。100点の騎乗での快勝。力を見せつけた形ではあるが着順程素直に評価できる内容ではない。
 最も損な役回りをしたのがタガノエルピーダ、コーナーでは最も荒れた最内を早めに動いて消耗激しく、直線でも外まで持ち出すようなコース取りにならず最内を通して伸び負け。それでも外から上がり最速で伸びてきたレガレイラを凌ぎ切れたのは評価できる内容であり、次走での巻き返しはあり得そう。ラヴァンダも仕掛けたタイミングと決め手の違いが結果に表れた感じであり、巻き返しには期待できる内容ではあるものの元々鋭い決め手がある馬ではないだけに秋華賞のレース質とは合わないか。

【各馬の短評】

 これまでの内容を踏まえて各馬の短評

・アドマイヤベル(C)
 シンプルに右回りが初というのはマイナス。
 スワーヴリチャード産駒も傾向としては古馬G1が行われるような主流条件の舞台でのほうが成績が良く、ややトリッキーでトップスピードの高さや末脚の持続力が活きづらい京都コースはプラスとは取りづらい。
 シンプルにこのメンバーでは横の比較で一枚落ちる感じもあり評価しづらい。

・キャットファイト(C)
 これまでマイルまでしか使ったことが無く2000は未知の距離。
 揉まれると脆いタイプでもあり距離を誤魔化すために内で溜めるのも難しく、行ってどこまでという形になるか。この馬の動き次第でペースに影響があるので逃げ馬との枠並びは注意したい。

・クイーンズウォーク(B)
 好走時と凡走時の走りにムラがありややストライクゾーンが迫目の印象。
 じっくり溜めて直線を迎えた前走とクイーンCの切れ味が鋭いものの使える末脚が長くなく、ロンスパ適性が問われる京都は合わなさそう。
 大型馬でトップスピードは高いものの、秋華賞自体馬体重の大きな馬は苦戦傾向。昨年のようなスローからの瞬発力戦になればチャンスはあるかもしれないが流れ気味でタフな展開になった時にあっさり凡走もありそうで。

・クリスマスパレード(B)
 基本的に先行馬は中々恵まれないのが秋華賞。
 これまで差競馬の経験が無く、今回も先行になった場合はセキトバイースト、キャットファイトを早めに躱して直線までにリードを作る必要がありそうだが、そこまで早く仕掛けると差馬有利の展開になりそうでよほど前の止まらない馬場にならなければ厳しいか。
 差し経験の無い馬は人気を背負って飛ぶ傾向のあるレースなだけに。

・コガネノソラ(B+)
 スイートピーSしかり、前走のクイーンSしかり上がりのかかるタフな展開でも決め手を発揮できるのがストロングポイントであり、それが秋華賞で求められる適性と噛み合う可能性はある。
 斤量が前走から+4㎏というのは明らかなマイナスポイントではあるものの、タフな洋芝でレベルの高い古馬牝馬がつくった流れを追走して上がりを使った経験は大きく、コーナリングでの機動力もあるので京都内回りは合いそう。血統的にも平坦コースで◎
 完全な瞬発力勝負では横の比較で劣るだけに展開は選ぶと思うが、侮れない一頭。

・ステレンボッシュ(A+)
 能力はこの中に入ってハイスタンダード。
 これまでG1を3回走りながらも連帯を外していない安定感は素晴らしく、ここでも有力な一頭。
 一つ懸念があるとしたらレースの中で緩急を効かせるのが難しいタイプであり基本的には流れたペースよりも緩いペースが得意であること。
 阪神JFは例年より遅めのペースで安定感のある追走、前走のオークスでも馬郡の真っただ中でも緩いペースに合わせて折り合いをつけられていたが、スタートで他馬との接触があり行き脚がいまいちだった桜花賞では促して馬郡に取りついたことで、そのまま掛かり気味の追走に。モレイラ騎手がかなり上手く御しての勝利ではあったが、少し危うさの見える内容。
 今回も休み明けでどこまで仕上がった状態で出てこられるかは課題であり、スタートで揉まれてスイッチが入って掛かり気味の追走になったりすると崩れることもなくはない。
 盤石ではないかなという印象。

・セキトバイースト(B-)
 前走は120点の競馬でも3着。
 根本的に2000は長そうで、流石に単騎楽逃げは許されないG1の舞台では好走は難しいか。
 逃げて持続的な足を使えるのが良さの馬ではあるのでかなり楽にハナを奪えそうな場合かつ状態面で前走より大きく上積みがあれば。

・タガノエルピーダ(A☆)
 秋華賞の傾向的には穴で激走があってもおかしくない条件を満たしている。新馬戦では33秒台の上り1位で差し切っており溜めれば決め手あり。乱ペースのタフな展開となった忘れな草賞では上手く流れに対応して35.3で上がり最速の快勝。その疲れが出たかオークスでは力を出せなかったものの、前走はかなり恵まれない展開で力を見せての4着。
 ここ2走は先行する競馬をしているが、今回中団で控えてじっくり溜めるような競馬に切り替えることが出来れば激走があっても良さそうで、4枠か6枠あたりの内目で控えられる偶数番を引けば面白い。
 元々牡馬に交じっての朝日杯で3着に好走した実力馬。ここに入っても能力面での見劣りは無くあとは噛み合うかどうか。

・チェルヴィニア(A)
 前走のオークスでは桜花賞から巻き返しての見事な勝利もルメール騎手の好騎乗と展開面が噛み合っての結果という感はありどこまで評価していいかは悩ましいところ。
 桜花賞では大外枠から掛かり気味道中でポジションを押し上げるロスの大きい競馬で、敗因明確ではあったが、ステレンボッシュと同様にレースの中での緩急を効かせるのが難しいタイプという印象もあり、スタートを決めて馬郡の中で折り合いをつけながら勝負所までじっくり我慢させるのが好走の条件になりそう。
 ポジション取りで足を使わなければならない外枠になったら疑っても良さそう。これまで直線の長いコースしか使ったことが無く、小回りでのコーナリングがどこまでかというのも未知。コーナーから動かなければならなかった桜花賞では崩れて直線までじっくり我慢できた他のレースでは好走できたという見方もできる。クイーンズウォークと同様秋華賞では苦戦しがちな大型牝馬というのも気になるポイント

・チルカーノ(S)
 上位陣との直接対決がほとんど無いままにここにコマを進めた。
 タフな持続力勝負となった皐月賞を制したジオグリフの妹ということもあってかこれまでに勝利したときのレース内容はいずれも優秀。
 大外回しで消耗が大きくレースにならなかったエルフィンSと6月で早々に古馬牡馬と走ってタフな持続力戦になった稲荷特別では崩れたものの、その経験を活かす形で前走の長久手特別では後半を57秒前半で走破する好内容、重賞級の脚力を見せつけており、中京のコーナーでも押し上げながら上がりを使える機動力は京都内回りでも活きてきそう。
 実績としてもデビュー戦で33.4、矢車賞で非根幹距離の持続力戦を34.9の上りでまとめて勝利と使える上がりに幅があり秋華賞で穴が多いパターン。
 これまで歩んできたローテがローテなだけに結構な穴になるとは思うが、かみ合えば頭まであり得る能力を持った魅力的な一頭。

・ホーエリート(B+)
 強い相手と戦いながら、良い内容を見せるものの結果が出きらない。
 前走も進路どりの不利がありながら差の少ない6着、オークスでも展開に逆行した捲り気味の競馬で見せ場有り。
 能力は高いと思うがG1の舞台で上位人気の馬に逆転できるだけのストロングポイントがあるかと言われるとそこは疑問が残る。

・ボンドガール(A-)
 崩れたのは直線で大きく不利があったNHKマイルのみ。
 ただそのNHKマイルでの経験が影響してかここ2走は調教からかなり難し差を見せており、極端に控えて末脚を伸ばす競馬も、現状の気性で選べる競馬がこれしかないように見える。
 今回は差有利な秋華賞なだけにじっくり溜めての追い込みがハマる可能性はあるものの、どうしても不利なポジションからの競馬を選択せざるを得ないのであれば差届かない可能性は高く頭では狙いづらい。
 仮に近走より前目で競馬をしようにも末脚の爆発力を削ぐことにつながりかねず非常に難しい。相手には抑えておいたほうが良い能力を持った馬だとは思うものの……

・ミアネーロ(S)
 オークスでは本命を打ったがもう一度夢を見たくなるのがこのミアネーロ。
 前述のとおり、オークスでは早めに内からポジションを上げようとしたところで逆手前のタイミングあり初の左回りに戸惑った形か力を出し切れずの大敗。直線では外に持ち出そうとしてから内に切り返すロス、外伸びの馬場で苦しい立ち回りになったこともあり敗因明確。
 前走はクリスマスパレードが適性展開共に噛み合って120点の競馬をしたところをコーナーでまた手前に不器用なところが出たりとロスがありながら追い詰めての2着はかなり評価できる。
 中山で器用にコーナーをこなしながら上がりを使えるのは京都に変わっても評価できるポイントな上に使える上がりの幅が広いのも秋華賞では評価できる。
 夏を超えての上積みも大きく、内で我慢しながら脚を溜められるこの馬の末脚が活きる展開になれば十分G1に手が届いてもいい。
 シンプルにボンドガールより前で競馬をしながらコーナーで逆手前もありつつ同じ上がりは強い。

・ラヴァンダ(C)
 秋華賞という舞台で決め手の無さは致命的。
 前走はタフ馬場を早めに動いたり、スタートで接触があってポジション取りスムーズに行かなかったりと噛み合わなかった面はあるもののレディーヴァリューを捕まえられずの7着は今回に向けてかなり厳しい結果。
 レースでも控える競馬を選択する可能性は無さそうで、タフなロンスパ戦の中でどこまで基礎スピードの高さを活かせるかというところではあるが、後続の切れ味を凌ぎ切れるイメージが沸かず。

・ラビットアイ(C)
 前走のローズSでは中団のインで溜めながらの競馬をしたが終いは全く伸びずに殿負け。直線追っていなかったので荒れたインを追走するのが合わずに余力がなかったということかとは思うが、流石に負けすぎ。
 今回横の比較で上位に取れるポイントが見当たらず、流石にここでは手が出ない。

・ランスオブクイーン(B)
 前走は圧倒的人気を背負うも2勝クラスで内から掬われる形で伸び負け3着。勝ったタイセイフェリークは次走で即0.1差の2着に好走と中々能力ある馬ではあるが、この日全く同じ乗り方をして勝ち切ったクイーンズウォークと比べると差を感じざるを得ない。
 京都2000mで未勝利を勝ち上がりと、コース実績があるのは良いものの、オークスの5着は最大限恵まれた結果であり、世代上位に交じった場合にどうしても能力の絶対値では現状1枚落ちる感は否めない。
 マイルの経験が無く、結局桜花賞経験組がほとんどなこのレースで早めの流れになった時は追走力の差が出そうなのも懸念点。

【まとめ】

 はい、ということで週頭時点で買いたいのはチルカーノとミアネーロの2頭です!!タガノエルピーダもここで巻き返しがあっても良さそう。
 オークス馬券内の2頭は当然強いしここでもあっさり勝っておかしくなさそうではありますが、条件によっては取りこぼしがあってもおかしくない。
 人気サイドの中ではクイーンズウォークは正直現状では切る気満々という感じです。
 最後の一冠、昨年は過去にないレベルのどスローで瞬発力戦になり地力がそのまま出た感じでカチカチの決着でしたが、本来トリッキーなコースで波乱も珍しくない秋華賞。
 今年も人気+中穴+穴みたいな決着があっても良さそうで、じっくり吟味しながら週末まで悩みたいですね。
 ちなみに今年のトレンドであるG1を同じ騎手が勝たない&初G1多数というトレンドが続くのであれば今回は……初G1はチルカーノ(鮫島克)かコガネノソラ(丹内)ラヴァンダ(岩田望)。今年勝ってない騎手で言えばもっといますが、ここはやはりチルカーノを応援したいですね。

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