【R6.5.26】東京優駿(日本ダービー)の予想
【今年の皐月賞】
今年の皐月賞組はレベルが高いとは思いますが、今年の皐月賞自体は中々特殊なレースだったと思います。
レースラップは12.2-10.5-11.5-11.7-11.6-11.8-12.0-12.1-11.7-12.0で前半57.5-後半59.6の超ハイペースでの高速決着。1600mの通過がなんと1.33.4、これ多少時計が掛かっている時のマイル戦くらいのスピードが出てるわけですよ。
このレースラップ自体はメイショウタバルが飛ばして大逃げをかましたのが要因ではありますが、馬郡もそこまで大きく離れているわけでは無く、番手のシリウスコルトが1秒ちょい離れた位置を走っていたので、メイショウタバルがいなくとも前半が59秒を切るかどうかのラップを追走していた。
こんなレース展開になりながら勝ったジャスティンミラノはコーナー通過順位4.5番手、3着に粘ったジャンタルマンタルは2.3番手と馬郡の先頭、差してきたコスモキュランダも8.9番手と追い込みが差さっていない。
そりゃ仕方ないですよね、こんだけとんでもないペースでレースが進行しながら前目につけていた馬がそのまま34秒台でまとめてそこまで止まらずにゴールしてしまっているんだから、後方に構えた馬はそもそもそこにポジションを取った時点で、物理的に馬券に絡めるようなレースじゃなかった。
まとめると、先行した馬はマイル質の追走スピードが要求され、その追走スピードに対応できなかった中距離質の馬が脱落。ペースに対応したまま足が上がりつつも能力+血統適正で何とかスピードを持続させ粘った馬が1.3着、極力ペースに付き合いすぎない位置から完璧な仕掛けで差してきたコスモキュランダが2着に来れたが、それより後ろにいた馬はどうしようもなかったレースであり、距離適性が1600~で先行脚質の馬が非常に恵まれた展開だったと言えるかと思います。
【皐月賞組の着順は入れ替わり得る】
皐月賞で好走した馬のパフォーマンスはもちろん素晴らしい。3着に好走したジャンタルマンタルがその後NHKマイルを圧勝するなど、上位の馬の能力の絶対値が高いこと自体には疑いない。
ただ、展開があまりに極端だったせいで能力を発揮することが出来なかった馬が大勢いるのもまた事実。
前段でも書いた通り、まず後方にポジションを取った馬は物理的に届きようがないレースだったので評価を下げる必要はない。今回の出走メンバーで言えばレガレイラ、アーバンシック、エコロヴァルツあたりはしっかり上がりを使って上位に好走した馬との着差も少ないので、今回のポジションと展開次第では十分上位進出もあり得る。
「皐月賞で差し損ねた馬がダービーで巻き返す」というのは良くあるねらい目のパターンだが、今年の皐月賞組で重要なのは「そもそもマイル質のスピードを強制されたせいで、適性外のペースで足が溜められなかった先行馬」が存在すること。
今回も出走してくるメンバーで前目の位置につけていたけれど馬券内に届かなかったのはシンエンペラー、サンライズジパング、ミスタージーティーの3頭ですが、この3頭どうでしょうか。流石にマイル質のレースを走らせるのは適性外だろうなぁという感じがしませんか?実際レースを見ても、シンエンペラーはジャスティンミラノを見る少し先行勢の中では後ろ、むしろ中団くらいに構えていたので追走自体は少し忙しそうくらいでしたが、特にサンライズジパングなんかは終始菅原騎手が手を動かしながら何とか押っ付けて追走させていた感じで、明らかに能力が出せていませんでした。ミスタージーティーも若葉Sからの臨戦になったせいで相手が一気に強化され、若葉Sと同じイメージでポジションを取ったは良いものの「なんか早くね?」と言った感じの追走、直線では伸びきれずの結果ですがサンライズジパングとミスタージーティーも1.58.0と1.58.1でそこまで致命的な差をつけられたわけでは無い。これ差し損ね勢はもちろんですが、前につけて苦しくなった勢も全然巻き返しあり得ると思うんですよね。
【メイショウタバル不在の影響】
残念ながらメイショウタバルが回避。それによって前走逃げた馬がいなくなり、展開が一気に読みづらくなった。
一発を狙って奇襲的に逃げる馬が出てくるかもしれないが、積極的に押して出ていく馬がいなければ出たなりで譲り合い。走る馬たちは今回どれくらいの距離を走るかなんて知らないので、極端に鞍上に追われなければ基本的には前走くらいのスピード感で出ていくので、ハイペースだった皐月賞組が結局ポジション有利は取りやすい。比較的先行力の高い面々が外目に寄ったこともあり、ハナは譲りたいが、2.3番手の好位は確保したいという感じで少し勢いをつけつつ周りを伺いながら遅くはないペースで第一コーナーを迎えることになりそう。
じゃあ積極的にハナを切る馬がいないからといって、スローからの瞬発力戦が濃厚化と言われるとそんなことは無いと思う。
今回メンバー構成的に18頭中14頭が皐月賞組なので、あんなに早いペースを走った次走は、無理に抑えてコントロールしようとしない限り同じようなペースになりやすいですし、前半スローに抑えたところで、末脚の持続力を武器に早めに捲りに来る馬が出てきそうなこともあり、大人しい展開になる可能性は考えづらい。メイショウタバルがいなくとも前半1000mは59秒台前半くらい、やや流れ目のミドルくらいになるのが自然じゃないかな?と思います。
やや早めくらいのペースで坦々と流れた場合に、どうしても前走ハイペースを経験している皐月賞組の方が足を溜めやすく、展開的に有利になりやすい。
やはりここは前走皐月賞組、更に皐月賞組の中でもある程度前目につけていた馬を高めに評価して勝負していきたいと思います。
【調教評価】
各馬の調教を見てのコメントにつきましては「東京優駿 追切メモ」でまとめていますのでご覧いただければと思いますが、特に良く見えた馬は
◎:アーバンシック、ゴンバデカーブース
〇:シンエンペラー、シックスペンス、ビザンチンドリーム
☆:サンライズジパング
こんな感じです。まあ、アーバンシックは文句なしによく見えましたね。京成杯→皐月賞の成長度がかなり大きかったですが、そこからダービーに向けて順調に調子を上げてきているように感じます。
ゴンバデカーブースは距離には不安がありますが、元々ホープフルSを使おうとしていたように、ダービーに向かうのは既定路線というような感じの仕上がり上昇。非皐月賞組ではありますが、前走マイルで外々を回す競馬でも力を見せているように、ペースへの対応力については疑問なし。一発あっても良さそうでこの2頭が特に良く見えました。
【予想印】
ということで今年のダービーは
◎13シンエンペラー
〇8アーバンシック
▲7ミスタージーティー
△15ジャスティンミラノ、14ゴンバデカーブース
これで行きたいと思います。
【上位評価の理由】
◎シンエンペラー
初志貫徹、週頭で本命にしたいと思っていたこの馬から行きたいと思います。シンエンペラーは今回かなり人気を落としそうですが、そもそもがここ3走中山で勝ち切れていないが、コーナーでの加速、機動力に欠ける分小回りコースの適性が高くなく、幼さゆえにソラを使う面もあり、取りこぼしもありで、能力以上に着順を落としていた。
今回は欧州馬だから東京ではキレ負け……というイメージで人気を落としていると思うが、欧州馬も一瞬のキレ、瞬発力での差では日本の主流血統に劣るものの、長く加速させ続けてのスタミナを活かした差ならば劣るわけでは無い。現にデビュー戦の東京1800ではイン前から足が溜まった状態で長く加速させて終い11.1-11.0の加速ラップで快勝。足が溜まっていればこれだけのトップスピードをデビュー時でも使えているのに、キレ負けを気にされて今回人気を落とすならば美味しいと言わざるを得ない。
また、展開的にもかなり恵まれそうで、前走逃げた馬がいないということもあり、逃げ経験がある馬も「他の馬が行かないなら」行くかくらいの気持ちでスタートを出しそう。そんな中、前に行って競馬をするのが基本の矢作厩舎の馬と坂井騎手なので、横の比較で思い切って出していってイン前を狙いに行ってくれる可能性は高い。ソラを使う癖もあり、早めに先頭に立つのは極力避けたいところだが、これほど力がある馬を自由に逃げさせるほど周りの騎手もぬるい競馬はしてこないと思うので、そこはあまり気にしすぎずに恵まれるポジションを取れそうということを高く評価したい。
前走がハイペースだった分、今回は前走比較で楽に足を溜めながら追走できる確率は高く、状態面の上積みも大きそうな分、勝負所までしっかり足を溜めながら、ロンスパ戦を受けて立つことが出来る。前に馬がいても一頭か2頭という状態からならば減速要素なく持ち前の持続的なスタミナを活かした末脚を使うことができそうで、このダービーという舞台に向けて、ベストパフォーマンスを発揮しやすい条件が整っている。
コンビを組んだのは2走目ではあるものの自厩舎の馬ということで長く背中を知る坂井騎手とのダービー挑戦というのも良く、これまで自厩舎の馬ではG1で好走できていなかった坂井騎手が、師匠の馬で初のダービー制覇をするというのも中々ドラマがあっていいんじゃないでしょうか。
〇アーバンシック
ここは定石に沿ってというか、中山コースで目立つ末脚を見せるも好走しきれなかった馬が、実績ある東京コースに戻って巻き返しというパターンに期待して対抗に。
アーバンシックについては、とにかく百日草特別のタイムが凄まじく、このレース出遅れて最後方になった分足を溜めやすかったというのはあれど後半1000mを推定57.3秒くらいで走っており、これは古馬のG1で好走する差馬が見せる後半ラップと比べても遜色ないレベルの凄まじいもの。正直2歳馬が出していいレベルのパフォーマンスではなく、この時点で高い東京適性と能力の高さを感じさせていた。
前走の皐月賞は後ろにつけた時点でノーチャンスだったので着順自体は評価を下げる要素にならず、むしろしっかり末脚を伸ばして着差を0.4にまとめたことを高く評価するべき。
デビューから武史騎手とコンビを組み続けてのダービー挑戦はやはり評価できるポイントであり、必ず最後足を使って追い込んできてくれるので大崩れも考えづらい。
これまでのレースでは基本的に後方からの追い込みになってしまってはいるものの、スタートが悪いからこのポジションになっているだけでどうしても後ろから行かなければならないタイプではない。徐々に体も成長してトモもしっかりしてきているので、今回突然スタートを五分に切って中団から競馬ができる可能性も十分秘めているというのも魅力。
状態も申し分なく、ここは順当に高めに評価したい。
▲ミスタージーティー
波乱を起こすならここと期待。
評価したい理由は一度Xでポストしているので再掲。
これまでのレースは力を出せているレースではしっかり好走できており、力を出せていない要因があった時は負けていると敗因が明確なタイプ。
前走はメンバー強化というか、かなりペースが速かったタイミングでブリンカー装着がかみ合ってしまい、適性外のペースを頑張って前目追走してしまった結果終い脚が持たず。これは評価を下げるようなレース内容ではないと思います。
血統的にも母父がサドラーズウェルズということで、タフなスタミナを要求されるような展開の方が望むところであり、前走でマイル質の早いペースを要求された分、今回前走比でペースが緩んだ時にがっつり足を溜めることが叶う。
末脚が溜まった時の破壊力はメンバー内でも見劣りしない良いものを持っており、初戦は小回りで直線の少ない京都2000で後半4F推定45.4の破壊力。今回先行ポジションで足が溜まった状態から後半4F45秒前半の末脚が使えたら……好走待ったなしでしょ!
調教でもしっかり能力を出せそうな動きで仕上げられており、ここに向けて勝負度合いが下がっているようなことはあり得ない。今年藤岡騎手がダービージョッキーになるようなドラマがあったっていい。
△ジャスティンミラノ
無敗の皐月賞馬、能力がこのメンバーでもトップレベルというのは疑っていないですが、不安要素が大きく2つ。
1つは前走の皐月賞を勝利しているということ。前走はレコードが出るほどの極端な展開だったが故に、そういうレースを勝利した馬というのは得てして完全に噛み合っての勝利ということが多い。この馬としてもハイペースだったことで加速に時間がかかる部分がカバーされ、欧州のスピード血統である母父ExceedandExcelがかみ合う形で末脚の持続力でそのトップスピードが止まり切らずにゴールまで届いた。位置取りも最も恵まれたポジションというかこの馬にとって最も能力を発揮しやすいところに位置どることができており、かなりかみ合った上でコスモキュランダに着差なしに迫られた辛勝。こういう目で見ると今回抜け気味の1人気になると信用するのは怖くなってくる。
もう1つは今回初めて1人気になりマークされる立場になること。この馬の話をするたびに言っているがこの馬がというか父、母父に欧州型のスピード血統、特にデインヒルが入っている馬は加速に時間がかかる分減速要素が無ければどこまでも末脚を伸ばすことが出来る爆発力がある一方で、加速の途中でブレーキがかかると、巻き返しが中々難しいという特徴がある。ジャスティンミラノはレースセンスの良さを活かしてこれまで直線で詰まるということが一切ない競馬しか経験したことが無く、今回マークされる立場になって、直線の進路どりに手間取るようなことがあれば、一度の進路変更が致命傷になる可能性もありえる。
馬券外になる可能性まで考慮して、この評価まで。
△ゴンバデカーブース
非皐月賞組からでもこの馬をどうしても選びたかった。
見返せば見返すほど前走のNHKマイルの内容が強烈というか、距離が伸びてパフォーマンスが更に上昇しても驚かない走りをしている。
スタートから中団につけて、枠なりに外々追走。道中でかかり気味にポジションをあげそうになったり、それを制するためにブレーキを掛けたりとロスがある動きもありながら、残り4F地点から動き始めて直線は上がり2位の33.9で終いを伸ばすも届かず4着。ゴール板を過ぎたあとの動きが目立っており、他の馬が足を使い切った感じで段々と緩めていく中ゴンバデカーブースはその勢いが止まらず、最終的にレース映像が終わる1コーナー途中くらいのタイミングではジャンタルマンタルより前にいるほど。
4Fしっかり足を使った上でゴールしても足を余していることを考えると、道中の折り合い次第では2400にも対応し得る可能性を感じる。前走からの上積みも大きそうで、モレイラ騎手が乗らなかったことで過剰にオッズが付いている状況。これは高めに評価して抑えておきたい。
(無印の各馬)
・レガレイラ
前走の内容は評価を下げるものではないが、どうしても過剰人気感否めない。牝馬での挑戦ということで応援したくなる気持ちももちろん分かるし、先週オークスを制したルメール×木村厩舎の組み合わせ。ホープフルでは牡馬を相手に勝利しているなど評価できるポイントはあるが、横の比較で高く評価できるポイントが少ない。今回は切る。
・コスモキュランダ、シュガークン
流石に調教時計が緩すぎるので、今回は軽視したい。やはりダービー、一世一代の仕上げという感じの馬が多い中でここに好走されたら仕方ないと割り切りたい。
・シックスペンス
前走終いの内容は強かったが、前半があまりにスロー過ぎるので、今回一気の相手強化で距離延長。流石に過剰人気過ぎる。一瞬の切れ味勝負になったら上位とも張り合えそうだが、ロンスパのタフな流れになった時にスタミナ負けする可能性は高い。
他の馬は当日のパドックを見て紐に抑えるかどうか考えたいが今のところ気になっているのはジューンテイク、ダノンデサイル、サンライズジパングの3頭。いずれも先行力と終いの脚もっており、展開次第では馬券内滑り込みがあっても驚かない。悩ましいのはダノンエアズロック。モレイラ騎手騎乗は怖いところであり、このまま6人気13倍くらいで行くのであればとりあえずで抑えておいて損は無さそう。ここについてはオッズを見て考えたい。
人気薄ならばできるだけ前目につけた上で足を使える馬を選びたいというのが基本スタンス。
【まとめ】
ということで今年のダービーはシンエンペラー&坂井騎手&矢作厩舎が世代のトップに立つことに期待したいと思います。
近年のダービーは基本的にディープインパクト産駒的な、直線の入りから一気に加速して瞬発力を活かせるような馬が好走していましたが、種牡馬は移り変わり、段々とパワーとスタミナ、持続力と言った欧州的な要素が強く求められるようにクラシック全体の傾向が動いていると思います。
そんな時代の変わり目、新時代の始まりに世界の矢作が送り出す欧州血統馬に世界を股にかける若武者が騎乗してダービーを制する。それがシンエンペラーという名前の馬というのは非常にふさわしいのではないでしょうか。
馬券としては
〇単勝 シンエンペラー
〇ワイド 8-13
〇枠連 4-7
〇3連複 13-8.15-7.8.14.15 (←を本線に、高め狙いで3列目に3.5.9.10あたりを加えたのも薄めに)
これをベースにオッズを見ながらぎりぎりまで熟考したいと思います。
今回のダービーはあの皐月賞のインパクトが強いせいでかなり先入観でオッズが形成されているような気がします。「皐月賞でジャスティンミラノに負けた馬は基本的に逆転が難しい」これが土台になっていて、そこから変化の要素がある馬、ルメールに手が戻るレガレイラ、直接対決の無いシックスペンス、ダノンエアズロックあたりにすがるような感じで人気が偏っており、必要以上に皐月賞で負けた馬が軽視されている。穴党ならばその歪みを突きましょう。
東京でこそ真の能力を発揮できると信じて、シンエンペラーと坂井騎手。全力で応援したいと思います。
ここ2年◎ドウデュース、◎タスティエーラで2連勝できているので、今年もダービーは的中したい!!
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