東京優駿 追切メモ

〇アーバンシック

 京成杯→皐月賞で一気の成長を遂げた印象が強いが、そこからダービーに向けて右肩上がり。一週前から動き目立っており時計も申し分なし。
 日曜に坂路で54.0から終い11.8の加速ラップはかなり目立つ。皐月賞時の日曜坂路は53.9から終い12.9-12.5だったので、今回は全体時計0.1遅いが終いはかなり伸ばした内容。
 そこから最終追切ではCW併せ馬の外側で5F66.9から終い10.9ともう動き過ぎなくらい動いている。馬場の内目を通したとはいえこの時計は評価できるものであり、終いも軽い感じでぐんぐん伸びていかにも東京向き。手前替えは若干不器用な感じを見せたが、そこから加速までも短く、実戦で大崩れが無さそうな内容なのは良い。
 皐月賞から上積みあり。上位の評価が必要な一頭。

〇エコロヴァルツ

 いいですね。
 一週前はCW単走で全体時計緩めから終い114。動きは軽快で飛び大きく、長い直線への対応にも不安ない。一瞬のキレだと横の比較で劣るように見えるが、ロンスパ戦になれば十分メンバーでも上位の走りができそう。
 そこから最終は坂路で単走。馬場の真ん中あたりを通しながら安定感高く、まとまりのある走り。足取り軽快で楽に加速出来ており、集中力も〇。時計としても全体は地味目だが終いは12.1とキャリア一番の伸び。
 皐月賞で溜めて最大限の上りをレースで使ったことが、馬の成長にしっかりつながっている印象を受ける好内容。

〇コスモキュランダ

 前走も最終追切は併せ馬は全体時計終いともに地味だったが、今回は更にそれに輪をかけて目立たない時計。内容としては外の併せ馬を突き放さないようにじっくり併せ、外の馬があまり早く動かなかった分の時計の地味さであり時計で極端に評価を落とす必要は無いと思う。
 一週前にびっしりやっているので、意図した内容と推察される。仕上がりも問題ない。
 ただ、世代トップを決める日本ダービー、日曜の坂路時計も58.6から終い14.1-14.7と目立たず、この時計で世代の頂点を獲れるか?という視点で見ると他の馬がバチバチに最終まで追って仕上げてきているのと比較するとどうしても見劣り。
 この内容なら買っても抑えまでだろう。

〇ゴンバデカーブース

 前走がかなり無理のある臨戦過程だったということもあり一回使っての上積みがかなり大きい。
 間隔詰まる分早い時計はそこまで多くないが、日曜に坂路で55.8から終い12.1。そこを経て最終CWで併せ馬、5Fだと66.3から終い11.7-11.3と鋭く伸ばした内容は厩舎らしい勝負仕上げ。
 足元は軽快で姿勢低くスピード感あり、コーナーも非常にスムーズで加速までの勢いあり。一歩一歩飛ぶような伸びでテンポよく、馬体のハリ艶も目立つ。走りのフォームから高いクッション値との相性が良さそうなのも好感であり、前走のNHKマイルが9.5と東京としては高めの条件で休み明けで状態整い切らない中4着と力を見せて、今回更にクッション値が上がるようであれば…これは楽しみですね。
 正直モレイラ騎手が案の定ダノンエアズロックに騎乗となり、堀厩舎2頭出しならやはりあっちかなと思っていたところですが、調教を見て一気に注目度が上がりました。松山騎手でオッズが過剰につくようであれば面白いかと。

〇サンライズアース

 一週前がCW併せ馬で6F79.5から終い11.6-11.6と終い軽快な伸びで、馬体もかなりすっきり見せる。
 最終追切はそこまで攻めた内容、時計とはせず地味目全体時計からじっくり溜めて直線楽に併せ馬に先着という悪くない内容。仕上がり順調に見えますが……これはもっと距離が長いほうが良いですね。
 とにかくストライドが大きく、一歩一歩が雄大。スピードもあるが一瞬のキレよりは長く持続的な足を使うことが出来るタイプ。
 走りにも力みが無く、折り合いに難しさもない。ダービーでは横の比較で適性劣ると見えますが、ここから更に成長し、秋に神戸新聞杯→菊花賞のローテで出てきてくれたら期待大というのが正直な今の印象です。

〇サンライズジパング

 ここで化けてもおかしくない。
 皐月賞の時から印象変わらないが走り、加速がかあんり直線的であり小回りよりは直線が長いほうが良いタイプ。
 最終追切では坂路で52.4から終い12.2-12.0の加速ラップ、元々坂路ではいくらでも動ける馬なのでこの時計自体はそこまで評価をあげる内容ではないが、動きに活気ありで迫力もある。併せ馬にも最後の一伸びでグイッと差をつけて楽に先着。最後直線で馬郡がばらけて大外から伸びてくるならばこういう走りをする馬なんじゃないかなと思わされる。
 前走の内容を見ても、2000m追いどおしで何とか追走していたが、コーナーで加速について行けずポジションを下げてそのまま直線では挽回しきれずもコーナー通過順位から一つ下げただけの9着入線。悪くないが目立たないレースをしたせいで今回大きく人気を落とすと思うが”あのハイペースの皐月賞を経験した”ことを最も活かすことができるのはこの馬かもしれない。

〇シュガークン

 いやー、買わないですねこれは。
 一週前にしっかり動かした分最終は楽にあっさりということなんでしょうけれど、最終坂路は55.6からラップは14.6-14.0-13.4-13.6と本当に最終追切なのか疑わしいくらいの緩い時計。土日にも早い時計は無く、最終追切なしに近い調整過程。
 単走で終い失速は前走も同じなので、意図した内容なんだとは思いますが、前走はまだ3F目が12.9で一応12秒台ありの失速ラップだったが、今回は12秒台に掠るラップすらなし。動かし方からも意図が分からず、高く評価しようがないというのが正直なところ。
 状態はおそらく前走からキープかやや上がっているくらいなんじゃないかなと思いますが、ダービーで好走するような内容ではない。これで走られるなら私は当たらなくていいです。

〇ショウナンラプンタ

 動きは良い。間隔つまるものの日曜に坂路で55.0から終い12.0を挟んでから最終も54.3から終い12.9-12.2と時計の出し方も悪くない。
 肝心の動きも坂路単走で軽快に登坂。途中抑えられてグッと力む場面もあったが、前走よりは淡々と走れており、見栄えはかなり良い。
 ただ、これが好走につながる内容なのか……と考えるとやや心もとない。鮫島騎手継続騎乗なので、これまでのレース内容を考えるとかなりしっかり溜めて末脚を伸ばす競馬を選択する可能性が高い。そうなると道中かなりがっしり抑えて進めると思うので、調教でそこまで抑えずに走らせたことが裏目になりそうな予感がする。
 時計の出し方的にも誤差範囲ではあるが3F目が13秒台ではなく、3F→4Fの加速幅が0.7と小さめで厩舎のベストなパターンとは離れる。
 実績的にも臨戦過程的にも穴の立場なのでよほどの上昇が感じられなければ手は出しづらいが、この調教だとちょっと厳しいか。

〇シックスペンス

 2週前、1週前とかなりCWで動かしてきており、皐月賞を回避してダービー一本に絞っただけの気合を感じさせる調整過程。
 最終追切は厩舎としては珍しいが、この馬としてはいつも通りの坂路好時計。52.2から終い12.1-12.1のイーブンラップ。理想としては加速が良かったが十分評価できる内容。
 映像を見てもイーブンラップになったのは併せた馬に比べて直線を向いたときの加速が早すぎたせいで簡単に前に出て終い、そこからちょっと抑え気味でラスト1Fを流したように見えたので、苦しくなってのイーブンラップではなく、この時計でも余裕たっぷりのイーブンラップというのはかなり評価できる動き。
 走りの安定感も高く、左右のバランスも良し。折り合いにも難しさなく文句をつけるポイントが無い好状態、好素質。
 臨戦過程含めて疑われやすい人気馬になるとは思うが、軽視はできないですね。

〇シンエンペラー

 一週前の動きはどう見ても前走以上に映る好状態。チークピーシーズをつけた効果も大きそうで自分から進んでいく印象が強く、一歩が大きく推進力も目立つ。ミスタージーティーと併せて前に出てからは突き放す一方、馬体の見栄えも良く弾むようなフットワーク。文句のつけようがない動き。
 最終追切は坂路で外ラチ沿いを回して、一週前に存分に動かした分全体時計は緩めも終いは12.9-12.4と楽に加速。やや頭高めの走りには映るが活気は目立ち、途中でやや体制が崩れるような瞬間もあったがそれを感じさせない体幹の強さと苦にせず加速しきれるのは状態の良さ。
 前走時と比べてもかなり上積みが大きいように映る。
 巻き返し、可能でしょう。

〇ジャスティンミラノ

 前走の激走もあってか、一週前追切の動きからは良くて前走時の好調キープかなという印象であり、少なくとも大きな上積みというのは感じられない。もちろん前走キープでも好状態ではあるが、横の比較で上積みが大きそうな馬も複数いるので、最終追切で良化しなければ状態面では2冠に向けて順風満帆とは言い難い。
 その最終追切は坂路単走で54.2から終い12.1の加速ラップ。ラスト1Fのみ12秒台の加速ラップは明確に厩舎のねらい目の勝負調教であり、ジャスティンミラノ自身も共同通信杯、皐月賞をこのラップで勝利してきているが、気になるのは全体時計の速さ。
 共同通信杯が55.7の全体時計で終い13.6-12.0の加速、前走が全体55.3から終い13.5-12.2の加速、で今回が54.2から終い13.0-12.1の加速と気にするほどの差ではないかもしれないが、全体時計が早くなって、その分溜めが効いておらず最後の加速幅がかなり小さくなっている。動き自体は1週前の印象から替わらず状態キープという印象だが、この仕上げ方の違いが本番でどう影響してくるか。
 友道厩舎の時計の出し方としても、データを集計しているわけでは無いので正確には把握していないが体感としては終いのみ12秒台の加速ラップパターンでも全体時計が55秒台以上、54秒台でもしっかり抑えながらラスト1Fまで溜めた時のほうが信用度が高い印象。
 ちょっといい変化とは個人的には思えず、一つ疑う要素が増えたなというところ。

〇ジューンテイク

 間隔が詰まる分早い時計は少ないが、調整のパターンとしては土曜日に坂路好時計から最終は緩め時計だけど加速ラップで併せに先着と、特に今年のフェブラリーSのペプチドナイルから増えてきた武英智厩舎の勝負調教であり中々成績もよく、前走はジューンテイク自身このパターンで京都新聞杯を制している。
 最終追切が坂路時計57秒台というのは流石に緩すぎるような気もするが走りには活気あり、終いも12.8-12.5と早め。
 穴では面白いなと思える調教内容。

〇ダノンエアズロック

 間隔詰まる分早い時計は少ないが日曜に坂路で56.0から終い12.0と終い11秒台近い加速ラップを出してから最終はCWで全体時計、終いともにまとめての3頭併せ馬の真ん中で負荷をかけた。
 コーナリングから動きは軽快で、直線ではよく動けている外の馬に重点を置いて併せながら馬なりで併入。
 走りのバランスがやや前傾気味に映り、ストライドは伸びきらない。それでもここまでの時計が出るのは能力の高さだとは思うものの、現時点での完成度という点で考えると横の比較では見劣り。
 馬体のハリ艶目立ち、前走から順当に状態は上げてきていると思うが、このメンバー強化で足りるかどうか。今の走りだとペースが上がるのも嬉しくなさそうで、本格化は4歳じゃないですかね。

〇ダノンデサイル

 一週前は回避の影響を感じさせない時計と動きだったが、そこから一変という感じで最終は坂路で55.5から12秒台なしの加速ラップであまりに緩い内容。
 土日にも早い時計は無く、シュガークンのところでも書きましたが、このダービーという舞台で好走するにはあまりに頼りないラップ。
 ただ、こっちは加速ラップである分、シュガークンよりはまだましで、先週もクイーンズウォークが似たような時計の出し方で惜しい4着まで来ていたので、侮りがたい気もするが、前走皐月の流れを経験できなかったというビハインドをもって臨む分、ちょっと高評価はしづらい。
 回避の影響はなく、ここに向けて好状態で臨むことはできると思うが、買っても抑えまでか。

〇ビザンチンドリーム

 皐月賞からの伸びが大きい。皐月の時の最終追切はやや頭高めで体の使い方も堅さ残っている印象だったが、今回は一週前からかなり首が上手く使えており直線を向いてのスピードの乗りもいい。前走で早いペースを経験したのもいいほうに出ていそうで、ここから更に上積みがあれば面白い。
 そこから坂路で日曜に坂路で54.5から終い12.4の好時計。前走が坂路55.6から12.6のイーブンだったところから比較しても、調教過程は良化。
 最終追切はCWで全体時計緩めて再び併せ馬の内側、溜めた分直線で加速する際の伸びは鋭く、これまでと比較してもピッチを上げてグイッと併せ馬の前に出ることが出来ている。
 馬なりでラストこの動きが出来ているのはかなり良化が感じられるが、精神面はまだ子供っぽいというか、併せた馬を躱す際にかなり気にしているというか、映像でも見てわかるレベルでガン見している。
 能力的にはこのメンバーでも通用するだけの高い能力を持っていると思うが、この幼さがどう影響するか。

〇ミスタージーティー

 矢作厩舎2頭出し、シンエンペラーはいつものように矢作厩舎の定番狙い目パターンからは若干足りない時計で仕上げだが、こちらは逆にいつも通りねらい目パターンの坂路53秒台仕上げ。
 これまでもこの仕上げで好走できていないので実績的には信用できないが、ミスタージーティーもここでの好走を狙ってしっかり仕上げられている。
 坂路単走で動きにはまとまりあり、軽快な登坂で楽に加速しきったのは状態面で評価できる。
 前走は併せ馬で気合をつけながら今回と同様の動きという感じだったので、前走からは少し上積みを持った状態で望めそう。

〇メイショウタバル

 CWでの仕上げに切り替えてきましたね。
 これまで坂路好時計の終い11秒台加速仕上げで毎日杯含め好走してきただけに、前走暴走気味の逃げになったことを踏まえてか、距離延長を気にしてかは分からないが、パターンを変えてきたのはマイナス。
 単走というのもレースに行ったときにどうなるか不安なところであり、そこまで力まずに走れており、馬体も状態良く見えるものの、レースに行ったときに折り合えるかは未知なまま本番を迎えることになる。
 単走ではかなりリラックスして走れており、前走の大逃げはスタート出負けから押して押して強引に取り切ったことも一因だと思うので、逃げのライバルがいなくなり単騎逃げも叶う可能性がある今回、自由にさせてもらえるならば一発があってもおかしくない。あの毎日杯のパフォーマンスはそれだけの破壊力がある。

〇レガレイラ

 一週前CW→日曜坂路好時計(53.6から終い12.7-12.1の加速)→最終CW3頭併せの真ん中で終い伸ばすと先週のオークスでチェルヴィニアが勝利した時と同様というか、木村厩舎の定番勝負仕上げパターン……ではあるが最終のCW併せ馬が5F69.4とかなり時計は地味。5Fの時計が70秒近いレベルの遅い時計になると流石にこのパターンでも信頼度が落ちる印象で、理想を言えばここが67秒台で来てほしかった。
 肝心の動きとしても右手前の時の伸びが左手前の時に比べてややスピード感とキレに欠ける印象で、左回りで直線が長い東京コースに舞台が変わった時に、これまでのように牡馬にも勝る切れ味を見せられるかは最終追切を見て疑問に思ってしまった。
 逆に左手前に戻った時のフォームがかなり良く、もしかするとホープフルで牡馬を相手に撫で切りにできたのは、新馬戦でセットアップを相手にしない伸びを見せられたのは、右回りに対してとんでもない適性の高さを持っていたからなのかもしれない。
 先週のオークスならば上位に評価できたかもしれないが、かなり良いレベルの牡馬が揃った今回、高くは評価しづらい。

【まとめ】

◎:アーバンシック、ゴンバデカーブース
〇:シンエンペラー、シックスペンス、ビザンチンドリーム
☆:サンライズジパング
 まとめると高評価はこんな感じですかね。
 アーバンシックはどうせいいんだろうなと思っていましたが、ゴンバデカーブースが予想の数段上を行くいい動き、枠次第では穴での好走は十分に狙える出来に仕上がっているように見えます。
 シンエンペラーは前走とは比較にならないレベルで良く見せますが、理想を言えばもう一歩早い全体時計でまとめて欲しかったなぁというところで一個落としての〇評価。ビザンチンドリームの良化もかなり目立っていたので、ここは展開次第では出番があっても良さそう。
 逆に評価が下がったのはシュガークン、コスモキュランダ、ダノンデサイルあたりのあまりにも時計が地味だった組、あとはレガレイラは思い切って切ってもいいかも…と思えてきました。
 昨年は追切映像を見た時点で◎タスティエーラに決めましたが、今回はそこまで突出した出来の馬はいなさそう。枠順まで吟味して、しっかり的中を狙っていきたいと思います。

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